第八十四話 歪んだ正義
――ガキィィィンッ!! ダガァァァンッ!!
人造兵器と、ロマンの戦闘は苛烈を極めていた。
(・・・何度攻撃を当てても、奴は倒れませんねぇ。もしや、術者を倒さないといけないのでしょうか?)
ロマンは段々と危機感を募らせていっている。
ロベルトやミゲルも追撃に来てる中、このままじゃジリ貧になってしまうと。
「死ねぇぇッ!」
「クッ・・・ まあ、所詮雑魚が集まっただけの事・・・!」
追撃をかけたロベルトを、力づくで跳ね飛ばした!
勢いで、遺跡の柱に激突してしまう。
「ガハッ!」
「ロベルト! 大丈夫なのっ!」
「ああ・・・ なんとか、な。クソッ、決定打に欠けるか・・・」
「・・・何とか、奴に攻撃を食らわせることはできないのかしら」
今の間にも、人造兵器は戦い続けている。
ロマンの攻撃を食らいながらも致命傷は完全に避けており、逆にカウンターまでもしているのだ。
あの軽快な身のこなしは、一級品だ。
ついにロマンは耐えきれず後ろに下がった。
「出来損ないの息子にしては、これを作れたことにおどろきですねぇ。怨念は通常、術者の言うことなど聞かないものですが・・・」
「どうした? おじけづいたか?」
「ハッ、情けなくやられている貴方が、そんなことを言えるのですか?」
――しかし、ロベルトたちは分かっていた。
ロマンの動きが段々と鈍くなっていることを・・・
「Eltűnni! Áruló…」
「また呪術なの!? やたらと遠距離からチクチクと打つんじゃないわよ!」
すると、ミゲルが何やら動き始める。
「なっ!? おいミゲル、すぐに隠れるんだ! これじゃ格好の的に・・・」
「・・・私の本当の武器を見たことはないだろう? ロベルト君」
ミゲルは静かに、腰から何かを取り出す。
そして、持っていた剣を・・・
「武器って・・・ それがか!? 本気で言っているのか!」
「まあ、見ておきなさい・・・!」
(やはり、遠くから呪術を放っておく方が良いでしょう・・・ その方が、本来の目的も果たせる)
その頃、ロマンは何もしてこないロベルトたちに油断していた。
「おやぁ? あの爺、突っ立っているだけでは無いですか・・・ ついにボケてしまいましたかね?」
しかし、うっとおしい敵が一人でも減るのは助かる。
すぐに、呪術を唱え始めてしまう・・・
「Eltűnni! Árul… って、え?」
――ミゲルの方から何か光った気がした。
「あ? あ・・・ ァ、アァ・・・ アァァァァァッ!!」
気付けば、両足が吹き飛んでいるではないか!
(何も・・・ 見えなかった・・・ なんだ、あれは・・・)
しばらく痛みで悶えていると、ロベルトたちがやってきてしまう。
「おっと、急所を外してしまったか・・・ 苦しませるつもりは無かったのだがね」
「お、お前ぇ・・・ な、何をした・・・! 魔術は使えなかったはずだ・・・!」
「何って・・・ これだよ」
「それは・・・ ムチ・・・ だとぉ!」
ミゲルが持っていたのは革製の鞭。
これの先端に剣をくくり付け、思いっきり投げつけたのだ。
「周りに味方がいると使えない。当たってしまうからな? だから使っていなかった」
「そんな、ばか、な」
「ロマン、貴様はもう終わりだ・・・ 潔く、死ね」
ロベルトは静かに剣を、動けないロマンに差し向ける。
「お前ごときがぁ・・・」
(せめて、せめて一人だけでも・・・ そうだ、あの小娘を・・・!)
――今は油断している・・・!
「死ねぇ! 小娘だけでも!」
「・・・え?」
突如、レシティアのすぐ近くで、呪いの紋章が光輝く!
「しまった! 設置型の呪術か!」
「ア゛ア゛ア゛・・・!」
紋章から現れた無数の手が、レシティアに襲い掛かった!
「い、イヤァァァ! ・・・ぁ、ぇ?」
レシティアが捕まることは無かった。
何と、人造兵器がかばったのである。
「怨念がぁ・・・ 人を守っただとぉ・・・!」
ロマンもあり得ないような顔をしている。
「ヴァヴァ・・・」
人造兵器は、”手”に捕まってしまい、闇へと引きずられていた。
それに抵抗することなく、ただ単にレシティアを見つめ続けている。
「・・・ぁ、アナタ、もしかして・・・」
レシティアは、それ以上言うのを止めた。
そのまま、人造兵器は闇の中へと消えた。
「・・・ハッ、ククク、中々面白イ゛ ッ、、、」
ロベルトは、すぐさまロマンの首を切り飛ばす。
奴は死んでもなお、不気味な笑みを浮かべたままだった。
辺りは、静かだ・・・
「・・・レイドたちと合流するぞ」
「・・・ねえ、ロベルト、、、 わたくし、わたくしは・・・」
「これ以上言わなくていい。貴様は生きているんだ」
「・・・・・・」
ロベルトは、未だ尻もちをついていたレシティアを起き上げた。
レシティアは、少し放心気味である。
「・・・レイドたちがいる場所と随分と離れてしまったな。早く戻るとするかね」




