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第14話・力の代償。

血と、胃の中の物を吐いて気を失った総一郎は、エンジェルによりゼクロス本部へと連れて行かれて治療を受ける事になった。

今回も視点が、コロコロと変わります。

エンジェル

『早く総一郎さんをメディカルルームへ!』


戻って来たエンジェルは総一郎を抱き上げたまま声を荒げる。


普段は冷静なエンジェルが、此所まで取り乱すと言う事は余程の事があると言わざるえない。


総一郎は、荒い息をしており時々、咳をしてその度に真っ赤な血を、吐いている。


エンジェルは総一郎を、抱えたまま一直線でメディカルルームへ急いだ。


エンジェル

『レイス!レイス!何処なの!レイス!』


そう言いながらメディカルルームの中へ。


レイスはエンジェルを見てどうしたんですか?っと聞く前に総一郎の吐血を見て立ち上がりエンジェルに近付く。


レイス

『一体、何が…』


エンジェル

『分からないわ…』


エンジェルは首を振る。


レイス

『取り敢えず総一郎さんを横に寝かせて…』


レイスに言われエンジェルは、総一郎をベットの上へ静かに置く。


レイスは、総一郎の額に手を当て意識を集中。


レイスは…。戦闘能力が低い。


っと言っても一人で一国を相手に対等に戦える程の力は持つ。


彼女は、回復や補助系のエキスパートの為、大概の怪我や病気なら簡単に治す事が出来る。


淡い緑色の光が、総一郎の体を包み込む。


青白かった総一郎の顔色が少しずつではあるが、良くなっていく。


荒かった息も、少しずつ整い始め咳も治まっていく。


体温も下がり総一郎は、穏やかな寝顔になった。


総一郎の左手に着けられたままのソウル・クリスタルが、光を放ち総一郎が目を覚ました。


此処から総一郎視点に、変わります。


人の気配に、目を覚ますと…。


レイス

『気付きましたか…』


っと、言う女の人の声が聞こえて、目を向けると緑色の鎧を着た女の人が僕の額に緑色のソウル・クリスタルを着けた左手が触れて居た。


総一郎

『レイス?それに、エンジェルも、何で居るの?って言うか此所は?』


僕が軽いパニック状態になって居ると…。


エンジェル

『貴方は血を吐いて倒れたから、ゼクロス本部のメディカルルームへ連れて来ました…』


っと状況を説明してくれたので理解した。


レイスは、僕の額から手を退けると…。


レイス

『取り敢えずは回復しておきましたが無理はしないで下さい』


口調は優しいものの目は怒っている。


エンジェルも、明らかに不機嫌そうな顔をして、僕を見ている。


バタン!っと、大きな音を立てて扉が開いて…。


レイチェル

『おい!総一郎は、無事なのかよ!って…』


レイチェルがメディカルルームに入って来た。


元気そうな僕を見てレイチェルは一瞬固まり直ぐに…。


レイチェル

『何だ…元気そうじゃねぇか…』


っと言い溜息を一つして


レイチェル

『まあ…元気なら良いけどよ…そうそう!シオンが、お前の事を呼んでたぜ?重要な話しがあるんだってさ…』


重要な話し?まあ…行ってみたら分かるか…。


総一郎

『レイスさん。ありがとうございました』


此処からレイス視点に、変わります。


総一郎さんは、そう言うとメディカル・ルームを出て行った。


レイチェル

『それにしてもアイツ…無茶し過ぎだぜ…。もう少し自分の体の事を考えたら良いのによ…』


レイチェルの言葉に…。


レイス

『まあ…。あの人にも、自分なりの考えが、あるのかも知れません…』


っと、言いそれを聞いたエンジェルは悲しそうに言った…。


エンジェル

『総一郎さんは私達よりも、遥かに重い宿命を、背負わされています…。私は、総一郎さんの手助けをして、あげたいんです…』


エンジェルもレイチェルも総一郎さんを心配して居るのが分かり……。


レイス

『大丈夫ですよ…。彼は貴女達が思って居るよりも、ずっと強い人です』


此処からエンジェル視点に、変わります。


レイスは悲しそうな表情をして呟く様に言った。


レイスは無意識の内に人の心や記憶を、読んだり見えたりするらしい。


それは途方もない力だけど時として、それは苦痛にさえなる。


それ故、レイスは自分の力を嫌う。


きっと治療した時に、彼の心や記憶が流れ込んで来たのだろう…。


私は、二人に気付かれない様に、小さな溜息を、一つ吐いた。


此処から総一郎視点に、変わります。


その頃、僕はシオンさんの部屋に向かって歩いていた。


一体、なんの話しがあるのか?


