【第四号】
「人間はこっちだ」
黒フードに鎖を繋がれ連れてこられたのは光が届かぬ洞窟の奥。
今にも泣き出しそうな気持ちを堪えて足を運ぶ。
「あの……ここはどこなので……」
「黙って働け!!」
右頬に黒フードの拳がめり込む。
痛い……頭が割れるほどに痛い……もう帰りたい、日本に帰りたい。
本気で殴られることがこんなにも痛くて怖いなんて思っても見なかった。
「まずは貴様のスキルを調べる、手をかざせ!!」
逆らったら殺される恐怖から一室の中央にある大きな水晶に手をかざす。
恐怖心で頭が冷静になって目的が明確になった、今は従おう、情報を集めて出れる方法を探るしかない。
力じゃ勝てない事も知恵を絞れば勝てるかもしれない。
何より……無駄死にしたくはない。
「妙だな……」
黒フードは水晶を眺め首を傾げる。
スキルとか言っていた……スキルってなんだ、魔法的なものなのか。
「おい、貴様名前は」
「は、はい、ホドウといいます」
「ホドウ?聞いたことのない名前だな。出身はどこだ?」
まずい、ここで日本の地名を言っても殺されるのは目に見えている。
どうする……この世界に迷い込んだ時の事を思い出せ。
「ウェーリという南方の村で生まれました」
「ウェーリか……少し待っておけ」
そういうと黒フードは部屋の外へ。
これから何が起きるか分からない、それがとてつもなく怖い。
この数分後に殺されてもおかしくはない、この部屋に来る途中の檻で首が飛んだ死体を目撃した。
恐らくここは奴隷収容の場、ここで鎖に繋がれれば人権を失うのだろう。
俺もその一部。
「くそ……なんだこれ」
その時に目に入ったのは水晶。
映る俺の顔は確かに自分自身の顔だったが少し周りに赤い波のようなものが見える。
これがスキルというやつか?
「待たせたな!!」
後方からの音に驚き背を地面に叩きつける。
黒フードの手には俺のものとは違う金色の鎖、そこに繋がれているのは。
「こいつの嘘を見抜け、分かったな」
「はい……」
頷くのは金色の鎖に繋がれた白黄色の少女。
顔立ちは可憐な少女だが頭から生える白黄色の獣耳が神秘的な印象を生む。
ボロい布一枚のワンピース、その下からは生足と地面に垂れる尻尾。
「手を貸してください」
「あぁ……」
拒否する間もなく透き通る声に応じ手を差し出す。
この子に殺されるなら命が止まるまで恐怖心が湧かない気がする。
それほどまでに自然、それほどまでにその端麗な容姿に見入ってしまう。
「きゃぁ!!!」
!!
突然の悲鳴に黒フードと共に少しのけぞる。
少女は俺の手を触り耳を振った直後に悲鳴をあげ尻餅をついていた。
なんだ、俺の手がそんなに気持ち悪かったのか。
すると少女は俺を指差し。
「悪魔……悪魔が付いています」
「悪魔だと!?」
「悪魔って、なんで……」
またもや言葉を全て話す前に殴られとうとう意識が飛んでしまった。




