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5話 化け物と変態と謎の模様

 朝になり、軽く朝食をとった二人は再び馬車で移動を開始した。


 「そういえばレインから“俺に舐めた態度を取った不愉快な女”って聞いてたけど、予想通り面白い人だね」


 「アイツ、ろくな噂流さないな」


 「あはは。レインがセレトナを気に入った理由がわかる気がするよ」


 ――どこを気に入ったんだか。

 夜宵は首をかしげつつ、今回の依頼内容を思い出す。


「そういえば依頼のことだけど。実際に化け物を見たの?」


「見たことはないけど、襲われた人がいるって話なら聞いたよ」


 本当にこの世界は“ゲームの世界”なのか?そんか考えたが思考をよぎる。


 そもそも、女性向け恋愛ゲームなのに辺境の地や幽霊屋敷なんて舞台をわざわざ用意するだろうか。


 夜宵は一つの仮説に行き着く。

 この世界は、自分が知っているゲームに似ている異世界なのではと。


 「……待てよ」

 その考えが正しい場合、夜宵はこの世界で生きていたセレトナの体を乗っ取ったことになる。


 考えた瞬間、血の気が引いていく。夜宵はあわあわと慌てるが、レイナは可愛らしい仕草にニマニマしながら「どうしたんだろう」と眺めていた。


 数時間後――。


 「ここまで……長かった……」


 「ふふふ、お疲れさまです」


 二人はぽつんと佇む大きな一軒家に到着する。


 「ここに化け物が出るんだよね?」


 「噂では」


 「また噂か……」


 夜宵はマッチを取り出し、さらりと言った。


 「これで家を燃やせば解決じゃない?」


 「じゃないよ!? 思い出の家を燃やすのはさすがに駄目です!」


 「だめかー」


 玄関の扉に手をかけたとき、左下に不思議な模様があることに気づく。魔法陣のような模様だ。


 「ねえ、これって昔からあった?」


 「いや、私が住んでた頃には無かったよ」


 化け物と関係あると予想し。


 「嫌な予感するし、この模様消しとこ。ペンとかある?」


 「えっ? いやいや! こういうのを消すと悪いことが起きるイメージあるんですけど!?」


 夜宵はレイナの言葉を無視し、レイナ服のポケットをまさぐる。


 「あっ、こんなところにインク瓶が!」


 「え? そんな物持ってきてな…なんであるの?」


 「とりあえず塗っとこ」


 インクを指に付け、模様へと塗り広げていく。


 「だ、大丈夫なんですかね?」


 「まあ、大丈夫でしょ」


 お気楽な夜宵とは対照的に、レイナは不安げな顔を浮かべる。


 そのまま鼻歌まじりに家の中へ入る。

 意外にも内部は綺麗に保たれていた。


 「化け物がいるって本当なの?」


 「……噂では」


 そのとき、玄関扉が勢いよく閉まった。

 レイナは体をびくりと震わせるが、夜宵は「いつものか」と振り返ろうともしない。


 「……なんで反応しないの?」


 「いつものことだから」


 「そっ、そう……」


 夜宵は一応扉を開けようと試みるが、案の定開かない。

 仕方なく二人は探索を開始した。


 「うぅ、こんな所来るんじゃなかった……」


 「なんで私に依頼したの? 警察とかいないの?」


 「いるけどこんな所に来てくれないよ。ほれに、可愛い女の子と化け物退治するの楽しそうだから……」


 夜宵は「こいつマジか」みたいな表情を浮かべる。


 そんな会話をしながら歩くうち、廊下の曲がり角から“それ”は現れた。

 溶けた皮膚、破れた服、背中から伸びる二本の触手――二足歩行の、人型の化け物。


 夜宵はその横をひょいと通り過ぎながら、


 「失礼しまーす」


 化け物とレイナは頭の上に「?」という文字を浮かべた。


 レイナは化け物と夜宵を交互に見るうちに、化け物に既視感を覚える。


 「おばあ……ちゃん?」


 レイナが化け物に一歩踏み出す。

その時、化け物が触手を振りかざす。


 すかさず、夜宵は化け物を両手で抱き上げ、仰向けに倒れながら化け物を後方へ投げ飛ばした。


 「えー!? ありがとうだけど素直に感謝しがたい!」


 「とりあえず逃げるよ」


 夜宵はレイナをお姫様抱っこする形で、抱っこし二階へ駆け上がる。

 化け物は触手を足代わりにその後を追う。


 二階の一室へ飛び込み、息を整える。


 「はぁ、はぁ……とりあえずここに隠れよ」


 「セレトナって、色々すごいね」


 「ありがと? でも服汚れちゃった。帰ったら買い替えよ」


 呑気に話す二人。だが、ギシギシと近づく足音が聞こえた。


 「化け物が来てる! ここに隠れよう!」


 「え? でも二人だと――」


 「そんなこと言ってる場合じゃないよ!」


 レイナは夜宵をクローゼットに引き込む。


 化け物は部屋に入り、部屋をくまなく探すが見つからない。


 そして残るはクローゼットだけ。化け物はクローゼットに手を掛ける。


 ――その中では。


 「ちょっ、どこ触ってんの!?」


 「しーっ、静かに! 化け物がすぐそこに……!」


 「だったら手をどけろ!」


 「仕方ないじゃないですか! 狭いんですよ!」


 レイナは夜宵の静止も聞かず、遂には夜宵のスカートの中へ手を伸ばす――


 その瞬間、夜宵の蹴りにより化け物を巻き添えにレイナが吹き飛ぶ。


 レイナと化け物は壁に激突し、同時に気絶した。


 夜宵は外へ出て、化け物の皮膚が溶けているのに気づく。


 そこで一つの仮説を立てる。


 「もしかして、あの模様は複数あってその内の一つを消したから、効力が弱まってる?」

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