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伝説の相棒  作者: 龍美邦彦
14/20

知らなければというより彼女にバレてしまいました

 ヴィリオとイルルが別れ、寮に戻って寝ようとするがなかなか寝付けないヴィリオ。


(なんか僕とんでもない約束をしてしまったのではぁぁあああああ!)


 顔が火照って。心がもやもやする。恋なんて自分にはかけ離れているものだとずっと思いこんでいたからだ。こんな時は年上のアドバイスをもらおうとクリスタルに念じる。


(ゼルツ?起きてますか?)


(あ…あぁ…寝てた。なにか起きたか?)


(もし女性からアプローチされたらあなたならどう答えますか?)


(は?なにいってんのおまえ?)


(いえ…なんでもないです…ちょっと知り合いが女性から告白されたらしいので相談されて…)


(ふーん…ふむふむ…ふふーん!)


(なんですか?その鼻の鳴らし方は!もういいです)


(まぁそういうな。ついでに期間はどれくらいでされたんだ?)


(1か月近く同じ委員で仕事をしていたら告白されたって感じですかね?)


(そうだなぁ…教師としては見守ってやり、捨てられたら慰めるってのが答えだが、既婚者としていえば…ようこそ人生の墓場のスタートへ!ざまぁみろ!って感じかな)


(なんか馬鹿にされてるのか自虐してるのかわからないです)


(だよなぁ…まぁお前ならいろんな人が寄ってくるだろうけどお前が認める女性なら俺は安心して応援してやる)


(ぼ!ぼ!僕じゃ…まぁその言葉の意味がよくわかりませんが僕ってそんなに女性受けいいんですか?)


(いやいや、お前事態が結構純情だからな。類は友呼ぶってあるだろ?つまりお前には自分と同じような純情な心の持ち主が現れるってことだ)


(純情…いまいちわからない…僕はオリジナル魔法馬鹿ですよ?しかもめんどくさがり屋で。とりえなんてないでしょ?)


(まぁ自分が自分を見るなんてのは結構むずかしいもんだ。お前はお前のままで良い。いずれ本当のことも話すんだろ?まだ俺にはかたってねぇこととか)


(いえゼルツに語ったことのないことを語りました。まぁ猶予は3年もらいましたが…一応成人してからのほうがいいかと思い…でも自分の正体は2年過ぎたら話せるかもと…)


(はぁ!?まぁイルルさんなら大丈夫だろう。全部受け止めてくれるはずだ!あとお前のことだから大丈夫と思うが雰囲気と勢いに任せるなよ?学生ができちゃった婚とか笑えねえからな?お前の夢のウィザリア魔法研究所に入って独立して稼ぎができだしたらだぞ?あともしも夜の男女の関係になる場合ならちゃんと___をつけろよ?)


(あなたがもう僕の子供まで見据えてるのにちょっと引きました。でもまぁやはり就職してからですよね。ってなんでイルルさんが出てくるんですか?!)


(ていうか抱きしめたりした?)


(いえ、抱きしめが必要だったんですか?)


(いや、告白されていきなり抱きしめらられるってのはお互いがちゃんとフェアじゃなきゃ効果があまりないってとこかな)


(んー…その駆け引きは難しいですね…)


(まあお前事態がまだ好きって気持ちがわかってねぇんだからまだするなよ?)


(わかりました。なんか今日のゼルツは本当に恋愛した人って気がしました。ありがとうございます)


(俺の場合は義母と義父の娘と同い年で出会って幼馴染でそのままなし崩し的に結婚したがそこに愛がなかったわけじゃないからな、小さいときから遊んでたし競いあったし喧嘩もしたな、今思えば全部が結婚っていうときのための必要過程だったと思うな。だから俺の恋愛人生は役に立たんが女の気持ちってのはわかるな)


(で、置いてきた奥さんの気持ちって今わかります?)


