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第三十七話 エレーヌの不安

 ロイクとマリーは互いに向かい合う。

 ロイクはあまり興味が無いような感じだが、マリーはおびえている。


「ロイクさん、覚えていますか? この人はマリーです。俺が貴方と初めて会ったとき、護衛に付いていた人ですよ」

「フーン・・・」


 ロイクは心がともっていない返事をする。

「まあ、久しぶり。感動の再開ということか。握手をしようじゃないか」

「・・・! その腕は・・・!」


「ああ、ちょっとしくじってしまってね・・・」 

「そんなことが・・・」


「それでも! 妹の思う気持ちは変わらない!! 例えストーカー行為に走ったとしても!」

(おい、エレーヌがドン引きしているぞ!)

 

「はぁ・・・ 君たちも大変そうだな・・・」


 マリーはそう言いながら意味ありげにレシティアの方をちらっと見た。

「ちょっと・・・! 私が問題児とでも言うわけ!?」


(((そうですよー・・・)))

 皆が一斉に顔を背けた。


「キィ・・・! 見てなさいよ! 学園の試験で主席合格してやるんですから!」

「はいはい。レシティア様はそろそろ学園へ向かう準備をしないといけないですよね?」

「あ、そうだった! マリー! 今すぐに屋敷に帰るわよ!」


 レシティアはそう言うと爆速で帰る準備を始める。


「よいこと? 明日の朝! コレル邸に集合よ! 忘れたら承知しないんだから!」

「ああ! 待ってください! ・・・レイド、いろいろとすまなかったな。それでは!」

 マリーも後を追いに走り去っていった。


 返事も聞かないでどっかに行ってしまったぞ。


「うーん・・・ なんかよく分からないけど、とりあえず帰ろうか~」

「そうですね・・・ 余計に疲れが溜まりました・・・」

「ちぇ! もうちょっと遊べると思ったのによお」

 仕方なく、レイドたちも立ち上がる。


 そうして、店から出るのだった・・・



「着いたよ~ ここが今日の泊まる場所だ」

 ロイクに連れられて来たのは、閑静な住宅街にあるちょっと大きな家。

 内装はまあバイセン家らしいというか、質素だな。


「さて、困ったことにここには部屋が二部屋しかない。しかも、どちらも二人部屋だ」

「普通にロイクの兄貴と俺、そしてレイドとエレーヌでいいんじゃないか?」


「それは断じて認められないぃぃぃぃっ! 婚前の男女二人が一緒の部屋など!」

「少なくとも兄さんと一緒になるよりかはマシだと思います」

(おいおい、火力が高すぎるんじゃないか?)


「・・・っ! え、そうなのか?」

 ロイクは言いたかったことを先に封じられ、少し萎えている。


「だったら俺たちが三人で使えば・・・」

「それでは私が得するだけでは無いですか、レイドに申し訳ないです」


「いいや! レイドとエレーヌは分かれるべきだ!」

「・・・そこまで言うなら兄さんは馬小屋にでも行ったらどうですか?」

(さっきから火力が高いぞ!)


「ぐ・・・ それは・・・」

「だったらレイドはこっちの部屋です。いいですね? 別に寝る時だけですから」


 ロイクはついに降参したようだ。どっかへ行ってしまった・・・


「結局俺は一人で寝れるのか?」

「カイン! 止めろ、これ以上何も言うな!」



 

 てなわけで、今は一緒の部屋で寝ている。


 最近は、”あの夢”を見なくなった。俺はおそらくアミアンの戦いで死ぬ運命だったのだろう。

 ”既定路線”を変えてしまったからなのだろうか。夢に出てくる声の正体も結局分からずじまいだ。


「レイド・・・ まだ起きているのですか?」

「ああ、眠れなくてな・・・」


 エレーヌがこちらに顔を向けてきた。大丈夫。少し離れている。

 そうでもしないと理性を保てない。


「・・・最近、私も眠れなくてですね。うとうとしてばかりいるんですよ」

(だから馬車で寝ていたり、ロイクにあたりが強かったのか? いや、ロイクは違うかな・・・)


「何か、最近は悪寒がするのです。私は生きてはいけなかったような・・・ おかしいような・・・」

「・・・!」

(やっぱりそうだ。エレーヌも同じ感覚になっている・・・)


「大丈夫だ。エレーヌを守るために俺は前衛を志願したんだ。誰にも殺させやしない」

「守る・・・ ふふふ、まず自分の身の安全を気にしたらどうですか?」


 ん? もしかしたら、今俺はとてもイタイことを言ったか?


「レイドがその様子で安心しました。これからも私のことを守ってくださいね?」

「なっ・・・!」

「それでは、お休みなさい」



 ・・・やっちまった。

 



 翌朝、レイドたちはコレル邸まで来ていた。一緒に学園まで向かうためだ。


「ふふーん! 待たしたわね!」

「おはよう、レイド」

 レシティア、マリーが各々用意を済ませてきたようだ。


「レシティアよ~ 頑張るんだぞ~!」

「父上!?」


 おお、コレル子爵ではないか。久しぶりに見るな。


「はぁ、はぁ。レイド君がこっちに来ていると聞いて駆けつけてきたぞ!」

「バーンさん。お久しぶりです」

「娘のことを・・・ よろしく頼んだぞ?」


 バーンは意味ありげにそう話す。


「レイド、一体何の話をしているんですか?」

「エレーヌ・・・」

 ちょっと気まずい・・・

 

「エレーヌ? そうか、あれがレイド君の・・・」

 バーンは何やら考え始めた。


「うーん、二人目は・・・ いや、本人たちの意見を尊重して・・・

(おい! 何の話だよ!)


「・・・全員そろったようだし、そろそろ出発するか~」

「ええ! 私あっちの馬車に乗りたい~!」

「レシティア様・・・ 後で話しておきますから・・・!」


 そうして、レイドたちの旅路はもっとにぎやかになるのだった・・・

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