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伝説の相棒  作者: 龍美邦彦
2/20

写真には嫌な思い出だけです

「失礼しますレティア会長」

「あらオフィーリアさんってどうしたのその目?」

「すいませんちょっと試合に負けてしまって…」

 眼が語っているのに気づき励ます。

「なにかいいことでもあったの?」

「はい!実は私に勝った相手が実に妙な技をつかったんです!明らかに腕を隠している節があったので剣術指南役をしてもらうことを約束させてきました!」

「さすがただでは起きないわね…でちょっと話なんだけど」

 すると生徒会室の会長の座の棚から写真をみせてきた。

「これクレナ先輩が置いていったの…たしか生徒会が行き詰まったらこの子あてにするといいわよって言われたんだけど今のところは大丈夫なんだけどどう思う?」

「これは…ヴィリオ・パルグランツの…上半身裸ですね…ん?これ、この写真には高度な魔法がかけられてますね?」

「そうなのよ、遊ばれてるみたいでしょ?で、なんで名前までわかったの?」

「私はこの生徒に敗北したのです!この写真、脱衣所ですね…なんでこんな写真を?」

「それがわからないのよね。ディスペルをしようとしたけど解除が難しくて、あなたならどうかしら?」

「ちょっと調べてみます」

 そういい魔力を写真に送り込むと5重の魔法円が展開し送られた魔力を弾いた。

「5日程度かかりますね…この手の解呪魔法は」

「そう…まったくクレナ先輩も何を考えてるのかしら。生徒会を一人で切り盛りしたのはすごいけど彼が関係しているのが謎だしなにがなんだか」

「つまり彼を生徒会役員にすればいいんですね?」

「まぁクレナ先輩は遠回しにそう言ってるんでしょうね」

「写真かしてもらってよろしいでしょうか?解呪を試みてみます」

「いいわよ別に写真を解呪しなくても生徒会に入ればクレナ先輩のおかげでメリットが豊富だから入ってくれるはずと思うし」

「いけませんレティア会長あのヴィリオ・パルグランツという生徒…かなり裏と表がありそうです。もしかしたら父の勅命でも指南役を買って出ない可能性がありそうな生徒ですよ?」

「王様の勅命でも?それはあり得ないとおもうわよ?国王の娘を泣かしておきながら剣術も指南しなかったら首を自分から切るようなものよ?」

「ヴィリオ・パルグランツは第3の答えを持ち出して話をごまかせるなにかそんな空気を醸し出す生徒です、所謂クセモノです。あの時立ち合っただけで奥のそこがしれませんでしたし」

「そんなにすごいの?クレナ先輩が見込むだけのことはあるということね。いい人材は今のうちに仕入れておかないと次の代になったとき迷惑をかけてしまうのは後輩たちだし注目人物ね」

 そうですねと言い写真を見ながら考える。

(この写真でなにかヴィリオパルグランツのことがすこしでもわかればそこから開けていけるきがするのだけれど…)

 悩むが5日で謎がわかるならと思い。

「私は今から一週間程度休みをもらうことになっていますのでその間にディスペルしてみます」

「じゃあきょうはもう帰っちゃうの?」

「いえ必要な参考書を図書室で読みながらまず1つ解呪してみようと思います」

「もしかしたら件の彼も図書室にくるかもね」

「ゼイン先生の授業を居眠りするぐらいだからそのまま帰ると思いますが」

「居眠り…本当にクレナ先輩はわからないわね」

「では失礼します」

「じゃあ1週間後にね」



 二人の話はそこで終わったが。



「本当に…クレナ先輩はわからない人だわ…」


 棚から出されたもう一枚の写真にはモノクルはついているものの左肩に黒い矢のマークの紋章が描かれていた。



(これってクレナ先輩の入った黒の矢のギルドマークよね…でもあの大会に彼はいなかった…もし彼が黒の矢のギルド員だったら最悪退学の可能性があるわね、本当にわからないわクレナ先輩って…)


 この学院では3年からギルドの仮体験ができるのだがそれは3年からであるしマークを付けることは校則違反でありマークを付けてギルド員の真似をしたら最悪退学の可能性のあるのである。

