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Intrusion Countermeasure:protective wall  作者: kawa.kei


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703/708

703

 意図は不明だったが、指差した真ん中の機体に乗り込む。

 パチパチとコックピット内の電源を入れて起動。 ステータスをチェック。

 一度、扱った事もあるので起動手順などは頭に入っている。

 

 脚部フロートシステム異常なし。 推進剤も満タンだ。

 武装は両肩に搭載された120mm滑腔砲が左右で10発ずつ。

 胸部のガトリングガンは接近された時の備えだろう。 明らかに目玉は両肩の砲だ。

 

 「よし、後はここを――」

 『ヨシナリ! 変なのが出て来た。 抑えきれない』

 

 不意にグロウモスからの通信。 口調から不味い事になってそうだ。

 メインの戦場から離れていた事もあって問題ないと思っていたが、そうでもなかったらしい。

 それとグロウモスが変なのと評したのも気になる。 相手は何だ?

 

 テロリストではないのだろうか? 気になる事は多かったが、やる事は決まった。

 ボーンヘッドを起動。 昇降機まで移動する。 

 コンソールの類は見当たらなかった所を見ると乗れば何らかの反応が――


 ボーンヘッドのモニターに昇降機の操作メニューが表示される。 

 いちいち動かしてたら時間がかかり過ぎるので、上だけ開けばいい。

 

 「数は?」


 動かしながら状況を確認。 

  

 「一匹。 どうすればいい?」


 一匹と評した点からまともな相手ではなさそうだ。 

 まさか正体不明の宇宙生物がついに出て来たのかと少し思ったが、潰してから考えればいい。 


 「こっちに誘き寄せてください。 俺の位置情報は追えていると思うんでその上ぐらいに来てくれれば大丈夫です」

 「分かった」


 グロウモスの反応が近くまで来たタイミングで推進装置を全開にしてジャンプ。

 縦穴を抜けて地上へ。 視界に映ったのは――何だあれは?

 人間の出来損ないのようなデザインのクリーチャーが居たが、どう見ても敵である事は間違いない。


 「ICpwなんだからロボ使ってなんぼだろうが!」


 ヨシナリはクリーチャーを正面に捉え、何の躊躇もなく胸部のガトリングガンを発射。 

 束ねられた銃身が高速回転して無数の弾丸を吐き出す。 

 弾丸のシャワーを浴びたクリーチャーは血煙を撒き散らしながら吹き飛ぶ。


 手足はあっさり砕けたが胴体部分が不自然にダメージが少ない。 

 

 ――妙に硬いな。


 「だったらこいつでどうだ!?」


 120mm滑腔砲を照準。 

 バキバキと嫌な音を立てて欠損部分を再生させようとしているクリーチャーに砲弾を撃ち込む。

 命中。 爆発音と共にクリーチャーが原型を留めずに肉片や血液が周囲に飛び散った。


 「流石にこいつを喰らえば跡形もなくなるか」


 念入りに警戒したが、復活する様子はない。 無事に仕留められたようだ。


 「――で? 結局、あれは何だったんですか?」


 ヨシナリは振り返ってグロウモスにそう尋ねた。



 「――なるほど」

 

 場所は変わって地下の格納庫。 グロウモスの話を一通り聞いてヨシナリは頷く。


 ちょっと目を離していた間に凄い事になっていた。

 グロウモスの話によるとさっき死んでいたテロリストの死体が起き上がって化け物に変わって襲い掛かって来たらしい。 あちこちにライフル弾を喰らわせたのだが、碌に効かなかったとの事。


 「うーん。 という事はアバターの携行武装では厳しいですね」

 「そ、そう。 弱点は胴体っぽかったけど、碌に通らなかった」

 「心臓の辺りが妙に硬かったって話でしたね」


 確かにガトリングガンでも胴体だけは原型を留めていた事を考えれば間違ってはいないだろう。

 120mmなら粉々にできたので破壊不可能と言う訳ではないのだろうが、あのレベルのエネミーが多く居るのなら割と厳しい事になりそうだ。

 

 裏を返せば耐久を越えた武装を用意できるのなら楽に仕留められるのだが、良い事ばかりではなかった。 まずは格納庫にあった残り二機のボーンヘッドだが、残念ながら使えないようだ。

 片方は推進剤と武装の弾が空で、もう一機はジェネレーターがない。 


 恐らくはパーツ取りに使われたのだろう。

 探したが、ガトリングガン用の弾薬ボックスしかなかった。

 他に使えるものがないかと探すと、手榴弾が数個とパンツァーファーストが二つ。


 空のマガジンがいくつか見つかった所を見ると使い切ったという事だろう。

 

 ――それと死体がいくつか。


 調べたがこれと言って何も見つからなかったが、死因が気になった。

 何かに引き裂かれたかのようなバックリと割けた傷口。 

 例の子供の母親も背中に大きな傷があった。 恐らくは子供を庇ってできた傷だろう。


 「この様子だと似たような化け物が居る感じかぁ。 それにしても何で事前説明と違う敵を繰り出してくるのかねぇ」

 

 テロリストの立て籠もった研究施設の制圧じゃなかったのかよ。

 気が付けば謎の化け物退治になっているのは意味が分からない。

 謎のクリーチャーに関しては情報が少なすぎるので考察は保留。 


 ただ、死体が変異した点を考えると複数いると考えられる。

 次に自分達はどう動くかだ。 

 ヨシナリの見立て通り、この島は地下をかなり弄っているらしく、この格納庫からもアクセスできそうだった。 小さな通路がいくつかと昇降機を用いて更に下に降りる事も出来るようだ。


 恐らくは件の研究施設とやらに繋がっている可能性が高い。 

 ボーンヘッドが防衛目的で配置されている以上は内部に入れない訳がないのだ。

 

 「ど、どうする?」

 「ここに居ても仕方がないので、昇降機を使って下から入りましょう。 そこそこ時間も経っているので上手くすれば先行したプレイヤーと合流できるかもしれません」


 口ではそう言ったが、内心ではボス部屋に先着できるかもしれないと少し期待していた。

 

 「わ、分かった」


 頷いたグロウモスと一緒にボーンヘッドのコックピット内にガトリングガンの弾薬ボックスや使えそうな武器を何とか押し込んでグロウモスも一緒に乗り込む。


 「操縦は俺がして問題ありませんか?」

 「だ、大丈夫。 ――フットペダルとレバーなのに上手く動かせるね?」

 「あぁ、前の限定ミッションで触った事があったんで、慣れてるだけですよ」

 「前?」


 グロウモスが首を傾げるのを見てヨシナリはそう言えばと呟いた。


 「そう言えば言ってませんでしたね。 前もこんな感じの当選者のみ参加の限定ミッションに出た事があるんですよ」

 「そうだったんだ? 前の時はどんな感じだったの?」


 ヨシナリはボーンヘッドを発進させ。 昇降機の上へと移動。

 操作メニューから下降を選択して下へと降りる。

誤字報告いつもありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
謎のエネミーは120ミリの砲弾を使ってようやく仕留められる程の耐久性か。これは弾薬の数が限られる状況では厳しいことになりそう。 使用可能なボーンヘッドは一機だけだったか。残念ですね。そうなると必然的…
あらら残念 モスちゃんの分のトルーパーは獲得ならずか いやモスちゃん的には相乗りになったからむしろよかったのかもしれない
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