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【第十二号】

「どうやらここに捕まっていると遊ばれて売られるらしい」


「嘘よ、ここで働く代わりに命の保証をするって。売り飛ばされるなんて聞いてない」


何を根拠にそんな戯言を信じているのか。

ここでの約束なんて所詮は口約束、そもそも互いの損得勘定が釣り合わないと約束なんて成り立たない。

破った時のペナルティが無ければ守る者なんて日本にもそう居ない。


「売り飛ばさるのは確定、最悪はノバって奴にどのくらい遊ばれるかという話だ」


「……」


ルミナスの顔から血の気が引き青ざめる。

まぁこんな所の元締めに遊ばれるなんて聞いたら怖くて声も失うだろう。


「安心しろルミナス、逃走ルートは今模索中だ。必ず遊ばれる前には脱出する手筈を……」


「無理、無理だよ……死ぬしかない」


「だから死ぬ前に脱出しようって話だ」


ここは地下から15mほど、出れない距離じゃない。

脱出口は3つ、どれも制御部屋にあるカギを奪わないと開けれない。

場所は盗み聞きから割れている、あとは出るだけ。


「だから……ここを出たら死ぬの私」


「死ぬって、なんでだよ」


「あなたさっきから情報欲しがってるのにこの世界のことは何も知らないのね」


だからこそ情報が欲しいと言っているんだけど。

それにルミナスの顔は恐れを抱いているというより光が消えた、あるいは怒りを抱いているのか。


「外に出たら何が待っているんだ」


「私みたいな獣人の古代種は……人間に飼い殺しに会う、絶対に」


飼い殺し……古代種。

当たり前だが知らない情報ばかり、このまま足早に外に出て知らない常識に潰されないようにしないと。


「ルミナスの事もっと教えてくれないか」


「え……それって」


大きな瞳でまじまじとガン見されそっぽを向かれてしまった。

やはりまだ素性を明かすには早いか。

こういう時は自分から素性を明かすことで信用していると感じてもらわないと。


「俺はこの世界よりも未来から来たんだ」


「未来?なにそれ」


別世界と言われるよりも未来から来たというほうが通じるかと思ったが。

未来が分からないとは、会話が通じていたから教養もあると思っていた。

もう少し簡単に説明するべきか。


「時間は分かるか?」


「時刻の針が無いから今何時から知らない」


時刻の針……時計みたいなものか。

とりあえず時間の概念はあるということ。


「その時刻の針が何百年か経過した世界から来た」


「だから人間なのに捕まっているの?」


「まぁそういう事だ」


「未来……でも別世界から来る人間も居ると聞いたから先の世界から来たとしても分かる」


……まさか他にも異世界から来た人も居たのか。

なんという気遣い損、やはり情報がすくない。





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