第13話・文化祭!中編。
文化祭当日。総一郎は晶と一緒に調理を担当して居たが隆司の好意?で、休憩を貰った総一郎。
しかし…。今回も視点が、コロコロ変わります。
ピピピピピ!っと目覚まし時計の音が部屋に響き僕は目を開けた。
時刻は朝6時…。
一昨日…。天野さんを、家まで送りマスターが、待って居る学校へ向かい調理器具を、教室へ持ち込んだ。
その後、家まで送って、貰い何時もの日課である鍛練をこなす。
その後、風呂に入って、少しだけゲームを、して眠った。
久しぶり?に、ゆっくり寝たので体が軽い。
今日は待ちに待った文化祭本番だ。
今年は、文化祭を周れると良いのだけど…。
そんな事を、考えながら僕は学校に、向かう為の準備を始める。
此処から晶視点に変わります。
私は、蝉の鳴き声で目を覚ました。
時計を見ると7時20分で体を起こす。
今回の寝癖は、相当に、酷い…。例えるならライオンみたいな感じだ。
私は取り敢えずタオルと着替えを取りシャワーを浴びて頭を濡らす。
その後櫛で髪の毛を整え全身を拭き背伸びする。
下着を替え自分の部屋に戻る。
今日は、青嵐学院高校の文化祭当日。
井上君と、一緒に調理を担当する。
彼の足を引っ張らない様にしなくては…。
制服に袖を通し私は一階へ向かう。
今日の料理当番は私だ。
メニューを考えつつ御米を洗う。
此処から総一郎視点に、変わります。
時刻は8時20分。
僕は、戸締まりとガスの元栓を確認してから家を出た。
外は茹る様な暑さで蝉もこれでもか!っとばかりに鳴いて居る。
長袖だからかなりキツイけど…。腕にも無数の傷があるので、半袖が着れない。
どんなに凄い金属で出来てあっても着て居る人間は生身なのだ。
擦り傷や切り傷を負う事もあるし、骨が折れたり内臓を痛めたりもする。
ヒーローでも、無敵では無いのだ。
給料が出る訳では無いし文字通り命懸けの戦い。
僕は天涯孤独の身だから人と深く関わりを、持たない様にすれば『自分の死』は悲しまれない。
僕はソウルクリスタルが危険であると分かって、居ても、躊躇う事もなく使用出来るのは失う物が何も無く自分の命すら、惜しくないからだ…。
尤も、その決意もあの人の所為で揺らいでしまって居るが…。
いや…人の所為にするのは良くないな…。
そんな事を思うのは自分の弱さでしか無い。
もっともっと強くならなくては!心も体も…。
そうすれば、戦いの最中に死にたくない等と思わない筈だ。
晶
『井上君ってば!』
急に天野さんの声が聞こえ僕は横を見ると珍しく怒った顔をした天野さんが立って居た。
此処から晶視点に変わります。
3人分のお弁当を、作り終り早めに家を出た。
気温は、30℃を超えているらしい。
歩いて居ると長袖の制服を、来た人が前を歩いて居たので近付いて…。
晶
『おはよう』
っと挨拶をしても井上君は気難しい顔をしたまま私の方を見ようともせず返事もしない。
内心、かなりのショックを感じたけど…。
その後、何度も声をかけたけど無反応。
私は、ムッ!っとして声を荒げて…。
晶
『井上君ってば!』
そう言うと井上君は漸くこちらに気付いて、振り向いた。
井上君は一瞬驚いた顔をして…。
総一郎
『ゴメンね。ちょっと、考え事をしてたから気付かなかった』
っと言い頭を下げる。
そうすると、天野さんは溜め息を一つ漏らし…。
晶
『貴方…。疲れてるんじゃない?』
っと心配そうな目をして呟く様に言う。
僕はギクリ!とした。
どうして、この人は分かるんだろう?
内心、冷や汗をかきながらも…。
総一郎
『そんな事無いですよ。昨日は、久しぶりにゆっくり寝たんで…』
充分な睡眠と食事を取った筈なのに体調が、余り良くない…。
この前のクリムゾンヘッドとの戦い…。
あの日から体調が優れないのだ…。
一体、何が僕の体で起きて居るのか?