全く見当が付かない。


正直に言うと、さっさと文化祭に戻りたいが重要な話しと、レイチェルが言っていたので行くしか無い。


似た様なドアが沢山あり何度か間違えた。


扉を、ノックすると中から…。


シオン

『開いて、居るから入りたまえ…』


っと、言うシオンさんの声が聞こえ僕は部屋の中へ。


中へ入ると先ず目に付いたのが、大きなモニターと銀色のテーブル。


御揃いの銀色の椅子が、七つある。


シオン

『突然で済まない…君に話して置きたい事があるんだ…』


そう言いながら、シオンさんは僕の方に顔を向けた。


シオン

『君はこの前クリムゾンヘッドと戦っただろう?その戦いの途中で君の姿が変わった事に気付いて居たかい?』


そう言われて、僕は首を振り否定した。


あの時は、無我夢中だったから…。


そう言うと…。


シオン

『これを見てくれ』


そう言うと大きなモニターに、あの時の様子が、映し出されて居た。


何時もの黒い鎧に手首から肘までの間と足首と膝までの間が変形しているしフェースガードも変形して背中に翼があった。


しかも、変形した部分が全て金色だった。


この姿は、まるで…。


シオン

『ドラゴンみたいだな…それに見て御覧…』


画面の中の僕は金色の竜を体に纏い丁度、竜の口が左の拳にある。


次の瞬間、突然現れた男の人の画像でストップ。


シオン

『この世界には、7個の精神力変換装置。今風に言うと、ソウル・クリスタルと呼ぶが…』


突然、シオンさんが…。


シオン

『ソウル・クリスタルに名前が、あるのを知って居るかい?』


更に言葉を続けた。


ソウルクリスタルに名前があるなんて、知りもしなかった。


シオン

『君の持っているソウル・クリスタルの名前は、シャドウ…』


シオンさんは、次々と、ソウルクリスタルの名前を挙げていく。


エンジェル・レイチェル・ライト・レイス・シオン。


シオン

『私達…。ゼクロスには7つのソウルクリスタルが、あった…』


総一郎

『でも、僕のを合わせても6つしか無い』


シオン

『今、画面に写っている男こそ悪の秘密結社ゼノンの首領であり…』


そこでシオンさんは言葉を止めた。


シオンさんは、悲しそうな顔をしてポツリと…。


シオン

『最後のソウル・クリスタル、ゼノンを持つヒーロー・ゼノン・ブレードだった男で名前は風間…風間聖児…』


っと呟く様に言った。


シオン

『彼に何があったのか?それは分からない…』


シオン

『ただ分かって居る事は彼が人を、憎み全人類の抹殺を企てて居るっと、言う事くらいだ…』


シオン

『総一郎君…彼を…聖児を倒してくれ…。聖児のソウルクリスタルに対抗出来るのは君の持つ可能性と、ソウルクリスタルだけなんだ…』


此処からシオン視点に、変わります。


総一郎君は少しの間無言で目を閉じて居た。


再び目を開けた時…。


総一郎

『シオンさんは皆の力が信じられないんですか?シオンさんの今の言葉は僕以外では…。ゼノンに勝てないと言って居るのと同じですよ…』


私は驚き黙りこんでしまった。


総一郎

『僕は余り皆の事を知らないけどシオンさんなら知ってる筈ですよね?』


確かに私は皆の事を知っては居る。


総一郎

『勿論、僕だってゼノンは倒さなくちゃならないと思って居ます…』


総一郎君は、更に言葉を続ける。


総一郎

『俺にとって…ゼノンと戦う事、それが俺の生きる理由であり、俺の存在理由でもあるんです…』


シオン

『君は間違って居るよ…総一郎君!』


私は、総一郎君の言葉に怒りを覚えた。


シオン

『君は間違って居るよ!戦う事だけが生きる理由だなんて悲しすぎる』


総一郎

『シオンさん…。ゼノンの怪人が何を、ベースに造られてるか知ってますか?』


総一郎君は徐に、そんな事を言い出し私は…。


シオン

『まっまさか…。君は…知って居るのか?戦闘員や怪人が…』


人間で出来ている事を…


総一郎

『知ってますよ…』


総一郎君は、アッサリと肯定した。


私は少なからずショックを受けた。


私の子供位の年齢の少年は怪人が、元人間である事、それを知りながらも戦う事を選び誰かを守ろうとして居る事。


