7/89
第七話 死を求める者
「レイド、君はこれを持っておいてくれ」
マリーから短刀を渡される。
「君が戦えないことは知っているが、やはり武器を持っているのとそうでないのではかなり違う。短刀は扱いやすいし」
「ありがとう、マリー」
レイドは感謝を述べる。何気に厚意を受けたのは初めてだ。
しばらく歩くと、寂れた街並みが見えてきた。スラムだ。
「なっ! 何だこいつらは!」
マリーが顔をしかめる。
スラムから初めて見えた人影、彼らはもう人間ではなかった。
全身が黒く染まり、うつろうつろと歩く人・・・ "黒き人” と呼ばれるものたちだ。
1人、2人、3人・・・ こちらに向かってくる。
「動くな! 我らはコレル領兵だ! 動けば討つ!」
マリーはそう叫ぶ。
「アガァァァ・・・」