【第六号】
「やぁ、起きたかいホドウ」
「……うわぁあ!!」
俺確か……腕切られた。
周りを見渡すと光に照らされた一室。
先程と違い綺麗な部屋。
「ここは……それに腕も少し動く。あなたがやってくれたのか?」
目の前には黒フードにメガネをかけた少し背の低い人がいた。
手にゴム手袋をはめている事から医師的な何かなのか。
「応急処置はした、ただ完治はしていない。腕の神経は切れていたからそこを接合しただけだ、その証拠に可動域が相当狭いはずだよ」
肘には縫った跡、腕を上げようとすると少し上げた所で感覚がなくなり力が抜ける。
指も物は掴めるが細かな作業は出来ない、例えばペンで何かを書くことなど。
ここにはないが恐らくパソコンも打てない。
「ありがとうございました」
「少し待ちなさい」
礼を言い手術台から降りようとしたら肩を掴まれる。
「なんでしょうか」
「先程あの獣人に言っていた事は本当なのかね」
獣人……あの白黄色の女か。
言っていた事とは世界を見たことがあるとかの話だろう。
この黒フードが敵だとわかっている以上反感は買いたくない、さっきの狂人が言っていた好奇心は使う場所を選ばなければ。
「すみません、あれ嘘なんです。あの子に協力してもらおうとつい言ってしまったんですよ」
「七色に光る空、天にまで聳える大地、幻想的な建築物の数々、嘘にしては魅力的すぎる」
一言一句覚えていたのかこの男は。
「一つ提案なのだがホドウ君、君の世界を教えてくれたらここから出る手伝いをしよう」
「……嘘だな、俺を手伝う理由が見当たらない」
この世界で根拠もなく信用するのはもう辞めだ。
情報を元に信用を築く、そんな当たり前の事を日本で平和ボケした俺は忘れていた。
そのせいでこんな奴隷にまでなってしまった。
俺はもう誰も信じない。
「これならどうだ、ホドウ君」
男は黒フードを床に脱ぎ捨てる。
その顔は見覚えがあった。
「あんた……その耳」
無数に傷付いた顔など見向きもしない程に頭から生える白黄色の耳が光っていた。
その獣耳はさっき近距離で見ていたから見間違いようがない。
「私は君と先程までいた少女の同族、妖狐族のバシトと申します」




