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第五十二話 ミゲル教頭の専門分野

 時は少し進み、レイドとエレーヌは魔術理論の授業が行われる教室へと来ていた。

 授業開始までまだ十五分程度あるので、あまり生徒の姿は見られない。


「あ! レイドじゃないの! ・・・それとエレーヌ」

「ゲッ・・・ レシティア・・・」


「ゲッって何よ! わたくしがここにいて悪いわけ?」


 先客の中にレシティアがいた。

(何という不運だ・・・ 目立つだろ、止めてくれ!)


「声が大きい。静かに話してくれないか?」

「ん? 十分静かだと思うわよ?」


「うるさいですよ。貴方の耳はどうなっているんですか?」

「アナタの耳が過敏すぎるだけよ! 医者に診てもらった方がいいわ!」


 エレーヌとレシティアの間に火花が散る。

(初対面のときからこの二人はずっといがみ合っているな・・・)


「ハァ・・・ もう座りましょう」


 埒が明かないと悟ったのか、エレーヌはレシティアから遠く離れた席へと座った。

 レイドもその隣に座る。


 ・・・それから少し経ち、生徒たちが集まってきた。


「なあ、エレーヌ。レシティアの周り、誰も座らないな・・・」

「おそらく、自業自得でしょうね」


「・・・何か変なわけ?」

(まずい、レシティアが気付いたか・・・)


「・・・何でもないよ」

「いや、絶対に何かある・・・」


「静粛に!」


 すると、レイドにとって見たことのある教師が入ってきた。

(あ、俺にいろいろと聞いて来た教師だ)


「エレーヌ、誰か分かるか?」

「ミゲル教頭ですね。魔法研究のエキスパートです」


「レシティア君・・・ また君か。もうそろそろ静かにするということを学んだらどうかね?」

「いや、だって・・・」


「・・・また実験台にされたいか?」


 その言葉を聞いたレシティアは即座に黙った。


「・・・それでは授業を始めよう」



 (なんだこれ・・・ 意味が分からん・・・)

 今、魔術理論の授業中だ。

 

 魔法を使えないレイドにとっては、圧倒的に経験が足りないのでイメージが出来ない。

 だから授業の内容もいまいちピンとこないのだ。


 例えるなら、剣を扱えない人が剣術を理解できるのか? ということだ。


「では、この魔法陣を解いてみよ・・・ では、エレーヌ君」

「はい。これは初級の炎魔術が二つに重なったものです」


「・・・よし、君は魔法陣の二乗を理解しているようだ。では、次の魔法陣を。レシティア君」


「・・・これは炎魔術と風魔術を重ねたもの・・・です」

「ふむ・・・ 正解。座って良し」


(・・・フーン、やっぱり出来るんだよな)


 

 そうして、何事も無く授業が終わった。

 ミゲルの授業進行が速いので、終わってもなおメモを取っている生徒が多数いる。


「・・・レイド君、ちょっといいかね?」

「はい、何でしょうか?」


「君は魔力が無いと聞いているんだが、どうして、この授業を取ろうと思ったのかを聞きたい」


(・・・エレーヌと一緒だから、なんて絶対に言えない)

 必死で考えるレイド。


 何か良い考え・・・ 何か良い考え・・・ ・・・あっ


「それは・・・ とある研究のためです。魔力が無い私でも、魔術を使用する技術・・・など」

「ほう・・・ つまり、他人の魔力を・・・」


 ミゲルは何か考え始めたようだ。

(とりあえず含みを加えた言い方ならごまかせるだろう。天才だな・・・)


「まじかよ・・・ レイドって言えば、入学試験で暴れてたやつだよな・・・」

「魔獣狩り大会でも、”黒き魔獣”を撃退したって噂だし・・・」

「これ以上強くなってどうするんだよ!」

 ・・・周りの生徒もこのような反応だ。

 

「よし、決めた。実は、私は魔術反射の研究をしていてな・・・ 君にも研究を手伝ってもらいたいんだ」

「・・・え?」


「君の研究内容と合致していると思うのだが・・・ 違うかね?」

「え? え?」


 これはさすがに予想外だ。まさかミゲル教頭がそれの専門分野だったなんて・・・


「レイド、私も行きたいです。ミゲル教頭、よろしいでしょうか?」

「ええ、もちろんです。実は、バイセン領で遺跡を見つけてな。あそこに魔術反射に関わるものがあると踏んでいる」


(それって・・・ インテグリーのことじゃ・・・)

 バイセン領、遺跡、魔術反射・・・ 何もかもが一致している。


「その遺跡攻略にレイド君が適任と思ったのでね」


「遺跡攻略ですか・・・ それなら戦闘のプロがもっと必要ですね。兄さん、ロイクなんてどうでしょうか?」

「良いな、彼もバイセン領の人間だ」


(エレーヌ! 俺と一緒に行ったよな!)

 エレーヌは全く気が付いていないようだ。


 「ちょっと、わたくしも混ぜて!」

 レシティアも首を突っ込んできた。


「・・・レシティア、戦えないのは知っているぞ?」

「そうですよ、箱入り娘は外に出ないのが賢明です」


「何よ! わたくしも戦おうと思ったらできるわよ!」

「レシティア君・・・ 私が、嫌だ」


「な・・・ なっ・・・」

 レシティアはまさかのミゲル教頭の反撃により絶句してしまう。


「よし、数日後に行こうかね。皆さん、それまでに準備しておいて」

「「はい!」」


「ま、まって・・・」

 レシティアはまたもや、一人ぼっちになってしまうのであった・・・

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