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第五十三話 唐突なネタバレ

 ミゲル教頭と遺跡に行くのは、明後日なようだ。

 レイドは、今のうちに準備を済ませておこうと寮へ向かっていた。


(それにしても、ミゲル教頭が話していた”魔術反射”は、俺にとってはかなり有益な情報になるはずだ・・・)


 レイドは、なぜインテグリーが魔術を吸収し、反射するのかを知らない。

 ましてや、その発動条件も分からないのだ。


(あの遺跡にあったのは、ロイクが持ってきた杖、フェイスだけだ。あの杖にも何かあるのだろうか?)


 ――考えることに夢中で前を見ていなかった。レイドは誰かと激突してしまう。


「ッ、キャッ!」

「あっ! すまない! 大丈夫か?」


「イテテテ・・・ だ、大丈夫ですぅ」


 そうピンク色の髪をしている女は、スカートに付いたほこりを掃いながらそう言った。


「そうか、ケガが無いなら良かった」

「い、いえ~ 私も前を見ていなかったのでぇ」


(ん・・・? 胡散臭いな・・・ まさか、わざと・・・ いや、それは無いか)

 レイドは一瞬、顔をしかめたが、すぐに元通りになる。


「では、俺はこれで」

「・・・! ちょ、ちょ~っと、待ってください!」


「・・・何か?」

「私、エマって言いますぅ。その、レイド君ですよね! 入学試験で話題になっていた」


「俺は確かにレイドだ。で、それがどうかしたのか?」

「私、同じCクラスですけどぉ、覚えていますか?」


(確かに、いた気がするが、俺はエレーヌとかロベルトとしか話さないからな・・・)

 そう、レイドは入学から一カ月たっても自クラスの生徒を把握しきれていないのだ。


「顔は知っている。で、そろそろ本題を話してほしいんだが」

「え~っと、実は先ほどの魔術理論の授業があんまりわからなくてぇ」


「へぇ、お前も受けていたのか?」

「そうですぅ」


(なんだこいつ? さっきから猫撫で声で気持ち悪いな・・・)

 レイドは自然と少しづつ距離を取り始める。


「すまないが、俺もいまいち分からないんだ。では、これで」

「えっ!? ちょっ! まてっ・・・」


「・・・やっぱり演技だったか」

「いや、その、これは・・・」


 エマは焦り始める。

 おそらく、相手がレイドなので、返答を間違えると酷い目にあってしまうと思っているのだろう。


「あー・・・ もう良い! 単刀直入に聞くわ! 貴方、どこまで私の邪魔をするわけ!?」

「邪魔・・・? 何のことだ? まだ初対面だろ?」


 急にエマの性格が豹変した。まるでレシティアのようだ・・・


「貴方のせいでストーリがおかしくなっているのよ! 元に戻しなさいよ!」

「はぁ・・・? すとーりぃ とはなんだ?」


「フィリップが居ないし、絶対に貴方のせいよ!」


(フィリップ・・・? たしか、”あの夢”に出てきた・・・ ってことはエマも・・・)


「良い? 本来ならば、ミゲル教頭から依頼を受けるのは私とフィリップなの!」

「お、おう・・・」


「そして、道中に滅んだリヨンの街を解放し、インテグリーを手に入れるはずなの! なのに貴方が持っている!」

「まず、リヨンは滅んでなんていないぞ?」


「・・・え? もしかして貴方が救っちゃったの・・・?」

「ああ、そういうことになるな」


 それを聞いたエマの表情が次第に暗くなっていく。


「てことは・・・ リヨン出身のフィリップも、旅の理由を失い・・・ そういうことね、ハハハ・・・」

「お、おい。大丈夫か? お前、頭を冷やしたらどうだ?」


「・・・違うっ! これが本来の歴史なの! これがおかしいの!」


(本来の歴史・・・ こいつはもしや、”あの夢”を知っているのか?)

 レイドもあらぬ方向へ勘違いを始めた。


「もしかしたら、エレーヌが死ぬ運命ということも知っているのか?」

「当たり前よ! なんで生きているの!」


「そういうことは、バイセン領も・・・?」

「もちろん滅んでいるわ。そして、近くにあった遺跡でフェイスを手に入れるの!」


「・・・お前は、”黒き人”について分かるか?」

「黒幕はべレーター家よ! そいつがラスボスなの!」


 エマはそう自暴自棄に答える。


(らすぼす・・・? その単語の意味が分からないが、べレーター家とはなんだ?)

 レイドはそう考えていると、一つの答えにふと、たどり着いた。


(・・・この女は、エレーヌの死を望んでいる。つまり・・・)


「おい、ちょっといいか?」

「・・・何!」


「ということは、お前が、べレーター家ということでいいんだな?」

「・・・え? なんでそうなるわけ?」


「お前は、エレーヌの死を随分と望んでいるようじゃないか・・・ 俺はな・・・  その未来を変える為に頑張ってきた・・・」

「ひ、ひぃ・・・!」


 レイドから殺気が漏れ出す。


「残念だったな。お前の陰謀が叶わなくて! 最期に教えてくれてありがとうな。これで安心できる・・・」

「ち、違うの・・・ わ、私は・・・」



「問答無用だ」

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