どうせ脳内お花畑白兎です
夜10時を過ぎオフィーリアの館の監視者を駆除に向かったヴィリオであったが今日は誰も監視していなかった。だがまだ夜は長いのでまだ少し見守ろうと思い息を潜めるが、周りから誰も来る気配がないので今日は帰ろうかと思ったがイルルのことが頭をよぎり会いに行くことにした。ちょうどいつもの見回りをしているイルルを見つける。
「こんばんわ、イルルさん」
「あらハユード様、、こんばんわ、いかがなされました?」
今日はヴィリオから話に誘おうとする。
「今日は僕があなたと話がしたくて来てしまいました。いけませんか?」
「はい!よろこんで!」
二人は庭の椅子に座りヴィリオから話し出す。
「あなたのことです。僕のことはもうほとんどわかっているのではありませんか?」
「ハユード様がヴィリオさんってことですか?」
「やっぱりバレてましたか…このことは他の人に言わないでください。お願いします」
「わかっています、ふふ、それだけですか?」
ヴィリオはゼルツに言われたことを話し出す。
「僕って本当は魔法の知識だけでめんどくさがり屋で今まで恋愛なんて自分には無関係な物だと思っててまだ好きという気持ちがわからないんです」
「そうなんですか?」
「で、ゼルツに少し助言的な物をいただいたのですが、お前はお前のままで接してりゃあいいと、会話も僕の好きな話をしたらいいと言ってくれました」
「それはいいとおもいますけど?」
「でも学生とギルドをやっている自分を切り替えてる分そのままの自分と言うのが少しわからなくて…すいません」
「確かに学生の時のヴィリオさんはちょっと気を抜いてる感じがしましたけど、特に今とかわりませんよ?私が好きになったヴィリオさんです…って本当の名前はどっちなんでしたっけ?」
「ヴィリオは義母さんがつけてくれた名です。ヴィリオでいいです」
「そうでしたか、ちなみにハユードと言う名前の由来とかはあるんですか?」
「そうですね昔読んだ物語で大魔導士ハユールという名前からとらせていただきました、しってます?勇者の相棒という物語?」
「たしか勇者を目指す少年と一緒に旅をして、いつもは何もしないけどピンチの時だけ成長を促す魔導士の話ですよね?」
「おぉ!知ってましたか!そうなんです。あれに小さいころハマってよく微量の魔法でお義母さんの手伝いをしようとしたんですけど、あんたは後から高熱がでるんだから使っちゃダメと何回もいわれました。」
「熱?ですか?すみませんお嬢様とレティア様の話が耳に入ってしまい聞いたのですが魔力回路が上手く働かないとか?」
「謝らなくてもいいですよ。そうです僕は普通の人と体が違います」
「治す方法はないんですか?」
「義母さんは闘気が紫になったら改善してやるといっていました。正直なにをするのかわからなくてちょっと怖いです…」
「闘気というのは段階的な物が存在するんですか?」
「ありますよ?初めは透明でその次が赤闘気といって赤い闘気、その次が青闘気、青い闘気です、その次が紫闘気。僕がいまだに至れない境地でまだ上には2段階あるとか」
「すごいですね!あとちょっとじゃないですか!私なんて透明な闘気で止まったまんまです」
「イルルさんはどうやって闘気を得たんですか?」
「お姉さまに御指南いただきました。剣術と拳闘術を学んでるときにいつの間にか現れていました。でもお姉さまも透明な闘気だったはずです」
「そうですか、では今度はあなたがお姉様やお兄様に教える番になるかもしれませんよ?」
「え?」
「こんどのテストの次の休みには殿下に闘気の開放をしてもらいます。イルルさんには青闘気の放出を学んでいただきます」
「えぇ!!そんないっきに段飛ばしなんてできるんですか?」
「僕は義母さんのようなスパルタではありませんが。確実に闘気を開放する方法を知っているので後は高めればいいだけです。為せば成るものです」
「その…ヴィリオさんの義母はノキ・パルグランツ様であってますよね?ナナン様を警護していると上からの情報に書いてありもしノキ様の機嫌を損ねるようなことをしたら国が亡ぶなどと言われておりますが…本当なんですか?」
「はっきり言えば本当ですね。レジェンドクラスが本気を出せばこの世界は3週間も持たないうちに全国家が亡ぶでしょう、ゆえにレジェンドクラスは水面下で動く人が多いようです」
「…すごいんですねノキ様って…」
「まぁ、世界を踏破しただけのことはあるし。でもだからこの世界にも好きなところがあるからレジェンドクラスは暴走をしないというところもあります」
「そうですよね、レジェンドクラスって言われるくらいですから理由もなく何かを亡ぼすということはしないんでしょうね。ちょっと安心です」
二人は他愛ない話をしているがイルルは本当のヴィリオは人を和ませる雰囲気出すところに気づいていた。そして図太いように見えるけど繊細な部分もあり好きという気持ちををまだ本当にわかってないんだと思うと少し胸が苦しくなる。
