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――流石に手強いな。
ヨシナリは機体を左右に振って飛んでくるエネルギー弾を躱してアシンメトリーで応射。
正面に居るアークエンジェルフレームが器用に回避。 その間に旋回して背後へ。
アシンメトリーをマウントしてアトルムとクルックスをバースト射撃。
敵機は躱さずにエネルギーフィールドを展開して突っ込んで来る。
接近戦で決めるつもりのようだ。 懐に入られる前にパンドラを解放。
200%。 瞬間的に加速する事で敵機の目測を狂わせる。
そこをイラで胴を横薙ぎに一閃。 完璧に捉えたと同時にギミックを起動。
丸鋸が唸りを上げると敵機をそのまま横に真っ二つにする。
敵機の上半身、下半身の順に爆散したが、油断せずに構えたままで待つ。
試合が終了し、リザルトが表示されたところでようやく力を抜いた。
流石はBランク。 手強い。 Aランクプレイヤーと戦う機会が多い事もあって楽な相手と思うかもしれないが、彼等はAランクの予備軍なのだ。 弱い訳がない。
勝てない相手ではないが、簡単な相手でもない。
ヨシナリとしては適度に緊張感を保てる上、退屈しなくていい相手だった。
――それに――
「もう少し、か」
ここ最近は特にランク戦に力を入れているだけあって勝利数は順調に増えており、そう遠くない内にAランクに到達する事は可能だろう。
可能であれば次のイベントに間に合わせたかったが、流石に難しそうだった。
現状、今のヨシナリに伸び代は少ない。 特に機体の強化が頭打ちになっているのが痛かった。
元々、キマイラは通過点である事を踏まえれば仕方のない話ではあるが、技量の向上以外に見いだせない状態だったのだ。
もっと強くなりたいという気持ちもあったが、それ以上に自分だけのジェネシスフレームを見てみたいという欲望もあった。 少し疲労もあったのでランク戦を切り上げるとユニオンホームへと戻る。
「――何をやってるんだ?」
マルメルがリビングの端に何かを置いていた。 隣でアルフレッドがじっと眺めている。
「おっすヨシナリ! 家具でも増やそうと思ってカタログ見てたら面白れー物をみっけてよぉ!」
「……それがこれか?」
マルメルが購入したのは硬貨を入れて回すとカプセルトイが手に入る所謂、ガチャだ。
ヨシナリは家具類に興味がなかった事もあってあまりリサーチしてなかったのだが、ただのインテリアにしてはマルメルの反応がおかしい。 気になってウインドウを開きショップを検索。
目の前のガチャの詳細を調べるとつい最近、追加された新商品らしい。
前のアップデートの時かとぼんやり思いながら詳細を眺めているとなるほどと納得した。
このガチャ。 中々に面白い機能を備えており、どうやらGを投入する事でランダムにアイテムを手に入れる事が可能のようだ。 一回100000G。
PではなくGなのは割と良心的な価格設定だろう。 特に上位のランカーになるとGは余り使わないからこういった吐き出せそうなコンテンツを増やすのは悪い選択ではない。
「――で? 何が手に入るんだ――って多いな」
ガチャのラインナップを見るとかなり多い。
レアリティが設定されており、N、R、SR、SSR、LR、URと六段階に分かれている。
Nは初心者が使うような安物の武器にアバター、ルーム用の小物。
RはトルーパーのパーツとNよりちょっとグレードの高い武器類。
SRはⅡ型規格のコアパーツにブースター等の強化装備。 武器、家具類もグレードが上がってる。
SSRは――
「凄いな。 今の俺達が使ってる水準の武装ばかりじゃないか」
「だろ!? アノマリーもアシンメトリーもこっちに入ってるぜ!」
それだけでなくふわわの使っているナインヘッド。ドラゴンやグロウモスの使っているスコーピオン・アンタレスもSSRのラインナップに含まれていた。
パーツは強化装甲やミサイルポッド等の人によってはあると嬉しい装備ばかりだ。
「おいおい、フレームもあるぞ」
ソルジャーフレーム、各種キマイラフレーム、パンツァータイプの換装セット。 これでSSRならそれ以上は何貰えるんだよとウインドウをスクロールする。
「マジかー」
思わず呟く。 LRはPでしか買えない装備ばかりだった。
シックスセンスまでラインナップに入っているのは凄まじい。
100000Gでこれを当てたら大きいだろうなとぼんやり思いながら更に確認すると各種プラスフレームとオビディエンスフレーム、エンジェルフレームまで含まれている。
「これ当たったらヤベぇな」
「だろ!? このマシン自体が1000万Gしたけど買って損はないと思ったんだ!」
「1000万!? お前、馬鹿じゃないのか!?」
ガチャを回す権利を買う為にそこまで支払ったのかよと少し引いてしまった。
他に買っている奴は探せば居るはずだ。 「思金神」には確実にあると思っていたので、どうしても回したいならタヂカラオ辺りに頼めば使わせてくれるんじゃないかと思っていたのでちょっと無駄な出費じゃないかと思ってしまった。
「おいおい、相棒。 よく考えてみろよ。 一個でもLR引けば元は取れるんだぜ? 買うしかないだろ?」
確かにスコーピオン・アンタレスもアシンメトリーもG換算なら一千万は軽く超える。
そう考えれば得――なのか?? マルメルが余りにも力強くそう言うので段々とそんな気がしてきたのだ。 まぁ、Gはあんまり使わなくなってきたからボチボチアバターでも弄るかぐらいに考えていた事もあって強くは否定できなかった。
「そ、そうかもしれないな。 ――というか最後のURって何だ?」
ウインドウの項目の一番下までスクロールして最高レアリティであるURの項目を確認したのだが――
「なんだこれ?」
項目はたったの一つ。 「お楽しみチケット」だけ。
いくら調べてもさっぱり分からない。
間違いなく何らかの引換券なのだが、何と交換してくれるのだろうか?
一つ下のLRでこのラインナップなのだ。
まさかとは思うがジェネシスフレームの専用装備とかじゃないだろうな?
「期待感やべぇだろ!? うおおおおおお! わっくわくして来たぁ!」
マルメルはもう当てた気でいるが、ヨシナリは無言で排出確率を確認する。
N:60% R:25% SR:10% SSR:4%
LR:0.99999、UR:0.00001%
――となっていた。
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