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僕らのらんど  作者: 鳴神とむ
12/77

12. ヤバイやつら

「それならお師匠様に蘇生アイテムがないか聞いてみます。それにレベル99なら、呪文も知ってるかもしれないですし」



 早速月影はソファーから立ち上がってリビングから出ようとした。



「……うっ……」



 しかし突然、胸を押さえて苦しみだした。



「どうした!?」


「……なんだか急に、身体が熱くっ……」



 そう言うと月影は荒々しく呼吸をし、床に崩れた。明らかに様子がおかしい。



「大丈夫か、月影!」



 僕は急いでキッチンで水をくみ、月影にコップを渡そうとした。



「……アキラさんっ……」



 バシャンッと水がこぼれた。

 月影はコップよりも僕の右手を握ってくる。



「へ?」


「……アキラさん……俺すごく……熱いんです!」


「あ、ああ……だから水……」


「そうじゃなくてっ……どうしたらいいですか?」


「は? 何が」



 月影はうるうると瞳を潤ませる。

 何か嫌な予感がした。少し視線を下にずらすと、月影の股間が物凄く膨らんでいるのが見えた。



「お願いしますっ……少しだけ……触ってもらえませんか?」


「───」



 僕は言葉を失った。

 意識がどこかへ飛びそうになった。

 すると月影が僕の右手を自分の股間に近づけさせようとしたので、僕は慌てて振り払った。



「僕にそっちのはない!」



 僕は乱れる月影を残して、リビングから飛び出した。



「な、なんだあれっ……冗談じゃねーぞ!」



 月影ってそういう趣味だったのか?

 だったらこの先ずっと一緒にいたら、僕の貞操が危ないじゃないか!

 吐息混じりで話す月影を思い出して、全身に鳥肌がたった。



「キモイキモイ、無理無理無理~!!」



 パニックになった僕は外に飛び出した。

 ログハウスの中にいれば、確実にやられると思ったからだ。



「……アキラ……さんっ……」



 ログハウスの中から月影のうわずった声がする。きっとどこまでも追いかけてくるに違いない。そう思って暗闇の中を走っていこうとした、その時。

 何か固いものと接触した。

 なんだろうとそれを手で触ってみる。



「刀……?」


「それはわしの竿じゃ」


「!?」



 カチッと音がしたかと思うと、暗闇からそらじじいの顔が浮かんだ。



「うわっ……!!」


「こんな夜中にどこに行くんじゃ」



 そらじじいは懐中電灯で僕が握っているものを照らす。そこにはさっき言っていたそらじじいのグロテスクな竿があった。



「う、うわあああっ! 触っちまった! うわあああっ!!」



 僕は手を洗いに行こうと、玄関のドアを開けた。



「あ、アキラさんっ……!」



 今度は月影がなぜか上半身裸で立っていた。



「なにやってんだよ、お前ら、アホか!」



 もうやだ、こいつら。

 もう泣きたくなってきた。

 そう思った時、



 《ブー!ブー!》

 《モンスターが接近中!》

 《モンスターが接近中!》



 スマホから警告音が鳴った。

 突然の警告音に身体が強ばる。暗くてよくわからないが、暗闇の中に何かがいる気配を感じた。



「気をつけてください! アキラさんは危ないのでログハウスの中へ入ってください!」



 さっきまであんなに乱れていた月影がキリッと言い放つ。さすがにこんな時までふざけるほどバカじゃなかったようだ。



「アキラ、まあやさんを守るんじゃ」



 どこに隠し持っていたのか、そらじじいが僕に武器を渡してきた。



「これは……」



 なんと釘バットだった。



「行くぞ、月影」


「はい、お師匠様!」



 そらじじいと月影はモンスターの気配がする暗闇の中へと消えていった。残された僕は悪寒を感じ、慌ててログハウスの中へ入った。



「まあやさんを起こさないと……」



 うるさいくらい心臓がバクバク鳴っている。外にいるモンスターはきっと月影たちが倒してくれるだろうけど、モンスターが何体いてどこからきてるのかわからないから油断はできない。





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