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ザムザ

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

幼体化させたかっただけです。

ちょっと増えそうな。


朝起きると、昨日まで自分が纏っていた衣類が身の丈に合わない事に気付かされた。袖も裾も多分に余っていて、折り返さなくてはならない程。合う服が無いことに困りながら、どうしたものかと部屋を出た。

「あら、おはよう。少し縮んだかしら?」

彼女は俺の体を見て、ただそう言った。


ダボ付いた服のままに椅子に腰掛けて、彼女と視線を合わせる。彼女はテーブルの上に乗ったおにぎりと、一冊の本を引き寄せて、俺の前に差し出した。

「まぁ服は少し我慢するとして、おにぎり食べる?」

「驚かないんだな」

普通一晩で背丈が縮んだのなら、人違いや驚きがあって然るべきだが、彼女は大してそんな素振りを見せず、何時も通りの微笑を浮かべている。それは自らの性格故か。

彼女が持ち寄ってくれたおにぎりを口に入れながら、文庫本の表紙に目を向ける。フランツ・カフカ氏執筆の『変身』が置かれていた。なるほど、この状況を示すには、この本が最適と言ったところか。

「うーん......。何故かしら、一晩で経てば戻りそうな気がするの」

彼女は眉を拗らせて一言。それは奇遇にも同意見だった。理屈で説明が付かない現象故に、何をどうしたら戻るかを考えるのは愚策な気がする。彼女の方も特段慌てて空回りをしていないところを鑑みるに、とりあえず一晩待ってみる事にした。

「せっかく縮んだんだもの。何かしてみたい事はある? 幼少期にやり残した事をもう一度したいとか......」

「変身が読みたい。腐れ縁の友人の反応が見たい。後は特に」

「はい。ザムザ君」

そうして友人の脛に蹴りを食らわせ、何時もと変わりない問答を繰り返した後、彼女から渡された変身に目を通す。働き手だった者が異形に変化し、家族から爪弾きにされる物語。海外の文学らしく、表現が何処か生々しい。その点、俺は恵まれている。彼女から爪弾きにされる事無く、むしろ今しか出来ない事を勧めてくれる。良い女性だと思う。

「面白い?」

「幼少期に抱いていたものとは異なる」

ふと思い出した。両親の蔵書の中に変身があった事を。読みたいと思っていたが、如何せん高い位置にあり、手が届かなかった。あの時読んでいたら、今と違う感性を持って挑めていたのだろうかと。

「幼少期に読んでいた物が、成長して見方が変わるように、幼少期ならばもっと別の視点があったように思える。今だと好みに合わない」

「そう。でも貴方は幼い頃から賢かったと思うから、今と同じ事を言っていたと思うわ」


翌朝、予想通りに元通りになり、彼女と顔を合わせた。彼女は先日と同じように俺の顔を見て、ただ一言。

「あら、おはよう。元通りになったかしら?」

単純に ザムザ という響きが好きです。


幼少期と成長した感性って違うよね。という話。

幼少期は面白かったものが、大人になってつまらなくなるのと同じ感じ。勿論、逆も然り。

でも幼い頃から大人と渡り合えるくらい、情緒と思考が完成されていたら、きっとそんな差は無いのではないかと。


変わってない様に見えて、情緒と思考も幼少期に戻ってそうな。

ただ彼女が言った通り、あんまり変わってないと思います。

だから、幼体化する必要を感じなくて戻った気がします。


めっちゃ馬鹿にする腐れ縁の友人との話も書きたいです。


考えれば長編も行けそうですね。

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