(俺の骨は綺麗な砂浜にすててくれな…俺…この仕事が終わったら死ぬんだ)


(なんかド直球な死亡フラグ過ぎて死にそうに感じないんですが。つまりは5年以上はアウトってことですね)



(まあ遅くても3年以内にはちゃんと相手をしり自分もしりお互いがお互いを知り、幸せになってくれりゃあいいなと思ってる、最近の年頃のカップルはすぐ勢い任せに体の関係になっちまうからな。そのあとずっと愛し合えればいいんだが。お前は純愛ってやつを十分満喫して末永く爆発してくれ)


(最後の爆発がわかりませんが純愛ですか)


(まぁお前はいつものままで接してりゃいいさ。会話でもお前のすきな話をしたらいいさ。女性は相手の悪い所もいい所も見つけるのが上手いからな。イルルさんなら自然とよりそってくれるだろう。ていうかイルルさんって何歳だっけ?)



(来年で成人と言ってました、19歳かと)


(いいじゃねぇか!お前いつも精神年齢高めのお姉さんが良いって言ってたし)


(そういわれれば…ぼくってイルルさんが好みの相手になりますね。気づきませんでした)


(じゃあ今度は好み関係なくイルルさんを見続けるこったな、明日学校だし居眠りすんなよ?じゃあな)


 と念話を切るゼルツ。




(はぁー相談には乗ってくれましたがいつものままでいいんならいっかぁ…)


 そして眠りにつけたのは12時過ぎだった。


 朝になり目が覚める時間を見るとあさ7時だった。7時間寝られたならいいかとおもい食パンをやいてその上に目玉焼きと特製ソースを乗せて簡単に食事をし洗い物を済ませ支度をして学校へ向かう。途中シレルと出会う。


「ヴィリオじゃねぇか!お前休んでた間ほんとどこいってたんだよ?休日も遊びに誘おうとおもって行ってもいなかったし」


「あぁ…ずっと図書館にいました。あと街で清掃活動もしてました。いい汗かきましたよ」

「ふーんまあいいけどあと3日で中間テストだぞ?今回は何位狙うんだ?」


「まぁ60位以内ならいいんじゃないですか?」


「欲がねぇー!それじゃあお城への招待は無理だな」


「そういうシレルは?」


「まあできるだけ上を目指すさ、できれば20位以内かな」


「自信のほどは?」


「50%程度だな…」


「そうですか」


「そういやラブメイトってしってっか?ヴィリオ?」


「あぁなんか最近新しくなったとか」


「そうなんだよ!今度のラブメイトはあの黒の矢のハユードが絡んでるらしいぜ!」


「なにをしたんですか?」


「なんか発案者の一流料理人のレシピに文句言って改良させたとかってはなしだ。実際改良前は精神不調者が多かったけど新しくなってからは全然味もちがうんだぜ」


「へー」


「なんか反応薄いなヴィリオ。しかもこのお菓子って恋愛成就の力があるって噂だぜ。ブームには乗ってみるもんだぜ!?」


「ブームって…恋人でも作るつもりですか?」


「俺達だってそろそろ恋人くらい作ってもいい年だぜ?」


「はぁ…で、狙いは誰ですか?」


「もちろん!レティア会長って言いたいけど流石に無理だろうなと思ってる…」


「シレル、当たって砕けてみてください」


「なんで砕けるの前提で当たらなきゃいけないんだよ。お前ひでぇな!」


 冗談ですよ、と話ながら学校に着き自分のクラスに着く。


「ようヴィリオ!久しぶり!」


「久しぶりです」


 一応クラスメイトの何人かは話しかけてくる。他愛ない返事を返し席に着く。しかし斜め後ろから変な圧を感じる。


(殿下ですよねぇ…なにか要でもあるんでしょうか?)





 鐘がなり授業が始まる。ヴィリオもオフィーリアも勉強にはついていけていた。ヴィリオは自分の欲求でもう高等部の3年までの勉強ならもう予習済みであるから問題なかった。オフィーリアも城で教わっていたので問題なしだった。