「そのヴィリオさん?ちょっと私の前に立っていただけますか?」
いきなりの宣言だが、はい、いいですけど?、と軽く返事する。するとイルルはヴィリオの胸に抱き着く。
「イルルさん?!」
「お願いします私のことも抱き返してくれませんか?」
上目遣いで願うイルル、ヴィリオは女性特有のいい匂いにあてられ混乱している。だがゼルツの言ったことを思い出す。フェアじゃなきゃ、と今ならフェアなのかな想って優しくイルルを抱きしめる。その時なぜかすごくこころが暖かくなった。
(あぁ…好きになるってこういうことなのかな)
イルルの容姿は一般的な女性に比べてもかなり上位に位置する。オフィーリアとは違うタイプの可愛さでなぜか守らねばという気持ちにさせてしまうらしい(叔父であるハウベ曰く)。
二人は鼓動と鼓動が高鳴りだすのを感じ出す。二人とも顔が真っ赤になる。もう一つ思い出すゼルツの一言、今度は好み関係なくイルルさんを見続けるこったな、次第に二人は見つめあい唇が近づいていく。そこに。
「イルルー?どこにいるんだ?」
二人はびくっとしてヴィリオは庭の木の間に隠れイルルは呼ばれた方に行く。オフィーリアであった。
「どうなさいました?!お嬢様?」
ボロを出さないように必死に平静を装うイルル。しかしオフィーリアは何かを感じ取ったのか。
「今頃になってラブメイトが二つ残ってしまったのだ。想い人とでも食べてくれ。でわな」
オフィーリアは去るフリをして影に隠れる。
(イルルの想い人は多分ハユード殿だろう…今日も密会していたとは、しかしイルルを泣かせるような真似をしたら絶対に許さん!)
(お嬢様が見てる…しかたありません!)
イルルも庭の木の間に向かって隠れていく。
「すみませんヴィリオさんってええ!」
今は冷静になっているがまたイルルを抱きしめる。
「僕…イルルさんが好きだ…あなたの気持ちに答えたい…でも成人して独り立ちしたら迎えにこようと想って…でもイルルさん反則技使い過ぎで、だから今回は僕からも反則使わせていただきます…」
二人の唇が重なる。オフィーリアは隠れてしまった二人を探したが見つからなかった。だが二人は本当の恋人の関係になった瞬間だった。
「僕も初めてのキスです。今度は僕のことばかりではなくあなたのことを聞かせてください、また来ます」
「は…はい!またお待ちしております」
「イルル!ここにいたのか?ってどうしたんだ?涙…ハユードめ!イルルを泣かせたな!ただではおかん!何をされたんだ?イルル?」
「お嬢様!?なんでもありません!これはうれし涙です!ヴィ…ハユード様が私に大事なものをくださっただけです…」
「そうなのか?!そうか…イルルが涙など流すのは小さいころしか見たことなかったので早とちり?したのかな…まあいいもう寝ようイルル?」
「はい、お嬢様」
イルルはその日ラブメイトを渡しそこなってしまったがうたい文句が本当に効能があるのではと錯覚した夜であった。
ヴィリオは寮に帰りモノクルを付けてシャツに着替えて寝る、が。胸のドキドキまだ収まっていなかった。
(危ない…もっと自分を制御せねば…次はイルルさんのことを聞くだけだ…だけなんだけど…あぁぁああああ)
思わずクリスタルに念じる。
(ゼルツ?聞こえてますか?)
(おう、どうした?こっちはマウルスと使用人を警戒しているところだ、そっちはどうだ?)
(えぇ…今日は帰りに尾行者一名でしたが脅して帰しました、館には誰もいなかったです…あと女性に抱き着かれるというのは…)
(おい?副ギルドマスター?なにいってんの?)
(い…いえ今日も自分らしく接していたんですが…いきなり抱きしめてくれと抱き着かれてそれで…その…ちょっと混乱して…でも二回目は冷静に対処したんですが…)
(おい!この脳内お花畑白兎!イルルさんと何があった?)
(えっと…抱きしめてキスをしました。唇に…)
(てめぇ!こっちは毎日店員見回ったり二人監視したり大変なのに…もういいわ…で、昨日の今日でもうそこまで発展するってのはちょっと早すぎねえか?)
(僕も思ったけど…イルルさんが積極的過ぎて僕のキャパシティをオーバーしていて。何か僕にもできないかと思ったらキスしてました)
(若さって魔法だなぁ…まぁ俺も意識したらもうそこまでいってたってことはあったけれど俺は一応19歳でヤッちっまったしな、あとはもうお前に任せる)
(あとのこととは…男女の体関係ですか?…一応義母さんから女性と男性の構造などは教えられてますけど…あと___は___で____し過ぎると___と聞いたり)
(あー聞こえねー俺なんも聞こえねー仕事なんで切るわもう話しかけんなよ?もう寝ろ!)
ゼルツはオロチとわかれ一人借家にもどり。
(育て方を間違えてしまった親ってこんな感じだろうな…ノキさん色々と生々しく教えすぎです…)
ギルドマスターというより親感覚でみていた子にたいして大人の階段を少しずづ登るヴィリオには道を外してほしくないと切に願うゼルツであった。




