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Intrusion Countermeasure:protective wall  作者: kawa.kei


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 アメリアはちらりとジョゼを見る。

 オペレーターである以上、最低でもAの上位からSランクレベルの実力はあった。

 機体の性能もあるが総合力ではオーバーSランクともそこそこ戦える。


 そんな彼女を撃破してみせたのは間違いなく快挙と言えた。 

 だからこそロッテリゼも欲しがったのだろう。 


 ――まぁ、私の庭で育ったサンプル達を簡単には好きにさせないけどね。


 餌用に手を付けた雑魚程度ならうるさく言うつもりはないが、ああいった有望な者を奪われるのは困る。

 

 「――で? 何か用? 私は謹慎明けの誰かさんと違って暇じゃないから要件は手短にね?」

 「はは、手厳しい。 実はお願いがありまして」

 「お願い?」

  

 ジョゼは大きく頷く。 

 そのフレーズに少し嫌な予感がしていたが、内容を聞かないと判断ができない。

 アメリアはさっさと言いなさいと先を促す。 


 「例の復刻ミッションあるじゃないですか」

 「――あぁ、混ざりたいのね」

 「はい、お察しの通りです」


 復刻戦の話を持ち出した時点で内容が読めた。 

 あの復刻ミッションは基本的に特定条件を踏んだ場合は手の空いているオペレーターがボスを担当し、ボランティア職員がエネミーとして参戦する決まりになっていた。


 ジョゼはどうやらそれに混ざりたいようだ。 

 アメリアはウインドウを操作。 表のような物を呼び出した。

 

 「えーっと、次の担当は誰だったかしら――」

 「サリサですよ。 本人には既に話を通してあります。 後はチーフの許可だけなんですよぉ。 お願いします。 許可を頂けませんか!?」


 ――怪しい。 


 ジョゼが好戦的な性格なのは知ってはいたがここまで必死に頼み込んで来る理由が気になった。

 

 「理由を言いなさい。 内容次第では許可してあげる」

 

 そう返すとジョゼは黙り込んだ。 明らかに言い難そうにしていた。

 この手の頭の悪い娘は後ろめたい事があるとすぐに黙る。 

 さてとアメリアは考えた。 イベント戦のエネミー役をやりたいというからには戦いたい相手が居るのだ。


 そうなると選択肢は絞られるというか他に心当たりが居ない。

 ちょうどロッテリゼとの話題にも上がっていた事もあって妙に視界に入って来るなと思いながらどうしたものかと少し悩む。


 実際、許可を出すだけならウインドウを操作して認証すればいいだけの話なので作業としても手間もかからない。 汎用ミッションのイベントを少し弄った程度で文句も出ない事もあってアメリアにはデメリットはなかった。

 

 ただ、メリットもなかった事もあって素直に言う事を聞いてやるのも少し気に入らない。

 ジョゼは甘やかすと付け上がる傾向にあるのである程度の締め付けは必要だと思っていた。

 

 「リベンジがしたいって訳ね。 いいわ。 許可を出してあげる。 ただし、こちらの条件を呑めば、ね?」

 「じ、条件ですか?」

 「えぇ、負けたらあなたの権限(・・)を貰うわ」


 さらりと言ったが言葉の意味はかなり重い。 流石のジョゼも顔色が変わった。

 

 「いや、権限を貰うって、この条件でですか!?」


 権限が何を指すのかというと脳内チップの制御権限だ。 

 つまり、負けたらアメリアは外部からジョゼのチップを操作して行動を自由に操れる事になる。

 

 「そうよ。 一般のプレイヤー相手に二連敗するようならあなたの戦力評価は大きく下げざるを得ないわ。 ――私に言わせるならアレを使って負けてる時点でかなり暴落しているのだけどね?」


 レギュレーション違反の装備を使って負けたのだ。 何を言われても文句は言えない。

 