 腕を組んで悩むレティア・レイル会長であった。


 オフィーリアはディスペルに必要と思われる本を借りに図書室へと入っていった。


「ふむ…タイガークロウって風の魔法陣にして炎も織り交ぜていたんですね。でも僕なら斬撃を多くするなら氷を混ぜますがね」


 ぶつぶつと一人でゼインの言ったことを真面目に勉強しているヴィリオがそこにはいた。オフィーリアはマル秘ノート30と書かれている本に目がいって話しかけた。


「お前はヴィリオ・パルグランツじゃないか?なにをしてるんだ?あとそのノートはなんだ?」


「…へ?殿下?!…なぜにここに?!」


 ヴィリオも困惑していたしかしすぐにいつもののんびりヴィリオにもどる。


「あぁ、殿下も今日は図書室で残り時間過ごすんですか?僕はゼイン先生のいってたタイガークロウを研究してただけです」


「そうか…で…そのノートはなんだ?」


 ちょっとなやむヴィリオでも、まぁいいかといいながら。


「これは僕は感じたり勉強したことすべてをまとめているノートです。まぁ今日は久しぶりに見たかったマル秘30を持ってきてますがね」


「そのノートはどんなものなんだ?」


「いや今言ったばっかりでしょ…」


 うなだれるヴィリオ。


「いや見せてもらえないかなと思って…だめか?」


「…まぁいいですけど30にはまだ世に回っていないオリジナル魔法を収録しています。口外厳禁、使用の際は僕の了承を得て使用してくださいね」


「…わかったでは見してもらう」


 初めの一発で度肝を抜かれたオフィーリアだった。


「なんだ?!この陽獄拘束魔法、サン・チェーンとは?!」


「あぁ。それは危険なやつですね。炎を使った魔術です。使ったら勝手に炎の鎖が伸びて引っ張られて、引っ張られたあとその中心にいるものは太陽の炎に近い温度で一瞬で存在が消えます。」


「恐ろしい魔法だな。ってこれ誰かに使ったのか?!」


 ヴィリオは少し戸惑った。まさか昔葬った闇ギルドの一端にゼルツに頼んで使ってもらったなんて言えるわけがないからである。


「まぁ…僕が使ったことはありません。使えないからです」

「ならなぜここに成功と書いてあるんだ?…」

 しまったとおもいノートを取り返そうとするがオフィーリアが決闘のことを思い出し意地悪したくなってノートを服の中にしまい込んでいった。


「ちょっずるいですよ!男性では取れないところに僕のマル秘をやるなんて!?」

 すると独り言のようにオフィーリアは語る

「あーあ…今日私は誰かに決闘で泣かされたのだったな。別に悔いてはないが剣士としての恥であったなぁー」

「わかりました。しゃべりますから返してください。」

 ふっふーと意気揚々ちゃんと返すオフィーリア。


「僕は使えませんがずっと前の話ですがモルモットのネズミでゼイン先生に頼んで使ってもらいました…」

 もっとも闇ギルドの悪いネズミであるが。


「そうか…でもそのネズミもかわいそうなことされたものだな…というか自分で試さなかったのか?」


「さっきから話きいてます?僕は魔法が使えないんです」

 オフィーリアは首をかしげる。この世界の人間は小さい頃から魔力回路という人それぞれの体の神経に近い回路持って生まれてくる。個人に違いがあり属性でも自分にあった回路なら簡単にその属性の魔法が使えるようになったりする。もちろんのちの修行でいくらでもいろんな魔法は習得かのうではある。なのに使えないというのはどうしてかと疑問に思う。


「僕は生まれたとき魔力回路と同時に強烈な魔力を持って生まれたんです。そのせいで回路はズタボロで使えるとしても微々たるものなのでほかの人に使ってもらうしかありません」


「赤子のの時に魔力をもって?ハイエルフなのか?お前?」

 ハイエルフとはエルフの上位互換。いまでは数十人の集落でこの世界のどこかで身を潜めているといわれている。魔力回路もすごくいろんな魔法を簡単に習得でき生まれながらに魔力を宿して生まれても大丈夫な種族である。

「そんな耳に見えますか?異端児なだけですよ…」


「だろうなぁ…すまない、そうか魔力回路がか…悪いことを聞いたな」


「いえクラスのみんな知ってることですよ?」


「?!そうなのか周りとは壁ばかり作ってしまっていて私の耳には入ってこないのだ」

「なんかそっちのほうが聞きたくないようなことですね…友達いないんですか?ってまぁいないんでしょうねぇ…」


「心外だな私には姉がおり信用のおけるメイドもいる。それに貴族のなかでもしった顔もいるしレティア会長とは学年は違えど敬い仲が良いといってもいいんだぞ?」


(でしょうねぇ…)


 心で思うヴィリオであった。知っている情報とはいえ面と向かって言われるのは正直微妙なものだった。


「でも同学年にはいないんでしょう?」


「…まぁ異論は認める。私がこの学校に入ったのは私の一番上の姉、ナナン姉さまに私を超える傑物になれと言われて無理矢理入らされたのがきっかけだったからな。王宮でも勉学に剣術や魔法を教えてくれるエキスパートが大勢だったのだがな…」


