第21話・夏休み編その1
シオンと分かれた後に家に戻った総一郎は文化祭で使用した調理器具を青空へと持ち運ぶ為に学校へと向かった総一郎。
シオンと別れた後、家に戻った総一郎は、自宅に戻り一先ず御飯を、三合炊いてその間に家の近くにあるコンビニ(百円均一)に赴き牛乳と、ヨーグルト、サプリメント、ジャガイモ人参、玉葱、レモン肉を買い自宅へ。
台所へ向かい食材の下拵えをしていく。
ジャガイモ、人参、玉葱の皮を、剥き包丁で一口サイズに切り肉も切る。
鍋に水を入れガスコンロに置き火を強火にして、後に切った食材を、フライパンで、炒め軽く火を通す。
食材を鍋の中へ入れ火を中火にし20分煮込む。
冷蔵庫からカレーのルーを取り出しルーを入れる準備をして、隠し味に、少量のレモン果汁と牛乳をルーと一緒に入れて、弱火にしてスプーンで、鍋が、焦げ付かない様に10分混ぜる。
後は火を止めて鍋に蓋をして総一郎は部屋の電気を全て切る。
テレビの電気コードを、抜く事で電気代は結構、節約が出来る。
トイレのタンクの中に、水が入ったペットボトルを入れ水道代を節約。
些細な事だが一人暮らしの総一郎にとってお金は貴重である。
バイトを、増やしたいのだが何時ゼノンが攻めて来るか分からない以上、余り増やせない。
バイト中に、ゼノンが、現れる可能性は十分有り得る。
マスターは総一郎がシャドウ・ブレードである事を知っているのでバイト中に抜け出しても、クビにはならないが他のバイト中だと、抜け出せない。
シャドウ・ブレードで、ある事を話せば良いのだが、そんな事を話したりは、出来ない。
正体を、知られると自分だけでは無く知った人も危険なのだ。
晶の時はゼノンの戦闘員に、二人して囲まれてしまい彼女を救う為に晶の目の前で転身したのだ。
出来る限り正体は、知られない方が行動もしやすいが…。
総一郎は布団の中に潜り込み疲れていた所為か、直ぐに眠りに落ちた。
翌日、総一郎は目を覚ますと、朝の10時過ぎで飛び起きて、制服に袖を通そうとして今日が振替休日である事を思い出し総一郎は、照れ臭くなり顔を赤くした。
そう言えば文化祭に使った調理器具を、青空に、持って行かないとな…。
そう思った総一郎は結局制服に袖を通し昨日の夜作ったカレーを温め直し総一郎はカレーを食べるが余り美味くない。
もう1年近くは人と一緒に食べていない。
マスターや、亮子さんと食べてた時は美味かったのに…変だな?
総一郎は、訝しげな顔をしながらカレーに口を、つけるが味気無い。
総一郎は無理やりカレーを、口の中に詰め込んでサプリメントを、飲んでガスの元線をチェックし戸締まりを確認してから何時もの様にポケットにソウル・クリスタルを、入れて携帯と財布を持ち家を出た。
外は相変わらず暑い。
一瞬、家に戻ろうかと、本気で、考えた総一郎だったが、そのまま歩き出した。
蝉の大合唱に霹靂しつつ総一郎は雲一つ無い青空を見上げた。
太陽の光が、燦々と降り注ぎアスファルトに陽炎が出来ている。
街頭テレビで今日は記録的な猛暑で日傘が居ると言っていたが総一郎には余り必要無かった。
暑い為、シャツは汗で、ベタベタして気持ち悪かったがこれも正体がバレない為に必要な事なので我慢するしかない。
一先ず、喫茶店・青空へと向かいながら総一郎は歩き出したのだった。
駅前を通ると、少し前の戦いで、破壊されていたのが、綺麗に修復されていた。
総一郎は、携帯で時計を確認すると10時25分過ぎでちょっとゆっくりし過ぎたな…。
そろそろ昼時の食材準備を始める頃だ。
総一郎は急ぎ足で青空へと向かう。
青空の入口で、総一郎は立ち止まった。
何故なら、晶が居たからである。
晶は小説を、読みながら時々手を休めてジュースに口をつける。
