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LR以上は1%以下。 明らかに取らせる気がない。
特に最高レアのURって何なんだよと思いながらも物によっては元は取れるのかと内心で首を捻る。
Nは1000Gとかの安物も多いので割に合うかは微妙だった。
「っしゃぁ! 行くぜぇ!」
気合を入れているマルメルに水を差すのは良くないと思い、ヨシナリは無言でアルフレッドをひょいと抱えて近くのソファーに座る。 マルメルの運がどんな物なのか見せて貰おう。
ガチャを回す。 マシンがガコガコとレトロな感じの音を立ててカプセルを排出する。
「最高レア来い!」
引いたカプセルは灰色の安っぽい色合いの物で一目でレアリティが低いという事が分かった。
マルメルはやや失望の混ざった息を吐くとカパりとおもむろにカプセルを開く。
無言で何もない空間――恐らくは入手物がウインドウに表示されたのだろう。
「何が当たったのか俺にも見せてくれよ」
「……あぁ」
ウインドウを可視化。 表示されたのは入手したアイテムの詳細が記されていた。
N-01突撃銃。 チュートリアルで配布される初期入手の突撃銃だ。
見覚えのないプレイヤーは居ないお馴染みの武器だった。
「えーっと購入価格が500Gで売却価格は半額だから250Gだな」
「へ、まぁ、最初っから当たるとは思ってねぇよ! 次々行くぜ!」
「お前、一回10万って事を忘れるなよ」
マルメルは更にガチャを回すと今度は錆色をしたカプセルが排出された。
見た目的にもRっぽいなと思いながら可視化しっぱなしのマルメルのウインドウへ注目。
「えーっと? 汎用ブレード『ファング』。 あぁ、初心者が使う微妙に高めの実体剣か。 さっきのよりはマシだな。 3000Gで売却価格は半値で1500Gって所か」
要らねーと思ったが、口には出さなかった。 マルメルの様子にはまだ余裕がある。
「へへ、レアリティが上がってるぜ。 これは次はSR来るな」
「来るといいな」
マルメルは懲りずに三回目のトライ。
出たカプセルはさっきと同じ錆――いや、これはもしかすると銅か。
そうだとするとSRが銀でSSRが金って所かなとどうでもいい事を考えながらマルメルの引いたアイテムを確認。
「お、アバター用の装飾品じゃないか。 えーっと「アフロヘッド」? 価値が分かんねーな。 えーっとショップショップ」
ヨシナリはショップを開いてアイテム名を検索。
「3000Gって所だな。 売ったら半額で1500Gだ」
「ま、まぁ、持ってないしそろそろ初期アバターも何とかしないとって思ってたんだよ」
「声震えてんぞ」
マルメルはアイテムを装備。 アバターの頭がアフロヘアになった。
「……ど、どうよ?」
「ぷっ。 すまん、笑っちまった」
もふもふとアフロがマルメルの頭部で揺れる。
「馬鹿にしやがって! 神引きして羨ましがらせてやるからな!」
マルメルはウインドウを操作。
何をやってるんだと思ったらどうやら10連機能とやらをオンにしたようだ。
おいおい、大丈夫か? 沼に嵌まってないか?
「オラぁ! 10連来い!」
ガコガコと連続した音を響かせて次々にカプセルが吐き出される。
ヨシナリは表示された項目を順番に読み上げていく。
『A10コンパクトピストル』手のひらサイズの拳銃だな。
おまけにサプレッサーもついてるぞ。 二つ合わせて4500G。
『コメディアンTシャツ』
胸にデカデカとコメディアンって書いてあるだけのTシャツ。 3000G。
『汎用ダガー、ショートファング』さっきのブレードと同じカテゴリーのダガー。 3000G。
『鼻眼鏡』丸眼鏡に鼻がついてるまんまのデザイン。 2000G。
『クラッカー』ルームグッズ扱いだから何回でも使える。 750G。
『ボルトアクションライフルair』 ヨシナリが最初に使って奴と似たタイプ。 3500G。
『カラフルスーツ』何だこりゃ?
赤とピンクとオレンジの三色チェックの入ったスーツか。
すっげぇ配色。 えーっと、ちょっと高いな5000G。
『N-01突撃銃』x2 二つで1000G。
最後の一つは銀色――SRだ。 これは中々に期待できそうだな。
『大型ブースターBasic01』Ⅱ型用の推進装置だ。 105000G
マルメルは無言でTシャツを身に付け、鼻眼鏡を装着。
クラッカーを手に持ち、最後にスーツを羽織る。
「ど、どうよ?」
ヨシナリは無言でマルメルからクラッカーを受け取ると紐を引いてパンと鳴らす。
マルメルはその場で崩れ落ちた。
「いい夢は見れたか?」
「まだ終わってねぇ! SRで10万超えてたんだSSRだったら100万ぐらい楽勝で超えるだろ。 いや、一千万クラスもあり得るはずだ!」
「いや、SSR4%しかないぞ。 悪い事言わないからもう止めとけって」
「4%しかないじゃない。 4%もあるんだ! 行ける! 俺なら引き当てられる!」
沼に足を絡め取られたマルメルはうおおおおおと魂の咆哮を上げるとガチャを回す。
ヨシナリは止めとけばいいのにと思いながら見ていると――光が見えた。
黄金のカプセルが排出されたのだ。 マルメルはうおおと更に吼えた。
流石にこの結果にはヨシナリも目を見開く。 ラインナップ的にも期待値は高い。
何を引いたんだと中身がウインドウに表示され――マルメルは硬直した。
「マジかー」
ヨシナリは思わず呟いた。
マルメルは無言でウインドウを操作するとガチャの横にもう一つ全く同じものが現れたのだ。
『カプセルガチャマシン』 10000000G。
「……………………」
「……………………」
二人は無言だったが膝の上に座っていたアルフレッドがヨシナリの持っているクラッカーの紐を加えて引く。 破裂音が虚しく響いた。
「い、一応、一千万クラスの代物ではあったな」
沈黙は不味いと判断したのだが、かける言葉が見つからずに絞り出すようにそう口にしたのだが、マルメルはその場で崩れ落ちた。
「悪い事は言わないからもう止めとけって、な?」
ヨシナリが背中をさするがマルメルは余程ショックだったのか声すら出ない有様だ。
「あ、ヨシナリ君とマルメル君やん。 おつかれー」
「こんにちは。 何をしているんですか?」
気まずい空気の中、ふわわとシニフィエがログインして来たのか姿を現した。
並んでいるガチャ。 そして崩れ落ちるマルメル。
何となく察した二人はあぁと声を漏らす。
「なーにー? マルメル君、ガチャガチャに使いすぎたん? 無駄遣いはあかんよ~」
「面白いですね。 インテリアではなく、ランダムでアイテムが手に入るショップに近い代物ですか。 ところで何で二つもあるんですか? 引ける数に限りがあるとかですか?」
シニフィエの純粋な質問にマルメルはぐふぅと呻く。
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