最近の男子高校生はおふだを使った祓い屋のバイトをします。
放課後。友人2人とゲーセンに行った帰り。
「…またか!」
俺は少し離れたところから気配を察知すると、スクールバッグからおふだを数枚取り出し、スクールバッグを友人に預けると、悪霊の気配がする方へと急いだ。
「きゃーあぁあ!誰か助けてーー!!」
「ブフヘヘ!かわいい女子高生~!オ、オレとデートして!」
「嫌よ!あんたみたいなキショイ化け物と誰がするか!離せ!」
「キショイだと!?このブスが!お前みたいなブス女は地面に叩きつけて、顔面がぐちゃぐちゃになっちゃエー!ゲヘヘヘ!!」
「イヤアアア!!」
二階建ての家くらいの大きさくらいある、鏡餅みたいな体型したおっさんの悪霊。その悪霊が女子高生を握りしめ、腕を振り上げて地面に叩きつけようとしていた。
「こいつを縛り上げろ!呪縛札!!」
俺は『呪縛』と書かれた二枚のおふだを取り出し、その悪霊に投げつけた。するとおふだからじゃらじゃらとしたチェーンが出てきて、女子高生を握る腕とともに、その悪霊を縛り上げた。
「くっそ!ナンダこのチェーンは!」
悪霊は体を捩らせ、ギチギチとチェーンを千切ろうとしていた。悪霊の気がチェーンに行ってるその隙に。
「風の翼羽ばたかせて、彼女を助けろ!風鳥!」
悪霊の手の中に握られている女子高生のところに向けてその『風鳥』と書かれたおふだを投げると、おふだは淡緑色の鳥になった。そして、女子高生のもとに飛んでいくと、彼女の体につむじ風のように巻きつき、俺のところまで彼女を運んできた。
「あ、ありがとう」
「こっ、コノヤロウ!オレの獲物をヨコドリシヤガッテエエエーー!!」
悪霊は耳障りな奇声を上げながら、体を縛るチェーンを引きちぎった。
「ちっ!何だこの圧は!」
さっきより、その悪霊の禍々しさが強まった。
ウ オ オ オ オ オ ! ! !
悪霊の雄叫びが、ビリビリと全身に響く。鼓膜が引きちぎれそうなほどの声量だ。
「ちっ!耳が痛ぇ、よ!」
俺は『火葬永眠』と『風鳥』のおふだを数枚取り出し、それを悪霊の方に投げた。
「その札を風に舞い上げ、悪霊の全身に貼り付け!そしてそいつを業火にかけて永久に眠らせろ!『火葬永遠』『風鳥』!」
俺がそう唱えると、火葬永遠の札が風に舞い、悪霊の全身に貼り付くと、悪霊の体が炎に包まれた。
ウ ギ ャ ア ア ! !
悪霊が雄叫びを上げながら体を捩らせそして、弾け散った。
俺は男子高校生をしながら、おふだを使って悪霊を祓う『祓い屋』のバイトをする苦学生…ってやつだ。