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佐敷上城 2
98番のバスが私の向かうのバス停に着く頃、私は走っ
ていた。
「はぁ、はぁ、んんん、はぁ、はぁ、はぁ、ー。」
こんなに走ったのはいつ振りだろう。待ってー!と心
で叫びながらリュックを左右に揺らし必死の形相でバ
スに向かって突進する。横断歩道に差し掛かり青にな
るのを待つ。気持ちが焦っているからなのか信号機が
壊れているからなのか青い人が現れない。ふと若夏(う
りずん)を感じた。一瞬、時が止まった感覚になる。
いい風景だ、癒されるなぁなんて呑気に街路樹のガ
ジュマルを眺めていた。そんなとき、左手のほうに黄
色と黒の横断する人は押してくださいボタンを見つけ
た。あね〜〜!!!
急いでボタンを押した。渡りきった所でバスが私と逆
向きに赤信号で止まった。バス停を出発してしまった
のだ。その時車通りが少なく、自分が走っできたこと
もあり、バスの運転手に乗っていいですか?とジェス
チャーで伝えた。するとあちらは首を横に3回振っ
た。あまりにも無鉄砲な自分の行動が恥ずかしくなっ
た。バスと逆向きの車にその光景を見られたことが一
番恥ずかしかった。