取り敢えず明日にでも、病院へ足を運んだ方が、良さそうだ…。
そんな事を考えながら…
総一郎
『今日は一日大変だろうけど一緒に頑張ろう!』
そう言うと、天野さんは微かに笑って…。
晶
『そうね…』
っと呟く様に言った。
此処から晶視点に変わります。
私と井上君は正門を潜ると、学校は完全に御祭り状態になっている。
色々な出し物が溢れ既に一般の人が沢山来て居る様だ。
私と井上君は教室へ。
すると未だ出店もしてないのに並んで待って居るお客さんが居た。
それも10人以上は確実に居る。
私は内心、驚きながらも顔には出さず教室の中へすると田中君がエプロンを持って来た。
『取り敢えず!二人共、頑張ってな!』
此処から、総一郎視点に変わります。
っと、田中は気楽な顔をして言い僕は、溜め息を吐く。
白いエプロンを着て気合を入れる。
総一郎
『皆!準備は良いか!』
そう聞くと皆は、口々に『OK!』とか『準備は大丈夫!』
此処から晶視点に変わります。
総一郎
『では!開店!』
そう言うと、お客さんが入って来た。
私と、井上君は通されたオーダーを作り次々と、ウェイトレス達に渡して行く。
井上君は、見事なフライパン捌きを見せる。
此処から総一郎視点に、変わります。
天野さんは包丁で具材を切りまくって居る。
切った具材を、僕の横に置きつつ無くなった調味料を取り替えていく。
前も思ったけど天野さんは観察力が良い。
僕が言う前に、僕のして欲しい事を察してくれるので仕事が捗る。
料理位は出来ると言ってたけど包丁を、持つ手に危うさが無く流れる様な包丁捌きを見せる。
無表情で無口で更に無愛想だと、他の人は思ってる様だけど決して冷たい人間では、無い事を僕は知って居る。
晶
『何か用?』
突然、天野さんに言われて僕は…。
総一郎
『別に、何でもないよ。急にどうしたの?』
そう言うと、天野さんは手を止めずに…。
晶
『私の事を、ずっと見てたから…』
そう言いながら、具材を切り続けて居る。
総一郎
『いや…包丁の扱い方が慣れてるなって思ったんだよ…』
此処から晶視点に変わります。
井上君は、そう言いながら、切った具材をパンに挟んで、トースターに、入れる。
晶
『小さい時から手伝ってるから慣れてるだけ…』
そう言いながら、切った具材を置く。
隆司
『お〜い。二人共!休憩に行って良いよ!』
っと言いながら田中君が犬耳ウェイターの恰好をしたまま言いそれを聞いた井上君が…。
総一郎
『お前等だけで、大丈夫か?』
っと心配そうに呟く。
隆司
『大丈夫だよ…。それに井上は去年、文化祭周れなかったんだから、少し位は楽しい思い出を、作れよ。後は、俺達で何とかするからさ…』
此処から、総一郎視点に変わります。
そう言われた。
総一郎
『じゃあ頼んで良いですか?』
隆司
『任せとけって!ほらほら、エプロン脱いで!』
そう言われ僕はエプロンを脱ぐと、田中に、手渡して…。
総一郎
『じゃあ御言葉に甘えて少しだけ周って来るよ。ありがとうな…』
礼を言うと田中が…。
隆司
『せめて、3時間位は、周って来いよ!そうしないと、アレが…』
っと言い掛け慌てて口を閉ざした田中に嫌な予感がしたので…。
総一郎
『おい…。何か、隠して無いか?』
っと言うと、あからさまに表情が焦って居る。
僕が、何か言う前に田中は…。
隆司
『ほら!早く行きなよ!天野さん…頑張れよ…』
っと、言われ天野さんは一瞬固まり視線をずらし無言で頷く。
僕と、天野さんは教室を追い出された。
晶
『あの…井上君…』
総一郎
『何?』
此処から晶視点に変わります。
一緒に周ろうと言う前に井上君が視線をずらしたまま…。
総一郎
『天野さん…その一緒に文化祭周りませんか?』
そう言われ私は驚いた。
無言の私に井上君は慌てて…。
総一郎
『あの…嫌だったら…』
晶
『嫌じゃない!』
私は即答した。
好きな人に誘われて嫌な筈が無い。
此処から総一郎視点に、変わります。
何故、僕は天野さんを、誘ったのか?
