表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/68

第10話・文化祭へ向けて…。

何とか、深雪を誤魔化した総一郎。

一週間後に、迫る文化祭へ向けてクラスメートの皆と準備を始めたのだか…。

しかし…ゼノンが黙って、居る訳が無い!

ゼノン最強の怪人が総一郎に挑む!

メインは総一郎視点ですが今回も、視点がコロコロと変わります。


僕は内心、冷や汗をかきながらも何とか、一之瀬さんを誤魔化した。


一之瀬さんは、頭が良いから油断は出来ない。


目立った行動は控えて置かないとバレそうだ…。絶対に、知られる訳には行かない。


僕は決意を新たにし教室の中へ。


一週間後に迫った文化祭へ向けて、準備を進めるべく僕はクラスメートの皆から一人、500円のカンパを募り1万5千円集まったのだか…。


ちょっと、心許無いので僕は+5千を、自分の財布から取り出し2万にして食材の買い出しに行こうとすると…。


『手伝うわ…』


っと声をかけられた。


此処から晶視点に変わります。


井上君は最初は、米とか重い物だから…。


そう言い断ったが、二人の方が早く終わると言うと井上君は渋々、承諾し私は井上君と一緒に買い物へと向かう。


『何処で買うの?』


総一郎

『業務用のスーパーが、学校の近くにあるから…そこで買うよ…』


私と井上君は二手に別れて食材を買う。


っと言ってもお米と珈琲の豆だけ…。


それ以外は文化祭の当日に買うらしい…。


僅か6千円程度で、お米10キロと、珈琲の豆を5キロ買い井上君は軽々とお米を担いで…。


総一郎

『それじゃあ天野さん…珈琲の豆の方を、お願いします…』


そう言い私は珈琲の豆を両手で抱えると井上君の後を追う。


『随分、本格的にする様だけど?』


此処から総一郎視点に、変わります。


天野さんが呟く様に言った。


総一郎

『実は手間は掛からないんだ…』


そう言うと、天野さんは驚いた顔をして言った。


『そうなの?』


総一郎

『ただ、豆を擂り潰して潰した豆を専用の入れ物に容れてお湯を注ぐだけなんだよ…』


総一郎

『それより天野さん…。大丈夫?』


『大丈夫…』


額に汗を掻きながら言うけど、明らかに無理して居るのが分かる。


此処から晶視点に変わります。


珈琲の豆は見た目に反して、かなり重い。


手伝うと、言った手前、井上君に迷惑は掛けられない。私は必死に抱えて居ると…。


総一郎

『半分、持つよ…。貸して?』


そう言うが早いか、お米を一旦、下ろし片手で、お米を持ち空いてる手で私の荷物を半分、持つと言ったけど明らかに半分以上取ると…。


総一郎

『じゃあ行こうか…』


そう言い井上君は足取りも軽く汗一つ掻いて居ない。


私が御礼を言うと…。


総一郎

『後、少しだから頑張ろうな…』


っと笑顔で言い私は内心ドキドキしながら平静を装って…。


『そうね…』


っと言うのが精一杯。


正門を通り下駄箱に辿り着き私は井上君の上履きを取り下に置くと…。


総一郎

『ゴメン…ありがとう』


そう言い井上君は、頭を下げる。


彼は人に何かして貰うと必ず御礼と頭を下げる。


当たり前の事を当たり前にする。


簡単な様でいて難しい事を彼は難なくする。


それが、彼の美点の一つに上げられる。


彼の靴箱に、靴を入れるとやっぱり、御礼を言い頭を下げる。


彼は教室へは向かわずに何故か視聴覚室の方へと向かって居る。


此処から総一郎視点に、変わります。


『何処に行くの?教室に行くんじゃないの?』


総一郎

『教室に、置くと邪魔になるから余り、使われてない視聴覚室に、置いて居るんだ…』


天野さんに説明しながら歩き視聴覚室へ。


ドアを開け荷物を、下ろした。


総一郎

『お疲れ様…さて…次は教室の方で衣装の準備をしないと…』


此処から晶視点に変わります。


井上君はそう言い教室へと向かって行く。


凄い体力…。やっぱり彼は凄い…。


ちょっと、休憩しないと体が持たない。


休んで居ると井上君が、戻って来た。


総一郎

『天野さん…。喉乾いたでしょ?ポカリあったから此所に置いとくよ…』


そう言って私の側にポカリを、置くと視聴覚室を出て行った。


私はポカリを飲み乾いた喉を潤した。


此処から総一郎視点に、変わります。


僕が教室に入ると皆は、飾り付けやら、衣装造りやらで忙しそうに動いて居る。


隆司

『なあ…。井上…』


総一郎

『なんだ…』


隆司

『今年は女子は猫耳メイド服で、男子は犬耳ウェイターに決定したぞ…』


僕は速攻で言った。


総一郎

『今年も、僕は料理長で良い…』


隆司

『そんなに嫌なのかい?この格好…』


そう田中の今の格好は、犬耳ウェイター…。


こんな格好になったら、河野先輩に一ヵ月はからかわれるのは、火を見るより明らかである。


総一郎

『クラスの男子も女子も殆ど、料理が出来ないんだから僕が、やるしかないよ…』


そう言って、田中が何か言おうと口を、開いた時天野さんが教室へ入って来て田中の格好を、見て一瞬固まり最初は微かに笑っていたが耐え切れなくなったのか?


