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僕らのらんど  作者: 鳴神とむ
76/77

76. あなたのそばに

「ファイヤーボール!」



 次々と火の玉が空から降ってくる。



『ギャアアアッ!!』



 それは全てオークキングに命中し、全てを焼き払った。



 僕は突如目の前に現れた、髪の長い女性の背中を見つめる。



「まあやさん……!」



 まあやさんはゆっくり振り返ると、僕の胸に飛び込んできた。



「バカッ……探したのよ!」



 まあやさんは泣いていた。

 だから僕は強く強く、まあやさんを抱きしめた。



「まあやさんっ……」



 今度はもう、(くう)を切ったりしない。しっかりとまあやさんの体温を感じられる。



 ──ああ、夢みたいだ。

 まさかこうやってまあやさんを抱きしめることができるなんて…………夢? 夢なのか?



「まあやさん!?」


「……え?」


「まあやさん、本物だよな……? どうしてここにっ……」


「本物よ。私……アキラくんを助けたくて、もう一度この世界にダイブしたの」


「えっ」


「私との約束、覚えてる?」


「約束……」



 僕は今までの記憶を遡ってみた。

 最初にまあやさんに助けられたこと、そらじじいのログハウスでまあやさんを守ったこと、それかられんじたちと竹林のパンダを倒したこと──。



「死なないでって、最後まで諦めないでって約束したでしょ」


「あ……」


治癒魔法(ヒール)、かけて」



 僕は最後のヒールを自分の体にかけた。

 消えそうだった僕の命は50%回復する。



「あそこでアキラくんが死んでしまったら、もう二度と会えなくなるんじゃないかってこわくなったの。それでダメ元で壊れかけの装置に飛び込んだのよ」


「壊れかけのって……大丈夫なの!?」



 まあやさんはニコッと笑う。



「私、現実世界で死ぬなら、この世界でアキラくんと一緒にいたい……」


「まあやさ……」


「アキラくん、好きよ」


「!」



 まあやさんはゆっくりと顔を近づけると、僕の唇にキスをした。



「……っ!!」



 驚いてると、まあやさんが「なによ……嫌だった?」って照れながら聞くもんだから、



「まあやさんっ!」



 僕は思いっきりまあやさんを抱きしめた。



「嫌じゃないっ! ずっと、ずっと……まあやさんのことが好きだった……!」


「……だった? 過去形?」


「ちがっ……好きだ!」



 フフッとまあやさんが笑う。

 そんな笑顔のまあやさんを見て、僕は自分のことをちゃんと説明しなきゃいけないって思った。



「……ねぇ、まあやさん。僕……実はNPCなんだ。それでも、愛してくれる?」


「!」



 まあやさんは一瞬驚いたようだけど、すぐに微笑んだ。



「もちろんよ。それにアキラくんは今までも今この瞬間も、()()()()でしょ」


「!!」



 その言葉を聞いて、ブワッと涙が溢れた。



「まあやさんっ……!!」


「私たち、ずっと一緒よ。ずっと──」



 僕たちはお互い身を寄せ合い、周りの景色が青い光に包まれていくのをずっと見つめていた。




 ありがとう、まあやさん


 僕はずっとあなたのそばにいるよ


 ずっと、そばに────







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