銀色の髪が光に反射して総一郎は少しの間、見惚れていた。
綺麗だなと純粋に思ったが口には出さないし顔にも出さない。
総一郎は一瞬店に入って晶に声をかけようか?と思ったが止めた。
総一郎は、自分一人でも荷物は持てるしマスターに迷惑は掛けられない。
そう思った総一郎は踵を返すと学校へ向かった。
一方、その頃青空では…
修二
『総一郎の奴、なかなか来ないな…』
晶は、マスターの言葉に微かに頷いた。
晶は店の中の時計を見ると、11時過ぎで、そろそろ、店が忙しくなると判断して…。
晶
『すいません…そろそろ帰ります…』
そう言うと晶はポケットから財布を取り出し勘定を済ませると店を出たのだった。
そんな事には全く気付かず総一郎は学校へと向かい正門を通り下駄箱へ。
振替休日とは言え部活がある為、学校自体は開いている。
総一郎はリアカーを借りる為に職員室へ。
総一郎が職員室へ入ると総一郎に気付いた教師。
教師
『どうしたんだ?』
総一郎
『リアカーを借りに来たんですよ』
そう言う総一郎に教師が苦笑しながら言った。
教師
『ほら…用務室の鍵だ。何に使うか知らないが、早めに返せよ…』
っとアッサリ鍵を渡して教師は何処かへ。
総一郎は、鍵を握り締め職員室を出ると一直線に用務室へ足を運ぶ。
青嵐学院高校は生徒総数五百人を超える巨大学校である為に、校舎数も、かなりの数で、生徒だけでは無く教師も迷う程である。
尤も総一郎にとっては、簡単に覚えられたが…。
それでも用務室に行くのに、歩いて10分位は、かかる。
総一郎が本気で走れば、一分も、かからないが、誰かに見られたら面倒な事になるし、只でさえ、深雪に、自分がシャドウブレードでは無いのか?っと、疑われているのだから軽率な行動は、避けるべきだ。
総一郎は、そんな事を、考えながら只管、歩いて行くと漸く用務室に辿り着き鍵を開けて中から、リアカーを引っ張りだし鍵を閉め玄関へ移動。
リアカーを邪魔に、ならない所に止め教室へ。
中に入ると綺麗に片付けられ炊飯器やトースターやカーペットにテーブル・クロス等が固めて置いてある。
取りあえずカーペットを丸めて右手に持ち炊飯器を左手に抱えてリアカーの元へ。
5回程、往復し全てを、リアカーに乗せると青空へ向かった。
途中、擦れ違う人にジロジロと見られて気恥ずかしい思いもしたが総一郎は黙々とリアカーを引き青空に到着。
ドアを開けると総一郎に気付いた修二に溜め息を吐かれ…。
総一郎
『人の顔を見て、いきなり溜め息を、吐かないでくださいよ…』
呆れながら言う総一郎に修二は益々溜め息を吐いて…。
修二
『なあ…。総一郎』
修二は、真剣な顔をして言って…。
総一郎
『何ですか?』
っと言いながら総一郎は荷物を店の中へ運び込んでいく。
修二
『運び終えたらちょっと俺の部屋へ来い。お前に話がある…』
そう言うと、修二はカウンターの中へ。
総一郎は何の話だろう?と、思ったが取りあえず荷物を中へ運び込むのが先だと思い素早く荷物を置いてゆく。
10分程度で終わらせると総一郎は…。
総一郎
『マスター!荷物を運び終えたぞ!』
修二は、カウンターから出て何故か外に出ると、オープンの掛札を、クローズにしてそれに、気付いた総一郎は、店の中へ入って来た修二に…。
総一郎
『今が一番、稼ぎ時なのに、何でクローズするんだよ?』
総一郎
『亮子さんに怒られますよ。また、勝手な事してシバくよ!って…』
っと笑いながら言う総一郎に修二は…。
修二
『そんな事はな…どうでも良いんだ。総一郎早く来い!』
それだけ言うと、修二は2階の自室へ。
総一郎は渋々後を着いて行く事になった。
今回、夏休み編なので色々と書く予定ですので、目茶苦茶、長くなります。
それでは…。