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第六十三話 ロベルトの策略

「てめえ・・・ 何をしたのか分かってんのか!!」

 

 カインが鬼の形相をしてロベルトに差しせまっていく。


「いやいや、あれは仕方ないよ。まさか、共鳴するなんて思ってもいなかった」

「共鳴・・・? どういうことだよ?」


「呪術は、他の呪術も一緒に発動することがあるんだ。だから、元々エレーヌにあった呪術が反応してしまったんだよ」

「ちょっと待ってくれ。あの呪い、まだ無効化できていなかったのか?」


 あの呪いとは、アミアンの戦いでエレーヌが食らった呪術のことだ。

 今でも彼女の左腕には、痕が残り続けている。


「いや、僕には分からない。それは術者しか知らないよ、レイド」

「そんなことよりも! お前は裏切ったんだ! よく面を見せられるぜ!」


「裏切った・・・? 君たち、何か重大なことを忘れていないか?」

「何・・・?」


 ロベルトは何か合図を出した。すると、もう一人Cクラスに入ってくる。


「し、失礼しまーすぅ・・・」

「!? エマ・・・」


「え、えへへ・・・」


 エマは申し訳なさげにレイドに向かっていく・・・

 すると、急に目の前で土下座をし始めたのだ!


「す、すみませんでしたぁっ! まさか、あんな大事になるなんて思っていなかったんですぅ!!」

「え、あ、ちょっと・・・」


「逃げ出そうと思っても、マルクが放してくれなかったんだもん! 無理だよ! あんなサイコパス!」

「いや、俺もお前のことを誤解してしまっていたんだ。取り合えず落ち着こうか?」


「ひっ・・・ ぐすん・・・」


 レイドは何とかエマを落ち着かせ、近くの椅子に座ってもらった。


「でしょ? あのマルクが素直にエマを引き渡すとは思えない。だから先に潜入しておいたんだよ」

「・・・チッ そう言うことなら先に言ってほしかったぜ」


「もしかしたら、君たちの中に内通者がいるかもしれない。そのことを考えたんだ」


(まあ、敵をだますには、まず味方からだますと言うしな・・・)


 ロベルトは頭の切れる男だからそういうのもやってのける、とレイドは信じ切っていた。


「そう言うことか。何、疑ってすまなかったな」

「分かってもらえてうれしいよ。エレーヌのことについても、何か分かったら教えよう」


「ああ、頼む」


 ――そうして、ロベルトとの一件も済んだことで、次はエマだ。

 彼女には、真実を話してもらわなければならない。


「・・・ということで、エマ。俺の聞きたいことは分かっているよな?」

「・・・もちろんよ。教えてあげたいけど・・・」


「けど?」


 エマは何か府に落ちないような感じだ。


「結構歴史が変わっていて、私でも何が何だか分っかん無いのよぉ・・・」

「そうなのか?」


「全部あんたのせいよ! まったくもう・・・」


 エマはそう言って爪を噛み、悩み始める。


「・・・今分かることだけでいいんだ。例えば、これは絶対に起こる、とかな?」

「・・・分かったわ。あくまで私の考えだけど、一か月後にベレーター家から宣戦布告されるはずだわ」


「そもそもべレーター家って何者なんだよ? 訳わかんないぜ」

「それは、とある宗教をやっている家で、”黒化”を信仰しているのよ」


「”黒化”? まさか、あいつらの事か?」

「そうよ。なんとも、完璧な種族になれるー、とか何とか」


「は? もっとややこしくなったぜ・・・」


 カインは完璧に脱落してしまったようだ・・・

 他の皆も、何が何だか分からない顔をしている。理解していそうなのは、レイドとロベルトだけだ。


 

「それで、そいつらの居場所とかは分からないのか?」


「そんなの分からないわよ」

「そうか、やっぱりか・・・」


(脅威が訪れると分かっていても、これじゃ対策の打ちようがないなぁ・・・)

 レイドはそう考えて、頭を悩ませる。


「うーん、どうしたものか・・・」

「あ、でも、あいつらの攻撃パターンとかは覚えているわよ」


 エマが思いついたように言った。


「何? それは本当なのか?」

「ふふーん! 何回ゲームであいつらを倒してきたと思っているのよ!」


「げーむ? まあいい。それより、その対策を教えてくれ」

「もちろんよ。それはずばり、インテグリ―の真の力を解放することよ!」


(真の力を、解放する・・・?)


 ――何のことを言っているんだ・・・? 

 この剣には、まだ隠された力があるというのか・・・?



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 


 

 

 ~同刻、マルク視点~


「レイドォォォォォォ! レイドォォォォォォ!!」

「うるさい! 静かにしろ!」


 今、マルクは試合監督の人たちによって、連行されていた。

 何か薬を使っていないか、調べるためだ。


(我は・・・ こんなところで終わって良い人間じゃない!)


「放せぇ・・・ 放せぇっ!!」

「あ、コラッ!!」


 マルクは残された力を振り絞り、試合監督の人たちの拘束をほどいてしまった。

 そのままマルクは全力疾走する。


「フフフ・・・ ハハハ・・・!」


(そうだ・・・ まだ、神は我を見捨てていなかったぞ!)



「はぁ・・・ はぁ・・・ ようやく逃げ切れたか?」


 マルクは、ついに追手を撒くことに成功した。


(ここは・・・ どこだ?)

 マルクがそう考えていると、奥から人影が近づいてくることに気が付いた。


「クソッ・・・ また追手か!」

「・・・おいおい、ちょっと待った」


「き、貴様・・・ いや、貴方は・・・」


 ――退職したはずの元・Aクラス教師、ロマンが現れたのだ。


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