【第八号】
「そのオーロラというのはどうやって起きているんですか?」
世界を旅した時の話をした。
アラスカのオーロラ、ヒマラヤ山脈のエベレスト、カンボジアのアンコールワットなど世界を旅して見てきたものを話すとそれは興味深く相槌を打っていた。
「オーロラってのは太陽から放出される太陽風が星に降る途中で磁場にほとんどが弾かれるんだがある一定の場所だけに降って空気とぶつかり光として俺たちの目に映るんだ」
「太陽?それはなんですか?」
この世界の知識はそこまでということか。
バシトがどれ程の知恵者かは知らないが太陽も虹が出来上がるメカニズムも理解していない。
見た目からして70過ぎているはずなのに……小学生以下の知識。
「いやはやホドウさんは知識が豊富なのですな」
屈託のない笑顔を向けるバシト。
豊富と呼ばれるほど豆知識を披露したおぼえはないのだが。
ただ旅行雑誌に書いてある情報を言っただけ。
「すみませんが情報を提供したので俺からもいくつか質問して良いですか?」
「えぇ、なんなりと」
「この世界ではこういった人権無視の行動は許されているのですか?法令遵守の自治はどうされているのですか?そもそもこの世界の国家体制はどういうものですか?」
……
謎の無言。
別に難しい事を聞いたつもりはない。
この世界におけるモラルの基準を知りたい、国政がこの奴隷搾取を容認しているのかも。
「すみませんホドウさん、私は村から出てきた身でしてあまりここら辺に詳しくないのです」
「でも、ここに居たんですよね?」
「はい、姫様を助けるために」
「どのくらいの期間ですか?」
「5年」
「5年?」
5年も居てここらの情報を集めていないのかこの老人は。
なんだ……まさかあの檻にいた獣少女を眺めていたら助けられると思い違いをしているのか。
なんて能天気な。
「バシト、何か俺らが助かる方法はあるのか?」
「はい……あなたのスキル鬼火で姫様を救出し追ってはワシが食い止めましょう」
「あ……」
開いた口が塞がらない。
なんだその行き当たりばったりな作戦は。
何も理にかなっていない、俺がスキルを自由に使える保証もそれで逃げ切れる確証もこのじじいが殿を全うできる根拠も無い。
全てが破綻している。
「では行きましょうホドウさん、姫様を助け出しましょう!」
俺は差し向けられた手を振りほどく。
「そんな作戦で行けるかぁ!!」
あまり感情的にならないと思っていたが、ここはさすがに命がかかっているしバシトの顔もムカつくのでご愛嬌です。




