【第七号】
妖狐族……獣人にも色々な種類があるのか。
なんて感心している場合じゃない、同族がいるという事は味方なのか。
そもそも日本でも同族で殺し合う事はある、この異世界でも同族だから安心という風にはなるはずもない。
「顔を見せても種族を名乗っても信用はできないな」
「なぜですか……私はあの方を救うために全てを捨てたというのに。種族だってあなたにしか言っていない」
「言っておくがな、俺がいた国でも同族で殺し合うなんて珍しい話じゃない。この国のことはあまり知らないが同族だから信用できるなんて事はできない。俺はもう騙されるなんてごめんだからな」
「何を……言っているのですかあなたは」
「は?」
「妖狐族は私とさっき会ったお方で最後なのですよ。同族殺しも同族がいなければできないでしょ」
この男とさっきの女が妖狐族の生き残りだったのか。
それが本当なら信用できるかもしれない、わざわざ種族と顔を出したのは信用を得たいから。
そもそもそんな危険を犯してまで俺に正体を明かす理由がない。
自分が助かりたいならこの地位を脅かすような真似はしない、あるとしたら自分だけじゃ足りずに協力者を得るためのみ。
「なんで俺に正体を明かしたんだ、俺なんかに……まさか世界がどうとかの話に感化されたとか言わないよな?」
「感化された側面もありますが、決めてはあなたのスキルですよホドウ君」
「俺のスキル?」
「先程の水晶はスキル名と効果を暗示する魔道具なのです。それの不良であなたのスキルが反映されなかったと言っていましたがとんでもない、あなたのスキルが強すぎるあまり処理が遅れていたのです。正式なスキル管理官なら見落としはしないが不当な検査が仇となったというわけだ」
どんなスキルかはわからないけど俺の腕はもう使い物にならない。
物はつかめても細かな動きはできない。
スキルなんて今更わかっても無意味。
「ホドウ君のスキルは【鬼火】、鬼とは極東に伝わる怪物。我々妖狐族には悪魔と言い伝えられています」
鬼の火、聞いて驚きはしない。
この異世界に来たのも全てはあの鬼から始まった事。
この力も鬼の名前を探すためにあの鬼が貸している程度なのだろう。
「それでどんな効果なんですか?」
「回避性能、移動性能、隠密性能特化の技を使える代わりに攻撃スキルは使えないという物です」
「なるほど、今の俺にはうってつけというわけか。この力を使って脱出すればいいのか?」
「ありがとうございますホドウ君、では初めにあなたが見た世界を教えてください」
話している時間は……まぁいいか。