天野さんは、声を出して笑って居る。


隆司

『酷いな〜。そんなに、笑う事無いじゃん』


田中は、珍しく悲しそうに言い天野さんは漸く笑いが治まり慌てて謝って居るのだが…。


何か気分が悪い…。


胸がムカムカする…。


そんな、理解不能の感覚が僕を襲う。


僕は無理やり、その感覚を押し殺した。


此処から深雪視点に変わります。


深雪

『総一郎!ボサッとして無いで手伝って!』


私は、ボケッと突っ立って居る総一郎に声をかけると…。


総一郎

『ああ…』


っと、今まで聞いた事の無い低い声で、返事をした。


私はドキ!っとして手元を狂わせてしまい針で、指を刺してしまった。


総一郎

『いっ一之瀬さん…大丈夫?』


そう言い心配そうに呟き総一郎は眉を顰める。


深雪

『大丈夫…。それより…どう?似合ってる?』


此処から晶視点に変わります。


一之瀬さんは、猫耳に、メイド服の格好を井上君に見せてそう言った。


総一郎

『えっ?ああ…似合ってる…』


彼は頬を少し染めて呟く様に言った。


滅多に言わない井上君が褒めたのを聞いて一之瀬さんは、嬉しそうにしているのを見て井上君は、怪訝そうな顔をした。


私は田中君に言った。


『私も…アレを着なきゃダメなの?』


そう言うと田中君は笑い言った。


隆司

『勿論…。っと言いたい所だけど嫌なら調理専門でも良いよ…。但し文化祭を、周れない可能性があるけどね…』


そう言われて、私は一瞬迷ってしまった。


そんな私に田中君は…。


隆司

『因みに井上は料理長なんで多分…今年も文化祭は周れそうに無いね…』


私は、その言葉を聞いて言った。


『そんなに大変なの?』


隆司

『ああ…。さっきも言ったんだけど井上の料理の腕は、一流のシュフにも匹敵するからね…』


果てしなく意外な田中君の言葉に、私は驚き田中君は…。


隆司

『井上は一人暮らしだし喫茶店で働いているから料理が上手いんだよ…』


っと説明してくれた…。


『私も調理専門で良いわ特別、文化祭を周りたいとは、思わないし…』


隆司

『分かった。天野さんも調理専門ね…』


そう言いポケットから、メモを取り出すと何かを書いて居る。


『それは?』


田中君に聞くが答えてはくれなかった。


その後、私も衣装造りの手伝いをしていたら何時の間にか気が付けば夜の10時を回っていた。


此処から総一郎視点に、変わります。


総一郎

『んっ?もう、こんな時間だ!早く、学校から、出ないと正門と、裏門が閉まる!』


僕は教室の時計を、確認して声を荒げた。


それを聞いて皆、慌てて帰る準備を始めた。


青嵐学院高校の門は10時30分に閉まる様に、出来て居る。


それ以降は通る事が出来ない。


完全に閉じ込められるので、電話で助けを呼ぶか朝まで、辛抱するかの、二択を迫られる。


慌てて片付け皆は、出て行き最後に、僕が教室の電気を、消して教室を、出た。


時計を見ると10時20分で僕も慌てて走る。


尤も、僕が本気で走ったら陸上部に、スカウトされる程だが何時も僕は、わざと、ゆっくり走って居る。


そうやって、目立たずに居たのだ。


それは、これからも変わらないが…。


それに本気で走らなくても十分、間に合う。


僕は何とか、ギリギリで間に合った。


本当は息切れなんかして無いが荒い息をしないと怪しまれる。


何処で誰が見てるか分からないからだ。