 「いや、でも――」

 「大丈夫よ。 勝てばいいんだから。 サービスでサリサの代わりじゃなくて一緒に参戦していいわ。 ただし、レギュレーション違反の装備を使う事は許さない。 最低限のルールは守りなさい」


 ゲームの体裁を整える意味でもそこは譲ってはならない。

 アメリアの視線に気圧されたようにジョゼは目を逸らすが、彼女はそれを許さない。


 「返事は? 逃げてもいいのよ? プレイヤー相手に負けるかもしれないから止めておきますって言えば許してあげる。 あぁ、もう負けてるんだっけ??」

 「……構いません。 お願いします」

 「そう? なら頑張りなさい。 期待しているよ?」


 勝てばそれも良し、負けたらジョゼを死ぬまでこき使えるのだ。

 アメリアにとってはどちらに転んでも美味しい話だった。 


 ――どうなるのかしらね?


 始まったら観戦しようかしらと考えながら去って行くジョゼの姿を見て笑みを浮かべた。



 「あなた馬鹿じゃないの?」

 

 そう言われてジョゼは身を縮ませる。

 場所は変わってそこは奇妙な部屋だった。 広大な空間に無数のカプセル状の機器。

 内部は水溶液で満たされており、何かが浮かんでいる。  


 ジョゼはそう言われて何も返す言葉がなかった。 


 「だ、だって、チーフが煽って来るからぁ……」

 「だからって脳内チップの制御権限をかけるなんて何を考えてるの!?」


 怒鳴るのはジョゼと同じく白衣を身に付けてはいるが下はスーツ。

 ネームプレートにはサリサ・ノエリアと記されている。 

 長い髪を結いあげており、真っすぐな視線が突き刺さるようだとジョゼは僅かに身を引く。


 「いや、でも今回はサリサと一緒だし勝てるって!」

 「勝てはするでしょうけど、何でそんなリスクしかない賭けをするかなぁ」

 「でも、前に負けたのが悔しくて……」


 彼女達はオペレーター。 このゲームの運営としてプレイヤーを支配する側だ。

 そんな矜持が彼女達の根幹に根差している事もあってプレイヤーに敗北する事はジョゼからすれば耐え難い屈辱だったのだ。 表面上は平静を装っているが、内面は荒れ狂っていた。


 ――あいつらを潰して前の借りを返したい。


 だからこそこっそりと動向を監視していたのだ。 リベンジの機会を逃さない為に。

 

 「――で、首尾よく復刻ミッションに参加するのを掴んでねじ込もうとしたと」


 サリサは小さく鼻を鳴らしながらウインドウを操作。

 以前の防衛イベントの記録映像を呼び出す。 

 目当ての映像はジョゼがレギュレーション違反の装備を使ってプレイヤーと戦闘を繰り広げていた。

 

 「相手はコレ?」

 

 ジョゼが頷くのを見て映像を進める。 

 レギュレーション違反――要は仕様上、出せない出力を叩き出す文字通りの反則装備だ。

 単純に出力を上げるだけで勝てるほど簡単な話ではないが、ジョゼの場合は機体のスペックが技量と釣り合っていない事もあってああなったのだ。 


 何にせよ面倒な事になったとサリサは小さく溜息を吐いた。


誤字報告いつもありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
大丈夫? ヨシナリを筆頭に動きのクセだけでも「こいつインドのチート野郎やんけ!」って看破しそうなヤツばっかだぞ? 公認どころか運営自らチート渡しとるやんけってならない? え? そうなったら記憶ないない…
まさかのリベンジマッチwww オペレーター二人とかやばそうだけど、前回と違ってレギュ準拠ならなんとかなるか…? いやでも前回もジョゼ一人に追い詰められてはいたからなぁ… ふたりだとさすがに厳しいか?
星座盤なら上振れを引いてくれると信じてたけど 禁断のオペレーター2人同時参戦は笑ってしまう 今回の防衛戦も楽しくなりそうだ
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