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第三十話 二度目の死 変えた未来

「キャキャキャ・・・ 腕が無くなった気持ちはどうだい? 体が軽くなっただろう?」

 ダリラは意地悪な笑みを浮かべながらロイクを覗き込む。


「・・・君は本当におしゃべりが好きみたいだね」

 ロイクも強がってみせるが、焦りの顔が隠しきれてきれていない。傷口はまだ止血できていないようだった。


「劣等種族が絶望する顔はあたいの大好物なんだ。さあ、もっと顔を歪ませておくれよ・・・」

「ギャルゥ!!」

 先ほどまでロイクと戦っていた黒龍もダリラの元へ帰ってきた。


「ああ、あたいの可愛いグリム。よく頑張ったねえ。ご褒美にそいつらを食べて良いよ」

 そうダリラが言うと、グリムと呼ばれた龍は嬉しそうに尻尾を振った。


(くそ! 体が、動かない・・・)

 レイドは何とかして動こうとするが、闇の魔術に阻まれてしまった・・・


 ロイクも後ろに飛び去り、片腕ながら抵抗しようとする。

「Ω ιερή βροντή! Μπροστά στις μεγάλες απειλές, ας επισπεύσουμε τη δύναμη που τις συντρίβει!」


 彼が唱えた魔法は電撃の大型魔法。魔法陣は空へと広がり、やがてグリムに雷を直撃させた。

「ギャ・・・」

 しかし、ロイクは険しい顔のままだ。


「やはり、効果がなかったか・・・」

 グリムの鱗には焦げた跡ができたが、致命傷には至らなかった。

「キャキャキャ・・・ 惜しいねえ。あの魔法を体内に流すことができていたら、殺せていたと思うよ」


「く・・・」

 ロイクもだんだん動きが鈍ってきた。出血多量による影響だろう・・・

 彼は、未だに動かないレイドに目を向けた。


「レイド君、すまない・・・ 君をこんなことに巻き込んでしまって・・・」

 後悔の言葉が滲み出る。

「あ・・・ ぅ・・・」

 レイドは思うように声が出ない。


「本来ならば僕が足止めをして、君とエレーヌを逃す手筈だったが、そんな状態じゃできるはずもないか・・・」

「詰みだね、あんたたち・・・ 興ざめだ。グリム、もう食べても良いよ」

「グリュウ!」


 グリムはロイクを食べまいと、近づいて大きく口を開けた。

「すまない・・・ 不甲斐ないお兄ちゃんで・・・」

「キャキャキャ・・・ 二人仲良くペロリだ!」


 レイドは何か違和感に気づく。

(二人・・・? て、ことは・・・)


グリムは完全に油断していた。今は餌であるロイクにしか興味がない。そのため、飛来してくる矢に気づくことはなかった。

「グギャア!」


 グリムは突然苦しみ始める。眼球に矢が命中したのだ。

「どうしたんだい! グリム!」

 いきなりのことで皆の理解が追いつかない。


「へへへ・・・ ここで、カイン様の登場だぜ!」

 遠くの方から現れたのは、弓を構えたカインの姿だった。


「おのれ・・・ まだ仲間が居たのか! 今殺してやる!」

 ダリラはカインに近づこうとする。


「残念! 俺は囮だ。本命はあの龍だよ!」

 カインは何やら細いものを持っていた。


「この銅の糸を矢に巻き付けてあるんだ。確か、鱗からじゃ電撃が通じないんだろ? じゃあ、ここを介せば、な?」

 それを聞いていたロイクは即座に意図を理解した。

 残る力を振り絞り、再び詠唱をはじめる。


「Ω ιερή βροντή! Μπροστά στις μεγάλες απειλές, ας επισπεύσουμε τη δύναμη που τις συντρίβει!」

「や、止めるんだ!」


「食らえ! 雷よ!」

「グリャアアアア!!! ァ・・・」

 グリムは感電してしまい、致命傷を負ってしまう。さらに、雷の熱によって体に引火した。


「ガ・・・ ァ・・・」

 火だるまになるグリム。

「ああ、グリム! グリムゥ!」


 その間、ダリラは何もできずにただ見ることしかできなかった。

 そのままグリムは激しく燃え続け、ついには動かなくなった・・・


「ア、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」

 ダリラは狂い始めた。


「貴様ぁ! 殺す! 殺してやるぅ!!」

 半狂乱でカインに突撃する。ただし、カインは余裕の笑みを浮かべていた。


「残念だったな。もう、1()()4()()()

「Ο Θεός της προστασίας! Προστατέψτε!」

 突如としてカインの前に防護壁が現れる。


「何!」

 ダリラの攻撃がカインに届くことは無かった。


「・・・みなさん大丈夫ですか?」

「また、厄介そうなのが増えやがった!」

 カインの後ろからエレーヌがやってきた。


「あんなに屋敷の外で騒がれては、寝たくても寝ることができません。ある程度呪いを弱めることができたので、来てあげましたよ」

 エレーヌはそう淡々と告げ、ダリラに杖を構える。


「クソぉ! はっ、そうだ! あいつらは!」

 ダリラはロイクとレイドを人質に取ろうとしたが、すでに彼らは立ち上がっていた。


「ああ、隙だらけでしたので彼らには回復魔術をかけておきましたよ。流石に腕までは治せませんでしたが」

「・・・くぅ」

 ダリラはついに追い込まれてしまった。


「さあ、反撃開始です」

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