自分自身、理解出来なかった。
僕は、死ぬかも知れない戦いをして居るのに…。
親しくしてどうする?
親しくして、自分の死を悲しんでしまう人を作らない様に人と親しく付き合わなかったのに…。
今すぐ冗談だよ。と言って笑おう。
そう思い僕は天野さんを見る。
でも言い出せなかった。天野さんが、嬉しそうに笑って居たから…。
この笑顔を消したくないそんな思いが頭を過ぎり僕は戸惑う。
一体、この感情は何だ?
そんな事を、考えながら僕は天野さんと一緒に、文化祭を周り始めた。
総一郎
『何処から周ります?』
晶
『その前に何か食べないとね…』
総一郎
『確かに…御腹空きましたね…』
此処から晶視点に変わります。
井上君はそう言うとタイミング良く御腹が、鳴り私が笑うと…。
総一郎
『2時間位ずっと立ちっ放しで休憩も無かったんですから…』
っと赤くなって呟く様に言う。
晶
『取り敢えず…。食べ物関係の店を周りましょうか?』
此処から総一郎視点に、変わります。
総一郎
『そうですね…。って、天野さん…笑い過ぎ…』
笑い続けて居る天野さんに、そう言うと…。
晶
『だって…。タイミング良過ぎ…』
そう言いながら天野さんは未だ笑っている。
此処から晶視点に変わります。
井上君は、呆れた顔になり…。
総一郎
『置いて行きますよ』
っと拗ねた声音で言うと井上君は歩いて行く。
私は慌てて彼の後をついて行く。
此処から総一郎視点に、変わります。
僕と天野さんは、食べ物関係の店をメインに周り始めた。
周りには沢山の人達。
笑顔と活気に溢れており自分まで、テンションが上がる。
取り敢えず焼ソバを購入し歩きながら食べる。
座る場所が無いのが痛いが仕方が無い。
此処から晶視点に変わります。
井上君と、一緒に先ずは射的屋に足を運ぶ。
1年男子
『いらっしゃい!』
っと1年の男の人が言った。
総一郎
『5回で100円か…。景品の割りに、太っ腹ですね…』
此処から晶視点に変わります。
確かに、結構良い賞品が陳列されている。
井上君は100円払ってゴム銃で、賞品に狙いを定める。
彼が狙っているのは小さな青い瓶。
結構、良いセンスの物を狙っている。
引き金を引き一発で青い瓶をゲットした彼は…。
総一郎
『天野さんも…やってみたら?結構良い賞品あるし…』
そう言ってゴム銃にゴムを付け私に手渡す。
私は、小さな兎のキーホルダーを狙ったけど外してしまった。
3回狙ったけど全て外してしまい井上君が…。
総一郎
『俺が当ててやるよ…。貸して?』
そう言われ私は井上君にゴム銃を渡す。
井上君は、ゴム銃にゴムを付け兎のキーホルダーに狙いをつける。
ゴムが見事にキーホルダーに、命中して予告通りキーホルダーを、ゲットした彼は笑いながら…。
総一郎
『はい』
っと、言いキーホルダーをくれた。
此処から総一郎視点に、変わります。
天野さんは、嬉しそうに笑い黒い財布にキーホルダーを付ける。
その後、金魚掬いに水風船釣り等をした。
隆司
『午後2時より校庭にてイベントが、ありますので、奮って参加下さい』
っと、校内放送で田中の声が流れた。
晶
『イベント?』
天野さんは怪訝な顔をして言い僕は…。
総一郎
『2時まで、1時間は…ありますね…』
田中が考えるイベントか何か嫌な予感がする。
そして、そう思う時大抵その予感は当たる。
良い意味でも悪い意味でもだ。
此処から晶視点に変わります。
井上君は、何か考え事をして居るのか?