「まぁ見聞を広めよって意味じゃないですか?しかもナナン殿下のちにこの国を治める女王になるやもしれませんからね。自分と同じように育ってはいけないと身をもって感じ提案してくれたのでは?」


「だがいささか学校というものは人とのコミュニケーションがとりにくいものだな」


「さっき自分で壁を作ってしまっているって言ってましたよね?なぜ自分から人に尋ねないのです?案外ふとしたことから友達になれるのに」


「なんというか…後戻りができないようなレッテルを張られているらしく皆私を恐れる、逆らえば首が飛ぶとかいい卒業してもいい仕事先が斡旋されんなくなるとか…」


「はぁ…じゃぁもう僕の頭はさらされるのですね…母さん先立つ不孝をおゆる「ちょっとまて!」」


 はぁとオフィーリア溜息をついて。



「私はそんなことはしないぞ!もっと頼られたい方なのだ!レティア会長のように!」


 それはこの学校に来て初めての本心をヴィリオに打ち明けたのだった。


「こんなに壁を勝手に作られて不便ではあるだが実績をだせば便りにしてくれ人があらわれるかもしれない!先代生徒会長クレナ先輩や現会長のように!」


 しかしヴィリオは告げる。


「僕は魔法の勉強ができるのならそれでいい…あとこれはあるえらい人の言葉ですがどんなに冷たい冬の季節でもいずれは春になります。僕はそんな偉人の言葉をけなすわけではありませんが何かに没頭していると仲間というものは以外な形であらわれて付いてきてくれるものですよ」


「お前は何人友達がいるんだ?同級生で」


「まぁ…同級生ではシレルなどがいますね。シレルは僕の魔法研究を馬鹿にしますがいずれこの回路が治った時のためにも僕は魔法の勉強を続けます。僕は研究者になりたいんです。ウィザリア魔法研究所でね」


「お前ならできそうだな。あ!そうだ研究ついでだが」


 先ほどレティアから渡された写真を見せた。


「この写真お前で間違いないか?」


 するとみるみる顔から血の気が引いていくヴィリオだった。


「だ!大丈夫か?!」


「なんで!あの時燃やしてくれたはず!まさかもう一枚あったなんて…ん?よく見せてください」


 取り乱したと思ったら一瞬に顔を変えある部分を見る、その視線はなかなか辿れなかったオフィーリア。


「あぁ…こういうことですか…クレナ先輩のやりそうなことだな、あ~あ…」


「?なにかわかったのか?」


「なんでもありませんがこの写真には嫌な記憶しかありません。あと見た感じクレナ先輩の術式じゃないですね。その写真…だれから渡されましたか?」


「ん?レティア会長からだが…なんなのだこの写真は?」


 それを聞くとまた、あちゃぁ…と言うと頭を抱えていた。


「あなたは騙されています。この術式は以前見たことがあり癖がありますがレティア会長のものです。多分レティア会長はこの僕のなにかきづいているかもしれませんね」


「な!?なに!?この写真はまがい物だと!?」


(あの腹黒メガネ女子はどうしてこうも…いやそれよりレティア会長に気づかれたようですね…まぁギルドマークのことはのちに考えましょうそれよりこの写真はこの場で)


 ヴィリオは写真を持って考えるふりをして。


「あ…手が滑ってビリビリに破いてしまったー(棒)」


「あぁ!写真が!貴様!何をしてくれる!」


 かなり怒っている殿下に対しヴィリオはのんびり言った。


「レティア会長も迷ってるんじゃないですか?だからこんな回りくどいことをした。もしあなたが本当に心から打ち明けれる存在ならレティア会長はこんなことをしなかった。違いますか?」


「ふん!?貴様が本当に会長がまがい物をくれたという根拠は私にはわからないが。貴様には魔法を使える魔力回路が使えないのだろう?そっちの方が眉唾物だ!」


「僕は回路が壊れていて魔力も生まれたときにほとんど失いました。しかし微々たるものですが感知はできます。あれはレティア会長の術式です。嘘だと思うなら本人に聞けばいい」


「そうさせてもらう!写真をダメにしたきさまは借り一つだからな!」


 そういいながらばらばらになった写真を全部集めてこう言った。


「お前なら…なんでもない…」


 走っていくオフィーリア殿下。ヴィリオはくたびれた顔をして。

(家に帰るかもしれないので尾行させていただきますか…)


 護衛というクエストを遂行しようとするのだった。

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