先生に聞いてください
名前を借りました
ピンク髪の女子生徒イシスが、婚約者のいる男子生徒アモンに声を掛けている。
「アモン様〜分からない所があるので教えてください」
アモンは、最初は戸惑っていたが、頼りにされるのは嬉しいのか勉強を教えた。
教室で、図書室で、2人きりで。
アモンとイシスは仲良くなり、段々と婚約者のハトホルを蔑ろにしていく。
ハトホルは
「婚約者がいるのに、他の令嬢と2人きりにならないように」
「婚約者がいる男に近寄らないように」
と、2人に注意すると、イシスが「いじめだ」とアモンに泣きついた。
「イシスをいじめるような女とは婚約破棄だ!」
とうとうアモンとハトホルは婚約破棄をした。
公爵令息のクヌムが歩いていると、イシスが声を掛けてきた。
「クヌム様〜分からない所があるので教えてください」
すると、クヌムは真顔で
「先生に聞いてください」
と言った。
「え?」
聞き違いかと思い、イシスはもう1度
「クヌム様〜分からない所があるので教えてください」
と言った。
「何故私に聞く?分からないなら先生に聞きに行くべきだ。それから、私はお前に名前を呼ぶ許可を与えていない」
クヌムが冷たく言う。
「でも…」
イシスは上目遣いでクヌムを見る。
「その為の教師だ。生徒に聞くより確実だ」
イシスの上目遣いは、全くクヌムには効いていない。
「クヌム様は成績優秀なので」
何を言われても諦めないイシス。
「私はただの生徒だ。先生を押しのけてまで人に教える程のものではない」
クヌムは、ニコリともしないで言う。
「でも…」
目を潤ませながら言うイシス。
「何か先生に聞きに行けない理由でも?」
クヌムが言うと
「先生が怖くて」
震えながらイシスが言う。
「怖くて質問ができない教師は失格だな。学園に意見しよう」
職員室へ行こうとするクヌム。
「いやあの…」
引き止めるイシス。
「まだ何か?」
振り返り、睨みつけるクヌム。
「クヌム様に教えてほしくて」
諦めずに、上目遣いをするイシス。
「何故私に?あと名前を呼ぶな」
「クヌム様に教わりたいんです」
「だから、何故私なんだ。あと名前を呼ぶな」
「クヌム様が優秀だから」
「他にも優秀な生徒はいる。あと名前を呼ぶな」
話は平行線だ。
「クヌム様が素敵だからです」
頬を染めながら言うイシス。
「私に近付きたいということか?」
クヌムが眉間にシワを寄せる。
「そうです!」
やっと分かってもらえたと、喜ぶイシス。
「そんな不埒な理由の者に教えるわけにはいかない。私には婚約者がいる。誤解されたくない。他をあたってくれ」
クヌムはイシスから距離を取った。
「そんなぁ〜」
イシスはクヌムに近付く。
「だいたい、婚約者がいる男に何故声を掛けるのだ。婚約者から私を奪いたいのか?最低だな。2度と近付くな」
クヌムは、更にイシスから距離を取った。
「そんなぁ…」
未練がましく手を伸ばすイシスから離れて、クヌムは婚約者のラーに近付く。
「見ていたかい?私の愛するラー。ハニトラには引っかからなかったよ!」
ご主人様に褒めてもらおうとする犬のように、笑顔で言うクヌム。
「まぁ…」
ラーは、クヌムの言葉に目を丸くしたが
「素敵な婚約者に大切にされているようで、嬉しいですわ」
ラーとクヌムは腕を組んで歩いていった。
その後イシスは、婚約者のいる男子生徒から勉強を教えてもらえなくなったし、公爵家から無礼だと抗議されてので、両親から、しこたま怒られたのだった。
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