『放してくれる…』


突然、天野さんの声が聞こえて僕は声のした方に行くと天野さんは、2人のチンピラに絡まれて居たので…。


総一郎

『嫌がってるだろう?放してやれよ…』


僕がそう言うとチンピラの一人が何か言ってるが無視して天野さんの腕を掴んで居るもう一人の、チンピラの手首を、掴み言った。


総一郎

『放せと言ってるんだか聞こえないのか?』


チンピラ1

『格好付けんじゃねぇよぉ!』


そう言いチンピラが殴り掛かって来たのだが躱して掴んだ手に、力を込めるとビシリ!っと変な音と、感触を感じた。


チンピラが悲鳴を上げて蹲りもう一人のチンピラが、ナイフを取り出して凄む。


チンピラ2

『調子こいてんじゃねぇぞ!』


此処から晶視点に変わります。


私は息を呑んだ。


井上君は、私の前に出ると…。


総一郎

『止めておけ…お前じゃ俺には勝てない…。例えナイフを持ってもね…』


穏やかに…。しかしハッキリと告げる。


しかし…。ナイフを持った男は優位に立って居ると誤解して居るらしい。


井上君は大袈裟に溜め息を吐くと…。


総一郎

『止めといた方が、怪我しないで済む…』


っと、警告を発したけど男は井上君に、突進して来る。


彼は、冷静に相手の鼻に目掛けて、拳を繰り出し突進を止めて、ナイフを持って居る方の手首を、捩り関節技を決めた。


此処から総一郎視点に、変わります。


総一郎

『馬鹿なお前でも分かる様に説明してやるが…。このまま、もう少し腕を曲げると腕が折れるよ』


僕は骨が折れるか?折れないかの、ギリギリで、止めてチンピラに、声をかける。


このまま、腕をヘシ折ってやろうかと思ったけど流石に、それは過剰防衛に、なりそうだし止めておいた方が良さそうだ。


僕はチンピラの腕を放して体当たりしてチンピラを壁際に追いやり言う。


総一郎

『俺の名前は、井上総一郎。青嵐学院高校2年。何時でも来い。何人来ようが構わないがもし…』


此処から晶視点に変わります。


そう言って井上君は一旦言葉を切り…。


総一郎

『俺の友達に手を出したら俺はお前を地獄の果てまでも追いかけて、ボコボコにして指の骨を一本ずつヘシ折ってやる…』


っと静かにそう言う彼を見て私は、背筋が寒くなって身震いした。


凄まじい威圧感を発して居るのにその声は底冷えしそうな冷たい声だ。


彼が本気で脅しを実行に移すつもりであるとヒシヒシと伝わって来る。


男は捨て台詞を吐きもう一人の男を連れて逃げて行った。


井上君は大袈裟に溜め息を吐くとさっきまで感じて居た威圧感が消えた。


総一郎

『大丈夫?急いで来たけど変な事されてない?』


此処から、総一郎視点に変わります。


僕は振り向き天野さんに声をかける。


『ええ…。大丈夫よ』


天野さんは、頷きながら呟く様に言う。


総一郎

『もう遅いし家まで送るよ』


此処から晶視点に変わります。


そう言われて、私は最初は、逆方向だから、遠慮した。


彼には何時も、お世話になって居るしゼノンとの戦いもあるだろうし文化祭の準備だってある。


ゆっくり寝て欲しいから断ったけど、彼は引き下がらず…。


総一郎

『さっきみたいに、変な奴等に、絡まれたくないだろ?』


此処から、総一郎視点に変わります。


そう言うと、天野さんは渋々頷いた。


僕は、天野さんと夜道を歩いて行く。


総一郎

『しかし…。今回のコスプレも田中の趣味丸出しだな…』