目の前に立って居る少年は、そんな決意を微塵も感じさせない。


いや…そう言う風にして居るのかも知れない。


総一郎

『俺は戦う事しか出来ないし…。幸いな事に天涯孤独の身の上だ…。死ぬ覚悟ならば、あの時から出来てた筈なのに…』


総一郎君は、俯きながら言葉を続ける。


総一郎

『なのに俺はあの時…。クリムゾン・ヘッドとの戦いで初めて死にたくないって思ってしまった』


悲しそうに呟く総一郎君に私はかける言葉が見付からなかった。


総一郎

『俺は弱くなったのかも知れない…』


しかし、普通なら誰でも戦いの最中に死にたくないと思うのは当たり前の事だ。


そう言うと総一郎君は少し驚いた顔をした。


シオン

『君は確かに怪人達の命を奪ってきた。それは、紛れも無い事実だろう…だからこそ君は死んでは駄目だ…』


シオン

『最後の最後まで生きる努力をするべきだし…。そうしなければ…今迄、倒して来た怪人達は無駄死にになる…』


此処から総一郎視点に、変わります。


シオンさんは、穏やかにしかし強い決意を言葉に滲ませていた。


総一郎

『俺は…』


迷いが未だ晴れない僕にシオンさんが言った。


シオン

『何時か…君にも生きる理由が見付かるよ…多分君自身…気付いて居るんじゃないのかい?』


その言葉に僕は一瞬だけ一人の女の人が頭を過ぎり僕は慌てて、その思いを打ち消した。


そんな僕の事を見て…。


シオン

『君は、好きな人が居るな…』


突然そんな事を言われて僕は一瞬言葉に詰まる。


総一郎

『そんな事は…』


無いですよ。っと言う前にシオンさんは穏やかな微笑を浮かべて言った。


シオン

『自分の思いを否定するのは、良くないぞ?その思いは君に、無限の力を与えてくれる筈だ。それは…この前、身を持って知って居る筈…』


まるで、僕の心を読んで居るみたいに言うシオンさん。


黙り込む僕に…。


シオン

『余り…無理はしない事だ。ソウルクリスタルは君が思って居る程、万能じゃないし安全な物では無いのだから…』


此処からシオン視点に、変わります。


総一郎

『その事は、父さんから聞いて居ますよ』


総一郎君は苦笑いを浮かべて居る。


修司はどうやら総一郎君に自分と同じ道を歩ませたくなかったのだろう。


だから修司は真実を話して諦めさせようとしたのだろう。


しかし…。やっぱり君の息子は、君と同じ道を、歩んでしまったが、安心してくれ。


君の息子は必ず私と私の仲間達が守ってみせる。


此処から総一郎視点に、変わります。


僕はシオンさんが無言で微笑んでいるにも関わらず目は笑っていない事に気付いた。


しかし、僕は、その事には触れず…。


総一郎

『まさか、ゼノンの首領が、元はヒーローだったなんて…』


そう言うと…。


シオン

『今は彼の居場所は特定出来ていないが、その内必ず見付けだしてゼノンの本拠地を叩く。その時は君の力を貸してくれ』


総一郎

『分かりました…』


此処からシオン視点に、変わります。


総一郎君は頷いてくれて私はホッ!っとした。


シオン

『それにしても君は凄いな…。その歳で進化までするとは…』


此処から総一郎視点に、変わります。


いきなりそんな事を言われて…。


総一郎

『進化?あの姿の事ですか?』


シオン

『ああ…。ソウル・クリスタルには、4つの形態変化がある』


総一郎

『えっ?そんなに在るんですか?』


シオン

『先ずは…。バランス・タイプのノーマル・ウォームだ…』


シオン

『これは、ソウルクリスタルで変身した時の形態で、パワーやスピードのバランスが、良くエネルギー効率も良いのが特徴だ…』


シオン

『次は、スピード重視の形態アストラル・ウォームだ…』


シオン

『ノーマルウォームとは比べ物に、ならない速度を叩き出せるがノーマルウォームよりもパワーと装甲が低下する…』


シオン

『次はパワーと、装甲を重視した形態・ドラゴンウォームだ…』


シオン

『この形態はパワーと、装甲を、重視して居る分ノーマル・ウォームよりスピードが劣る…』


シオン

『そしてアルティメットウォーム…』


シオン

『その名の通り正に究極と、呼べる程の力を手に入れる事が出来る…』


シオン

