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Intrusion Countermeasure:protective wall  作者: kawa.kei


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 状況はかなり悪い。 ヨシナリはこの状況を俯瞰してそう結論付けざるを得なかった。

 まずは敵のオペレーターが二機。 一機でも厄介な所を二機だ。

 ただ、幸いにももう一機の指揮官機は戦闘にあまり特化していないのか悪魔のようなタイプ――ヨシナリは暫定的に悪魔型と呼称する機体は主力が総出で抑えている事もあって何とか拮抗できている。

 

 必要なのは情報を整理し適切な判断を行う事。 

 まずは上空。 ミサイル群。 大体、30秒間隔で100発前後。

 誘導性なし。 最初は妙に正確だったが、恐らくは指揮官機が何らかの操作を行っていた結果だろう。

 

 飛来場所は索敵範囲から外れるので正確には不明だが、恐らくは近隣の拠点からだ。

 記憶にある限り、ミサイル発射設備なんて分かり易い代物を見た覚えはなかったので、恐らくはエネミーで代用しているのだろう。 そう考えれば北と南から仕掛けて来た敵群の動きとも矛盾しない。


 隠れていたオペレーターはポンポンが炙り出し、グロウモス、ケイロンの三人が主になって抑えている。

 残念ながらニャーコはやられてしまったようだ。 シックスセンスでも簡単に発見できなかった点からかなり強力なステルス装備を積んでいるのだろう。 


 あれだけの数のエネミーを操って痕跡が碌に検出されなかったのだ。

 ジェネシスフレーム相当の特殊装備でも積んでいるのだろう。

 現状、割れている範囲の性能だが、推進装置が斥力フィールド由来のホバー移動。


 アリスやマルメルのお陰で少し馴染みの出て来た挙動ではあったが、やはりクオリティが高い。

 あれだけの人数をかけて碌に当たらないのは当人の技量の高さ故だろう。

 装備に関してはレールキャノンなのだが、誘導性能が凄まじい。 


 直角に曲がって敵を射抜いたのは一体、何の冗談だと目を疑ったが、種に関しては発射前に放った照明弾のような代物だろう。 あれはナノマシンか何かを散布する為の代物で色が付いているのは付着を自分で確認する為のマーキングを兼ねてか?


 付着したそれは何らかの磁界に近い物を発生させて発射された弾体を引き寄せる。

 この常に強風が吹き荒れるフィールドではかなりの範囲をカバーできる事もあって、非常に優れた代物であると言えた。 


 つまり、ロックされるとほぼ必中のレールキャノンというマルメルが聞いたら怒り狂いそうな代物だ。

 これは躱すのは難しく、防ぐしかないのだが――


 ――意味が分からない。


 思わず目を疑ってしまった。 敵の射撃は必中。 回避は難しく、耐えられる防御力が必須の攻撃。

 グロウモスはそれを文字通り正面から打ち砕いていた。 比喩ではなく本当に打ち砕いたのだ。

 視界の端で敵機が滑るような軌道でレールキャノンを構える。 銃身にエネルギーが充填。


 銃口からバチバチと僅かに紫電が迸る。 早い。 

 比較対象がマルメルのハンドレールキャノンなのだが、見た感じではあるがほぼ倍ぐらいのスピードだ。 そして発射。 


 弾体は視認不可能な速度でグロウモス――正確には彼女が跨ったケイロンへと飛来するが、命中前に空中で砕け散ったのだ。 

 何が起こったのかというとグロウモスは敵機の放った弾体を空中で撃ち落とした。

 銃弾を切り払うふわわも大概だったが、レールガンを撃ち落とすグロウモスは一体なんなんだ?


 いや、理屈に関しては理解はできる。 

 誘導の関係で銃口とターゲットの間にラインが引かれるのが見えるのだ。

 つまり弾道は読める。 


 後はそこに撃ち込めばいいのだが、どうやって相手の発射タイミングを盗んでいるのかが分からない。 

 エネルギーの充填を見れば撃つ兆候なのは分かるが、引き金を引くタイミングは任意だ。 

 加えて相手の弾は真っ直ぐ飛ばない。 捉えるのは命中前の一瞬だ。


 タイミングとしては相手が撃った僅か後に被せれば行けるはずだった。

 理屈としては。 だからといって実行できるのかはまた別の話だ。 

 正直、成立させている理屈は理解できるが、実行して成功させる自信は皆無だった。


 それ以前に彼女はケイロンの背に跨りワイヤーで固定しているのだ。

 騎乗している関係で銃口もブレているはず。 そんな悪条件にも関わらず相手の攻撃を正面から撃ち落としているのだ。 尋常ではない。


 グロウモスの人外の領域に至りつつある狙撃技能に頼もしさを覚えつつ、あの様子ならしばらくは大丈夫かと判断して他に意識を映す。 そして目下、最大の脅威である悪魔型だ。 


 ふわわ、ベリアル、ユウヤ、シニフィエ、タヂカラオと入れ替わりで戻って来たツガル、ヨシナリの六人で当たっているのだがやはり厳しい。

 本音を言うならもっと人数をかけて手数で押し切りたいが空のミサイルと基地の処理に人数を割かなければならない関係でこれが限界なのだ。


 「星座盤」の残りのメンバーはマルメルはミサイルの処理、ホーコートはヴルトムの支援に付けていない。 グロウモスは指揮官機の抑えに専念。 

 「栄光」はメンバーを分割しており、イワモトはヴルトムの援護、フカヤはタヂカラオの支援に付けている。 フカヤのステルスは敵機に通用しない事もあって基地制圧に回したのだ。


 「烏合衆」はケイロン以外は全員、ミサイル処理だ。 

 本音を言えばアドルファスはこちらに回したかったが、手が足りなかった。

 彼のドローンを用いた攻撃は迎撃に向いており、そちらに当てるのがいいとの判断だ。


 機体は少し弄っているみたいだがそこまで大きな変化はなく、前のようにあっさりと人数を減らされる事にはなっていない。 特に今回はふわわが居るのが大きかった。

 例の終盤に使用した強化装備が未使用という事も要因の一つだ。


 対するヨシナリ達はベリアルを中心にユウヤ、ふわわで仕掛け、シニフィエ、ツガルが敵の挙動を制限。

 ヨシナリがシックスセンスで全体を見つつ援護になる。

 

 ――それなり以上にレベルアップはしたはずなんだけど、普通にやって勝てる気がしねぇ……。


 悪魔型は最初から手数で行くと決めていたのか、剣や長剣は使わずに短剣二本で回転重視だ。

 バチバチと紫電を走らせており、攻撃は遠目だと霞んでいるように見える。

 それに反応できているベリアルも大概ではあるが、武器の差ははどうにもならない。

 

 打ち合うだけで形成されたエーテルのブレードが欠け、砕け散る。 

 三度ほどで完全に破壊されるが、下がるタイミングでユウヤとスイッチ。

 彼が前に出る。 


 散弾砲と電磁鞭の組み合わせで削りに行くがプセウドテイに比べると動きが重たいプルガトリオでは正面からの打ち合いは不利という事もあってサポートに徹していた。

 

誤字報告いつもありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
グロウモスが殺気の感知を体得した以上ヨシナリも...? まだまだ強くなれるね
こうしてモスちゃんが人外の狙撃手になったのを見ると マジで初期のころに心を砕いて仲間に引き入れて隠密から攻撃に全振りさせる方向転換をさせてよかったなぁとしみじみ思う ヨシナリのベンチャー投資大成功すぎ…
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