呆れた様に言うと…。


『そうなの?』


総一郎

『去年は女子が兎で男子はライオンだったよ…』


『へぇ…。そう言えば、去年の文化祭は周れなかったらしいわね…』


総一郎

『うん…。クラスメートの殆どが料理が出来ないから殆ど、僕一人で調理してたから…』


『でも、今年は回れると思うわ…』


総一郎

『何で?』


『だって…。私が手伝うからよ…』


僕は驚き黙って居ると…


『あら?私だって、料理位は、出来るわ…』


総一郎

『それじゃあ、期待しておくよ…』


そう言うと、天野さんは微かに、笑った様な気がする。


此処から晶視点に変わります。


蝉の鳴き声が聞こえ上を見上げれば吹き散らかす様な満天の星空。


『文化祭…楽しみね…。貴方と…』


此処から総一郎視点に、変わります。


天野さんは呟く様に何か言ったけど、小さくて、聞き取れず僕が何を言ったのか聞くと彼女は…。


『別に…』


っと言い目を背ける。


僕は訳が分からず混乱したが考えても分からなかったので、それ以上は、聞かなかった。


天野さんの家の近くまで来ると丁度、天野さんのお母さんが、家に入る所だったので声をかけると振り向いて、言った。


晶の母

『あら?こんばんは…。晶ちゃんも御帰りなさいわざわざ送ってもらって良かったわね…』


此処から晶視点に変わります。


母さんは、ニヤニヤしながら言い私は、相手にはならずなったら後が面倒なので無言でやり過ごし井上君に…。


『井上君…ありがとう…気を付けて…』


私は、それだけ言うと、家の中へ。


私が家に入る瞬間に…。


総一郎

『明日も頑張ろうな!』


『そうね…それじゃ…』


総一郎

『ああ…。またな!』


そう言うと井上君は走って行った。


此処から総一郎視点に、変わります。


僕は天野さんの家が見えなくなったのを確認すると僕は歩き出した。


このまま真っ直ぐに家に帰るつもりはない。


たまには星でも見ながら草むらに、寝転がっても良いだろう…。


両親の居ない僕にとって両親の居る天野さんが、羨ましい。


こんな感情を抱いたのは何年ぶりだろ?


昔に較べると随分と人間らしくなったと思う。


天野さんに接すると自分は人間なんだと確認出来る。


不思議な感情が僕を支配してゆく。でも…。嫌な感じでは無い事は確かな事で…。


この感情が何なのか?


そんな事を考えて商店街を、歩いて居ると突然、電器屋の、テレビの電源が入り砂嵐が起こる。


砂嵐が収まると画面に、一人の人物が立って居たんだ。


全身を黒いマントで隠して居るので男か女か分からない。


ただ…。今、映って居る奴が、悪である事は感じ取れる。


クリムゾンヘッド

『私の名前はクリムゾン・ヘッド…。ゼノンの、忠実なる戦士…シャドウブレードよ…。今夜0時に千川鉱石場にて貴様を待つ!』


それだけ言うと、画面が途絶えた。


千川鉱石場は今は使われて居ない鉱石場で辺りも暗く待ち伏せや罠を張るには最適の場所だ…。


十中八九、罠や待ち伏せがあると見て、間違いないだろう…。


しかし…。逃げる事は、出来ない。


僕は千川鉱石場へ向かう事にした。


今から行けば、ギリギリ間に合う筈だ。


僕は辺りを見渡し路地裏に行くと転身し千川鉱石場へと走り出した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