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第五十八話 トラウマ、再来

「え? いや、でも、その・・・」


 ――まだ心の準備が出来ていない、と言いたい。だけど、うまく言えない!

 マリーが相手でもそうなってしまうの・・・?


「? 言いたいことがあるなら、はっきりと言ってほしいな」

「え、 ・・・ま、まだ心の・・・」


「なるほど、心の準備が出来ていないか」

「・・・はい」


(良かった、伝わった・・・ 何とかしてマリーを追い帰s・・・)


「エレーヌ、それは甘えだっ!」

「・・・ぇ?」


「いつまでも、もじもじとしているままだと、せっかくの機会を失ってしまうぞ!」

「・・・・・・」


(まさに正論ですが・・・ それが出来ないから困っているんです!)


 エレーヌはまた無言でうつむいてしまう。

 マリーはそれを見てしばらく考えた後、ついに行動に移した。


「これじゃ埒が明かない。すまないが、強引にでも連れて行くぞ!」

「きゃ! な、何を・・・」


「しっかり捕まっているんだ!」

「これ、前も同じようなことがあった気が・・・ あ、危ない! 当たりますぅ!」


 マリーの取った最終手段は、担ぎ上げて持っていくという手段だ。

 そして今、マリーは猛スピードで疾走している。


「ひ、ひぃぃぃぃ・・・」


(・・・でも、マリーに強制的に連れ出されたって言えば、レイドと話す理由が出来るのでは?)

 

 レイドと話したいのに、一歩踏み出せなかった状況。

 逆に、エレーヌにとっては都合が良かったのかもしれない。


「もう少しだ、エレーヌ! もう校門に着いたぞ!」

「!!? さ、流石に学校内では止めてください! 恥ずかしいです!」


「問答無用! 行くぞ!」

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 校舎の中でエレーヌを担ぎながら走るマリー。

 これで目立ってしまうのは仕方が無いことだ。


「なんだ? どういう風の吹きまわしだ?」

「え、あの人って確か主席の・・・」


(し、死んでしまいますぅ!)


 たまたま見かけた生徒の間で騒ぎになっていく。



「・・・なんだ? 何やら教室の外が騒がしいな」

「レイド、俺が見に行ってやろうか?」


「いや、あれは・・・ マリー?」


 レイドも外の異変に気付いた。教室内も騒然としている。


「きゃぁぁぁぁぁぁ!」

「え、エレーヌ!?」


「あ、レイド、約束通りエレーヌを連れてきたぞ!」

「あ、お、おう・・・ ありがとう・・・」


(なんか想像と違う・・・ なんで担がれてきたんだ?)


 マリーの肩でなぜかぐったりしているエレーヌ。

 戸惑うレイドだったが、何とか平然を取り戻し、エレーヌに目を向けた。


「エレーヌ、ちょっと、話があるんだが」

「ぜぇ・・・ ぜぇ・・・ はぃ・・・」


「・・・大丈夫か?」

「もちろんです・・・」



 こうして、二人は少し離れた場所で話すこととなった。

 早速、レイドが切り出す。

 

「エレーヌ、何か言いたいことがあったら教えてくれ。今回の件もだ」

「別に・・・ 大したことじゃないですよ。ただ単に置いていかれた感じがして、悔しかっただけです」


「それは、すまなかった。これからは気を付けよう」

「良いんですよ、未熟な私が悪いんですし・・・」



 その様子をこっそり陰から見守っている人がいた。


「なあ、あいつら、仲直りが早くねえか? 今までの苦悩はどこへ行ったんだよ?」

「ああ、私もそう思う。婚約解消の危機だとてっきり・・・」


「つまらねえなぁ・・・ これじゃぁ、いつもと変わりねえじゃねえか」

「な! 普段からこんなにも距離が近いのか!?」


 ・・・マリーとカインだ。


「おい、カイン! そこで何を見ているんだ!」

「やべっ! バレちまった! 逃げるぞ!」


「逃がすもんか! 待て!」

「援護します! Πνεύμα της φωτιάς... δώσε μου δύναμη...」


「お、おい! 魔法は反則だぞ! マリーだっているんだからな!」

「・・・私を売るな! せっかく隠れていたのに!」


 ・・・そんなわけで、レイドにはいつもの日常が戻って来たのだった・・・?




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 それから一週間後、ついに剣術大会が始まろうとしていた。


「おい、剣術大会って聞いたけど、何故Cクラス全員を連れてこないとダメなんだ?」


 事前のお達しにより、レイドたちはクラス全員で来ていた。

 もちろん、ロイクも付いてきている。


「さあ、知りません。・・・ですが、応援しています、レイド」


「おい、Aクラスの奴らだぜ! レイド!」


 カインが指さした先には、闘技場の中心に居座るマルクたちの姿があった。

 そこには、エマもいる・・・


「ようやく来たか、レイド! てっきり逃げ出したのかと思っていたぞ!」

「そんなわけがないだろう? 大した自身だな」


「ふっ、前の我とは違うのだよ・・・」

 

 そう言うと、マルクは自身の漆黒の剣をペロリと舐める。


「今回は、我が特別にルールを変更した。なんでもありの団体戦だ!」

「な! 剣術のみと言っただろ!」


「まあ、落ち着け。貴様もその女を使うことが出来るじゃないか。団体戦だぞ?」

「団体戦・・・?」


「ああ、先鋒、中堅と次々に総当たりで戦う形式だ。どうだ?」


(異論を唱えたいが、恐らく運営も王族の息がかかっている・・・!)


「・・・仕方ない。認めよう」

「それで良い。今回は我らにも強力な助っ人がいるのだよ」


「助っ人・・・?」


 成績上位者は全てCクラスに集まっている。いったいどんな隠し武器を持っている?


「・・・すまないね、レイド」

「・・・ロベルト?」


 ロベルトが静かにAクラス側に歩き始めた。


「今回、僕はマルク側さ」

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