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佐敷上城 3
98番バスを諦め、他のバスで向かうことにした。無事
に乗り込み安堵感からバスの中でうたた寝した。
はっ、と気がつくと降りるところの2駅手前である。
何度も何度もここで合っているよなと携帯で確認して
いるうちにバス前方の電光掲示板に駅名が表示され
る。急いでボタンを押した後で、合っているか、また
確認した。その後もう一つバスを乗り継ぎ佐敷城跡に
一番近いバス停で降りる。小学校の校庭横目に歩き、
コンクリート作りの鳥居を抜けた。民家が左右に立ち
並ぶ小さな一本道の坂道を上って行く。5分くらいか
けてゆっくり登っていくと、不意に民家が途絶えた。
最後にみた民家の後からは右側にうすみどりの背の高
い横幅細めの草、左側に若くて密度の高い森がある。
空気が変わる。この変化をどう表現したらいいのか。
急に風の音が耳につくようになった。風が強くなり草
木がそれに従い首を振る。あたりが暗くなる。気温が
下がる。何か神聖なもの達が自然へと姿を変え、人が
来るのを拒んでいるように感じた。
私は半袖から伸びる腕をさすりながらこのまま進んで
良いのか不安になっていた。