『だが、エネルギー効率が極めて悪く、この状態に、進化して死んでしまった者も居る程だ…』


シオン

『進化は、パワーアップする代りに、代償を支払う…』


シオン

『力を得る代りに確実に体に負担を掛け寿命が、縮むかも、知れない確率が高くなる…』


シオン

『事実、君のお父さんも進化した為に寿命が削れ命を落としてしまった』


シオンさんはそう言うと溜息を、吐いて更に言葉を続ける。


シオン

『それでも君は…』


此処からシオン視点に、変わります。


戦うのかい?っと言う前に…。


総一郎

『怪人達は…。どんどん強くなってます…。正直ノーマル・ウォームではクリムゾン・ヘッドには勝てない…』


総一郎

『やはり進化しなくてはその為にも進化を、自分の物にしなくちゃこの先首領は、おろか怪人達にすら勝てない…』


その瞳に迷いは無く決意の火が点っている。


総一郎君の姿に、修司の姿が重なる。


シオン

『やはり…血は争えないな…君のお父さんも君と同じ事を言って居たよ』


懐かしさに、呟き笑みを浮かべる。


シオン

『此所ならば…。誰にも邪魔される事も無く修練を詰む事も、出来るだろう…』


此処から総一郎視点に、変わります。


そう言うと、僕の肩に手を置き…。


シオン

『そう言えば今日は青嵐学院高校の文化祭だったな…』


総一郎

『えっ?何で知って居るんですか?』


そう聞くと、シオンさんは笑いながら…。


シオン

『私も君と、同じ高校に行って居たからね。君のお父さんも、お母さんも同じ高校の卒業生だよ。多分、卒業写真が学校に残って居る筈だ…』


全然、知らなかった。


お父さんと、お母さんが僕の通って居る高校の、卒業生だったなんて…。


シオン

『丁度、17年前の卒業生のアルバムだから探して見なさい…』


そう言うと、シオンさんは更に…。


シオン

『それと明日、休みの筈だな…』


っと突然、真剣な顔をして聞いて来た。


僕は内心、驚きながらも頷くと…。


シオン

『明日、深夜0時に千川鉱石場に来なさい…一度君と、戦ってみたいからね…』


そう言われて、僕は一瞬だけ血が熱くなった。


怖い筈なのにそれ以上に戦いたいと、思って居る自分に戸惑いを感じる。


シオン

『話しは以上だ…それと明日は、本気で向かって来ないと死ぬ事に、なるから気合を、入れて来なさい。楽しみにしておくよ…』


此処からシオン視点に、変わります。


そう言うと、総一郎君は無言で、頷き部屋を出て行った。


私は溜息を一つする…。


シオン

『さて何時まで、隠れて居るのかな?君達は…』


私が、そう言うとライト・レイス・レイチェル・エンジェルが出て来た。


私は大袈裟に溜息を一つして…。


シオン」『やれやれ…。君達には何時からそんなに野次馬根性が、ついたのやら…』


シオン

『っと言うか…エンジェル…。そんなに睨まないでくれないか?かなり…怖いぞ?』


そう言うと…。


エンジェル

『別に睨んで居ません。それよりも本気で、総一郎さんと戦うつもりですか?』


エンジェル

『貴方と総一郎さんでは力の差があり過ぎます。なのに何故…』


そう言って私を、睨んで居るし。


レイスも、ライトも、レイチェルも同じ様な感じだ。


シオン

『まあ…。それなりに、理由は、あるのだが今は言わないでおくよ。君達も早く行きたまえ…』


そう言い私は彼等に背を向けた。


彼等が、居なくなったのを確認してから私は懐から写真を取り出した。


私と修二と蓮と聖児そして晃司と光と亜依。


17年前の卒業式の後に撮った写真で、ゼクロスと名乗る前の、ヒーロー達の名前。


その殆どが、悪の秘密結社との戦いで、命を落としてしまった。


生き残って居るのは私と亜依、そして聖児…。


私は、昔の事を思い出し涙を流した…。



悪の、秘密結社の首領=元ヒーロー。

何故、風間聖児が悪の道に突き進んだのか?

何故、人間を憎み全人類の抹殺を、企てて居るのか?今は未だ語れません。

ネタバレになりますので…それに余りシリアスな話しに、なって居ない気が…。

取り敢えず次回もシリアスな話しにする予定です。

それでは…。


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