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第六話 コレル子爵との出会い

 レイドは、そのまま牢屋へ・・・ というわけにもいかず、コレル子爵邸まで移送されることとなった。

 流石に貴族は取り締まれないのだろう。

「ここで待つんだ」


 そう兵士に言われた。応接間だろうか・・・

 縛られてはいないが、周りには見張りの兵士が数人いる。レイドじゃ到底逃げれないだろう。


 しばらくたつと、高価な服を身にまとった中年の男がやってきた。

「・・・・・・」

 恐らくコレル子爵だ。 ・・・なんか殺気立っているぞ。

 向かい側の椅子に腰かける。


「レイド・フォン・ユーラルだな? 公爵の息子か・・・」

「はい・・・ 初めまして・・・」

「貴様ぁ! この街が滅ぶまで呑気に観察かぁ!? 早く元に戻すんだ!」

 コレル子爵がものすごい剣幕で怒鳴りかけてくる。

 (なんのことだ!?)


「この手紙を1か月前に送り付けてきたのは貴様だろ! この街を滅ぼすとな!」

「いえ、なんのことかさっぱり・・・」

「しらばっくれるな! そもそも、なぜ貴様があんなところで働いている!」

「実は・・・ お金が無く・・・」

「あ?」


 コレル子爵に自身の成り行きを説明する。


 公爵家を追放されたこと、自分に戦う力がないこと、荷物がすべて奪われたことなど・・・

「そんなはずが・・・ いや、魔力至上主義のユーラル家だ。社交界にも出ていなかったからな・・・」

 コレル子爵考え始める・・・


「すまなかった・・・ なんの証拠もなしに疑ってしまって・・・ 君も大変なのだな・・・」

 (まってくれ、この流行り病、人為的に引き起こされたものなのか!?)

「まさか、この流行り病は・・・」


「・・・その通りだ。だから私は犯人捜しをしていたんだ。ああ、どうしよう。娘が、娘が・・・」

 コレル子爵が泣き崩れる。娘が発病したのだろう・・・


 レイドはこのことには関係ない。さっさとこの街を出ていきたい。しかしそうとも言ってられない事情が出てきた。救わないと自分が死ぬのだ。


 (待てよ・・・ そうしたらあの商隊は・・・)

 レイドは先ほどの出領していなかった商隊を思い出す。

 ユーラル家が農業生産品など輸出しない。何かのカモフラージュと見た方が良い。しかし、レイドは戦えない。見つけたところで「敵」に殺されることは確かだろう。


 (これは、コレル子爵に協力を仰ぐチャンスではないのか?)

 コレル子爵は軍を保有している。彼らに護衛してもらえれば問題ないだろう。


「コレル子爵、お話ししたいことがあります。この流行り病、人為的に引き起こされたものならば、犯人に目星がついております」

「・・・それはまことか!」

 コレル子爵が食いついた。


 そして、レイドは推理したことをコレル子爵に話す。

 コレル子爵がこれだ、と言わんばかりに顔を変える。

 

「おい、庁長を呼んで来い! 事実確認をする!」

 コレル子爵がそう命令する。

「はっ、このモーリス、すでに到着しております」

 モーリスは既に着いていたのだ。


「話は途中から耳にしておりました。レイド様がおっしゃったことは全て真実です。この機会を逃す手は無いかと」

「よし! 兵を集めるんだ。例の商隊を探すぞ!」

「「「はっ!!」」」

 兵士が移動し始めた。


 コレル子爵がこちらに目を向ける。

「レイド殿、情報提供、感謝する!」

「大丈夫です、困ったときはお互い様ですからね!」

 レイドがそう言うと、コレル子爵はまた泣き出した。

 (ははーん、こいつ、ちょろいなあ)

 レイドは全くそんなことは思っていない。あくまで自分が助かるためである。


「レイド殿、捜索を手伝ってほしい。君の聡明な頭なら見つけてくれるはずだ!」

 コレル子爵はそう頼んできた。

「任してください! 必ずや、見つけてまいりましょう」

 こうしてレイドは兵士の統率権を手に入れたのだった。


 レイドは軍の集結地点に移動した。総勢50名の兵士がすでに集まっていた。

 レイドに近づいてくる人がいた。カインと・・・ マリー隊長!?

 「レイド様、お久しぶりです」


「マリーさん、お久しぶりです。敬語は無しでいいですよ。これから戦う可能性があるんですから」

「・・・それは助かる。先日、盗賊を討伐した。これが、取られていた荷物だろう?」

 そう言って、マリーが手荷物を差し出す。

「感謝します。カイン、お前もいたのか」


「ああ、兵士に連れ去られたと、モーリスとかいうやつが言ってきてよ」

「すまなかったな、今から元凶を倒しに行くんだ」

「今、俺も聞いたぜ。まさか、人為的だったとはなあ・・・ それなら、一ついそうなところがある」

 カインが思い出したように話す。


「スラム街だよ・・・ 俺は診療所の厨房で働いているんだけどさ・・・ スラム街に近いほど重症化した患者が多いんだよ・・・」

 マリーが驚いた顔をしている。

「確かに、スラム街が多く発症していることは把握していたが、まさか衛生環境の問題じゃなかったのか・・・?」


「決まりですね。スラム街を捜索しましょう。そこに何かがあるはずです」

 カインはそう言う。異論はないようだ。

 さあ、やってやろうではないか。この街を救いに・・・

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