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prologue 〜 捕食者 〜
空、大地、海。
この世界は生命で溢れている。
その中でももっとも、その力強さを感じられるのはきっと森だろう。
濃い緑の香り。
見えなくとも感じられる生命の息遣い。
純然たる弱肉強食の世界がそこにある。
植物も、動物も人も関係ない。
魔獣、魔物であろうとも、そこでは全てが個として、一つの生命である。
ただ強いモノだけが生き、弱いモノが死ぬ。
そこはそういう場所。
ギギ、ギギギ――
生命を貪る音がする。
欲望が繁る気配が蠢く。
樹海の深淵。
巨木の麓。
降り注ぐ日の光すら拒むような樹海の最奥から。
ソレはそこを根城と決め込み、今日も訪れる愚かな供物を啜っていた。
欲望は、まだ満たされない。




