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決意を固めてからは速かった。天龍製鉄のバカ息子を特定するのにそう時間は掛からなかった。元々悪い噂は立っていたので、ネットを探し回れば高校まで特定できた。しかもどうやら総合格闘技の大会での準優勝経験があるらしく、奴に勝つにはとにかく鍛えるしか無いと思った。ウチには元々持て余していたガレージがあったからそこに買い揃えた道具を置き、自分だけのジムを作った。両親は自分が急に筋トレを初めた事を不思議に思ったが、悪いことでもないので別段止めはしなかった。死ぬ気で鍛えたため、今は事件前の俺とは比べ物にならない程に強くなった。それでいて、筋肥大しないように気をつけながら力だけを鍛えたので、脱がない限りムキムキには見えない体に仕上がった。サンドバッグ等を使い基礎格闘能力も習得し、ローキックで細めの角材を破壊できるほどには鍛えた。試しに一駅先の団地に群がる不良を相手にしたが、簡単に制圧することができた。準備は整った。輪倉の高校は親が金に物を言わせたが学力はカバー出来なかったようで、中下流の偏差値の場所だった。よって、入学することは容易だった。もともと、俺はそれなりに勉強ができたので入学するなんて全く問題ない。だが、入ってみて実際に輪倉の生活態度などを見ていくつか問題を感じた。一つ目は、アイツには配下がたくさんいるということ。ほぼ全員輪倉と同学年の高校二年でその中でも、一般家庭だが恵まれた体格と筋力で近辺の不良をまとめている三原と、筋力も体格も頭脳も何も無いが親の財力のみで幅を利かせている桐野が特に厄介に感じた。三原は輪倉と密接に関わっているうえに、三原自身にも部下がたくさんいる。さらに本人も輪倉と並ぶかそれ以上の格闘の実力を持っている。しかも本人もそれを自覚しているため、頻繁に色んな男子生徒から彼女を無理やり寝取ったり強姦したりして従わなかった生徒は男女関係なく顔が変形するまで殴ったりもしたそうだ。輪倉や桐野と関わっているため色々ともみ消してもらってるらしい。学校が隠蔽質なのもあるのだろうが、どちらにしろ復讐するには良い環境だ。桐野は根性なしで本人だけなら何もできないんだろうが、金目当てに従うやつらや悪さ仲間で三原や輪倉と密接に関わっているため気を大きくしているようだ。ただ根性なしな所は変わらないらしく、強姦などはしていないらしい。ただそのかわり、気の弱い生徒や気に入らない生徒を下っ端を使っていじめているようだ。一人自殺者を出している。その他にも輪倉には多くの配下がいるようだが、他はどれも中途半端な悪事だったり戦闘力だったりで輪倉達がいなければ何もできないような取るに足らない小物ばかり。ただ、輪倉を殺すにあたって障害になりそうな三原と桐野も殺すことにした。何人も被害者や自殺者を出しているし、今後そういう人たちを出さないためにも殺さないとダメだと思った。そして二つ目の問題は、いつ襲い殺すかだ。基本的に三人は一人きりになることが無く、常に部下やパシリを身にまとって生活している。よって、帰り際に拉致したりするのはとても難しい。どうやって引きずり込んで証拠を残さず殺すのかも課題だ。最悪邪魔になるようならば他の奴らも殺すしかない。死体処理の方法は完璧にマスターしているから目撃者と血痕等の証拠さえ残さなければ確実に殺れる。俺は毎日の学校生活を復讐の為だけに過ごしていった。