珍しく、眉間に皺が寄って居る。
私が声を、かけようとした瞬間、辺りに爆発音が響き渡る!
沢山の人達の悲鳴が聞こえ周りは騒然となる。
穏やかな顔から、一瞬で真剣な表情に変わり井上君はポケットから、黒い手袋の様な物を、取り出す。
手袋と言うより小手みたいな物の真ん中に水晶が付いてある。
彼は振り返り…。
総一郎
『危ないから天野さんも皆と、一緒に避難して、下さい!』
それだけ言うと井上君は走って行った。
此処から総一郎視点に、変わります。
僕は取り敢えず誰も居ない所へ行こうと思い屋上へと急ぐ。
途中で一之瀬さんと田中に会ったのだが今は構ってる時間も暇も無い。
此処から深雪視点に変わります。
私は教室の中で爆発音が響くのが聞こえて皆は、外に、避難し始めて私も田中君と、一緒に教室を出る。
前から、総一郎が走って来て私は声をかけようとしたがそのまま総一郎は何処かへ行ってしまう。
そう思うと私は居ても、立っても居られず総一郎の後を追った。
総一郎は、沢山の人達の間を器用に走り抜ける。
自慢じゃないけど、私は百m走11秒台。
なのに…。どんどん引き離されてしまう。
総一郎は、人込みの中へ紛れ込み見失った。
私は立ち止まり息を整えながら人込みの中へ消えた総一郎の事を考えた。
10年以上も、一緒に居るけど、あんなに真剣な表情をした総一郎を見るのは始めてだ…。
何時もは、ヘラヘラ笑って、居て悩みなんか無い様な感じなのに…。
私の知ってる総一郎は、馬鹿でマヌケだけど優しい奴で…。
晶
『一之瀬さん。こんな所に居たのね…』
そう言われて、私が振り向くと天野さんが走って来た。
此処から晶視点に変わります。
私も、皆と一緒に避難して居ると…。
隆司
『一之瀬さんが、井上を追い掛けて行ってしまったよ』
そう言われ私は焦った。
マズイ!もし、転身している所を見られたら幾ら何でも言い訳出来ない。
私は一之瀬さんを見つける為に走り出した。
幸い一之瀬さんは井上君を見失ったらしい。
内心ホッ!っとしたけど安心出来ない。
ゼノンの奴等に遭遇する可能性だってある。
晶
『早く此所から…』
離れましょうと、言う前に、カメレオンに似た全身緑色の怪物と、赤い全身タイツを、着た戦闘員が私達に近付いて来る。
???
『アイツ等を捕らえてシャドウ・ブレードを誘き出す餌にするのだ!』
赤の戦闘員全員
『了解…。ターゲットを捕捉しました。命令を、実行します…』
赤いタイツを、着た人が5人現れ私達に向かって来る。
私は彼の足手まといにはなりたくない。
その一心で、恐怖を押し殺し私は、一之瀬さんの手を掴み逃げ出した。
しかし…全力疾走しても距離が広がらず逆に距離が縮まって居る。
焦って足が縺れコケてしまった。
深雪
『天野さん!』
そう言って、一之瀬さんが立ち止まろうとしたので私は…。
晶
『私の事は良いから早く逃げなさい!』
深雪
『でも!』
晶
『良いから早く!』
私は一之瀬さんに怒鳴り一之瀬さんが…。
深雪
『ほっとけない!』
そう言って戻って来てしまった。
赤いタイツの人達に囲まれてしまった。
捕まる!と思った瞬間、目の前に黒い何かが赤いタイツの人に飛び蹴りを繰り出し凄い音を立てて赤いタイツの人は吹き飛んだ。
目の前に黒いメタリックな鎧を着た井上君が私達の前に現れた!
今回、総一郎は晶を誘った理由が分からないのは彼自身に問題があるわけで…。
それは又の機会に書きますが…。
次は、戦闘+後夜祭。
少しエグイ表現があったりします。
それでは…。