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玉城 2
玉城城跡に着いた。夢中に歩いていたので
危うく見逃すところだった。草原が一面に広がってい
る。数日前の雨でぬかるんでいるようでタイヤ痕が深
く地面に刻まれていた。靴先に泥をくっつけながら奥
の方に進み、右に曲がる。そこから木が左右に立ち始
めた。しばらく進むと木造の階段がある。そこをのぼ
っていく。茶色だった階段が時の流れとともに黒くな
ったのか、ペンキで黒く塗ったものなのか分からない
が、黒かった。一歩一歩足を掛けてゆく。途中「あっ
落ちた」。と思った。階段がたわみ私の体重が限界ギ
リギリだと言っているようだった。どうにか持ち堪えてく
れて先に進む。階段への恐怖が出てきた。ふと、横を
見ると玉城の街と広いゴルフ場が見渡せる。空が広く
広がっていた。高所恐怖症の私には目が眩み足がすく
んだ。だからといって助けてくれる人はいないので周
りを見ないと決めて上りきる。