表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

−3−

高校生活も一ヶ月を過ぎて、ある程度の交友関係ができた。なるべく目立たないために俗に言う陽キャとは関わらないようにして、周囲から不審に思われない必要最低限の友達を作った。面倒だが。

「なあなあ水無瀬、今日って何か提出するやつあったっけ?」

俺の目の前で今話しているやつもその一人だ。名前は市村井凛月。中肉中背でオタク趣味の平凡な男子高校生だ。俺も若干オタク趣味を持っているので仲良くなった。

「お前は提出物あってもやらないだろリツキ。」

「まあそうなんだけどさ……一応聞いておこうと思って。」

「今日は特に無いと思うよ。」

「おっけありがと。」

「にしてもまだ5月だっていうのにもう暑くなってきたよな。」

「そうだな〜。」

「コウタはまだ来てないかんじ?」

「みたいだね。もうすぐ来るんじゃない?」

そして、もう一人俺には友人がいる。名前は堀江宏太。毎度遅刻ギリギリで来る、というか稀に遅刻する。深夜までゲームをしていて寝不足らしい。と、談笑しているうちに朝のHRが始まった。コウタは遅刻みたいだな、内申点は大丈夫なのだろうか。

「はい、じゃあ朝のHR始めるぞー……」

こうしてまた一日、また一日と日々が過ぎていく。だが、俺だけは常にチャンスを伺っていた。どんな形で終わろうと、俺の決意は決してブレない。俺は家に帰り日課の筋トレや格闘技に加え学校の課題を終わらせると、すっかり深夜になっていた。いつものように自室に戻り、窓から顔を出し金属製のオイルライターでタバコに火を付ける。復讐を計画して数カ月で、親友が亡くなったストレスからタバコに手を出してしまった。当然、親にバレたら色々と面倒なのでこうして深夜にひっそりと吸う。吸った直後に口を軽く洗えば匂いは翌日には消えている。紫煙を揺らしながら私怨を脳内に刻む俺はもう、普通の高校生としての生活は捨てていた。改めて復讐の段取りを振り返る。毎日綿密に、失敗しなように。確実にアイツらを絶望の淵に追い詰めて突き落とせるように。まず最初に殺すのは桐野だ。警備は他より少し固いが、肝心の本体はいないのと同然レベルで貧弱なので一番最初に殺す。アイツはよく弱そうな奴を見つけては虐めているので、まずはアイツに目をつけられる必要がある。そして、かなり弱そうな面を見せれば一人でじっくり虐めるために二人きりにさせてくるだろうから、そこで殺す。実際、アイツに虐められて自殺した生徒はあいつに旧校舎の使われていない鍵もかかってないような教室に呼び出されてよく暴力をうけていたそうだ。旧校舎といってもまだ使われているが、図書室、科学教室などの移動教室で使われるような教室しか入っていないため、放課後はほぼ人がいない。俺は身長もそこまで高くないので弱っちく見えるよう生活していれば必ず目をつけてくるだろう。桐野が一人で楽しむときは取り巻きたちも近づかないらしいので、裏門からさっさと運び出せばバレないだろう。俺は煙を吸い込みクラクラする脳をフル活用して毎夜計画を立てていた。桐野や三原に対して今のところ個人的な恨みは無いが、まあ邪魔だから仕方がない。どうせ屑なのだから、まとめてくずかごにポイしたほうがいいだろう。タバコが消えかかったところで俺は大事なことを思い出す。武器の確認をしないとな。今回、俺が桐野を殺すために用意したのはハンマー、投げナイフ、そして人が入るほどの麻袋と布だ。何に使うかは……後で分かることだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