表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

7話 友達?

 夜宵が夜ご飯を食べている最中に、レイナがお風呂から上がってきた。


 「もぉー、セレナひどいよー。全然インク落ちなかったんだけど」


 「酷いのはどっちだ!」


 夜宵の言葉に、レイナは気まずそうに目を逸らす。

 そんなやり取りをしていると、レイナのおばあちゃんが夕食を運んできた。


 「まあまあ、仲が良さそうね。この子ったらたまーに暴走することがあるけど、これからもよろしく頼むよ」


 「たまに?」


 夜宵はレイナの方を見るが、またもや目を逸らされる。


 「この子、綺麗な子を見るとすぐ暴走しちゃうから、友達がなかなかできなくてね」


 「ちょっ、おばあちゃん! そんなこと言わなくていいから!」


 「分かってたけど、お前ヤバい奴だな」


 「セレナも大概ヤバい奴だけどね!?」


 その言葉を、夜宵は即座に否定した。


 「いや、私はまともだから」


 「この子がね、二年くらい前に王都に行って、友達ができた!って報告してきたとき、誰かと思ったら領主の息子だって言うじゃない。腰抜かしたわよ」


 「どういう経緯で友達になったの?」


 「色々あって……」


 その“色々”が気になるんだよ、と夜宵は心の中でツッコミを入れる。


 「たくさん迷惑をかけるだろうけど、これからもこの子をお願いするね」


 夜宵は引きつった笑みを浮かべつつも、頼みを断れるほど心が狭いわけではないので、了承する。


 「……お願い、されます?」


 「もっと快く了承してよ!」


 「お前がもうちょっとまともだったらな!」


 おばあちゃんは、二人のやり取りを微笑ましく見つめていた。


 ――日本の標準時刻では十時を回った頃だろうか。

 夜宵はベッドに横になっていた。


 そんな時、ドアがノックされる。


 「起きてる? セレナ」


 「夜這いなら帰ってください」


 「夜這いじゃないよ!!」


 慌てて扉を開けたレイナは、顔を真っ赤にして否定する。

 深呼吸をして落ち着くと、ベッドの端に腰を下ろした。


 「おばあちゃんが言ってた通り、私って可愛い女の子を見るとたまーに暴走しちゃってさ。だから友達がなかなかできなかったんだ。でもセレナは、そんな私のそばに居てくれて……すごく嬉しかった」


 “たまに?”と思いつつも、この空気ではツッコめない夜宵。


 「まあ、依頼を受けちゃったし、別れるわけにもいかないでしょ」


 照れ隠しのように返すと、レイナはふふっと笑って言った。


 「だからさ、これからも友達でいてくれる?」


 「レイナが友達でいたいなら、いてあげてもいいけど……」


 「……ちなみにさ、普通こういう雰囲気の時にベッドで寝る? もしかして、“襲ってもいい”ってサインなのかな?」


 月明かりだけが照らす部屋で、レイナの瞳がギラリと光る。

 まるで捕食者のようなその表情に、夜宵は体を震わせ、必死に“最善の手”を考えた。


 そして、導き出した答えは――


 「曲者ーーーーー!!」


 「ちょっ、セレナ!?」


 ドタドタと階段を駆け上がる足音。

 次の瞬間、部屋のドアが勢いよく開かれた。


 「何事じゃ!!」


 自分で服を少しはだけさせた夜宵が一言。


 「お宅の娘さんに襲われました……」


 「貴様ーー!!」


 「ちょっと、セレナーーーー!!」


 その後、涙目になりながらおばあちゃんに弁明するレイナだった。


 ――翌日。


 「はぁー……色々と大変だったな。特にレイナのことで」


 「お疲れ様です」


 「何がお疲れ様だ! なんで家に帰るだけでも不安が絶えないんだろう……」


「私がいるから安心してよ」


「お前が不安の元凶なの!」


 夜になり、池に到着した。

 夜宵が水浴びをしている間、レイナは。


 「うーー! むーーー!」


 手足を縛られ、口にはタオルを巻かれていた。

 どう頑張っても外せないと悟ったレイナは、無の境地に至る。


 ……が、なぜかこの状況に興奮を覚え始める。

 頬と耳を赤く染め、ハァーハァーと息を吐くレイナ。


 ちょうどそのタイミングで夜宵が戻ってきた。


 一瞬、拘束を解こうかと迷った夜宵だったが、セレナを見て恐怖を覚え、しばらく放置することにした。


 ――そして翌日。


 「おー、数日前に見たけど懐かしいねー」


 朝早くから出発した夜宵たちは、無事に屋敷へと帰り着いた。


 馬車から降りた夜宵は、レイナにお礼を言う。


 「色々大変な目に遭ったけど、楽しかったよ。またどこかで会えたら、その時はよろしくね」


 そう言って屋敷の鍵を開け、中へ入る。


 「……なんでついてくるの?」


 「いいじゃん」


 「良くないよ!?」


 「夜宵と一緒にいたほうが楽しいもん! 屋敷の部屋だって余ってるでしょ? ねえ、いいじゃん?」


 確かに部屋は余っている。

 一緒に暮らすのも悪くない……ただ、夜宵には一つ懸念があった。


 「いや、レイナ暴走するじゃん」


 「ぐっ……」


 痛いところを突かれ、うずくまるレイナ。

 夜宵はため息をつきながら言った。


 「はぁー、しょうがないなぁ。分かったよ。一緒に住もう」


 レイナは顔を輝かせ、夜宵に抱きつく。


 「うん! ありがと、セレナ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