 木剣をもった実技授業になるとオフィーリアはヴィリオに告げる。


「私と打ち合ってくれヴィリオ・パルグランツ!」


 クラスはまたヴィリオが危機なのではとヒソヒソ話をしていた。


 シレルは、今回は上手くやれよ、といい他の人と打ち合いだす。自然と相手が殿下になってしまうのだった。


「はぁ…わかりました。ではハンデとして僕は十歩しか動きませんので、どうぞ」


「わかった…ではいくぞ!」


「あ、その前に、プルグ先生、魔法の許可をお願いできませんか?」


 ゼイン先生の代わりの女性の先生であるプルグは。


「ケガをしない程度になら良いですよ」


「わかりました。殿下一応本気でかかってきてください」


「随分余裕だな…では遠慮なく使わしてもらう!」


 オフィーリアは簡単な無詠唱のファイアボールを5発撃ち距離を縮める。ヴィリオは木剣に一瞬だけ闘気をこめすべて切り伏せる。まだ一歩も動かない。そしてファイアーボール視界を奪ったオフィーリアは肉体強化の魔法で一気に上から武器を振り下ろす。ヴィリオは闘気を見えない程度に一瞬発動し力を払い受け流す。また距離を取るオフィーリア。


「お前は闘気でも扱っているのか?」


「今は授業中ですよ、ほら、まだ僕は一歩も動いてませんよ?」


「ならばこれはどうだ!」


 詠唱しだすオフィーリア。


「必然と手にする水、渇きを求める大地、捧げよう、渇きをいやす、大いなる雨を!メテオ・レイン!」


 数多の水の塊が落ちてくる。塊はかなりのスピードで地面を抉るように落ちる。ヴィリオは避けることもできたが闘気の纏を使ってやはり当たろうとする塊を一刀両断していく。


 上からの攻撃を対処していると腹がら空きになる。そこ突こうとするオフィーリア。だがヴィリオは半歩動きその突進を避ける。


「なかなか良い感じでしたね。僕じゃなきゃ一本は取れていましたよ」


「やはり底が見えんな…お前というやつは」


「殿下!さすがにその魔法はやりすぎですよ?」


「あぁ…すまないプルグ教官」


 おい見たかよ…ヴィリオのやつ。


 う…うん魔法を斬ってたね…


 あいつあんなにすごかったっけ?!


 ていうか殿下の魔法の威力もすごくない?


 ヒソヒソ話が聞こえてくるが知らん顔のヴィリオ。軽い汗をかくオフィーリア。鐘がなり授業がおわる。昼休憩に入るのだった。






 さっきの戦いの後話を何人かにかけられたが、あぁー疲れた、ちょっと休みたいので話はまたあとで、とそそくさと逃げるように学院の裏の芝生に座り購買のパンを食べるヴィリオ。オフィーリアも女子生徒に話かけられていた。特に興味もないので後にしていた。


(暇だなぁ…そういえば今日は2人ぐらいしか監視してませんでしたね。窓の向こうとクラスに一人が…あぁーなんか最近生ぬるいですねぇ…前まではこれぐらいが丁度よかったんですけど最近頑張りすぎて。それが普通になってしまったんだろうか…)


 一人でパンを食いながら考えている声と足音が近づくのが聞こえてくる。


「すみませんお嬢様今日は昼のお弁当を入れるのをわすれてしまい…」


「いいんだ。初めてクラスメイトに話しかけられて少し混乱していたので助かった」


 そこに現れたのはオフィーリアとイルルだった。


 ヴィリオはゼルツのいつもの自分でいろと言われているのでいつも通りのヴィリオでいた。


「おや、殿下じゃないですか」


「ん…ヴィリオ・パルグランツか…まあいい、ここで昼食をしよう」


 イルルは少しヴィリオを見るが変わった様子はない。芝生に座るオフィーリアとイルル。木でできた弁当箱を開けるとサンドイッチが並んでいた。


「お嬢様、紅茶はいかがしますか?」


「ん…もらおう」


 水筒から紅茶を注ぎ渡すイルル。静かに昼食をとるがなにか気まずい空気である。ヴィリオから口を開く。


「あれから何か鍛錬でもしましたか?」


「あ、あぁイルル、初めてだったな?この生徒がヴィリオ・パルグランツだ」


「あ、初めまして。殿下ももうヴィリオでいいですよ。みんなそう呼んでるので」


「初めましてヴィリオ様、私お嬢様のメイドをしておりますイルル・ロチェルと申します」


「どうも、あと様はいらないです、ヴィリオでいいです」


「では…ヴィリオさん?」


「はい、それでいいですイルルさん」


 まじまじと容姿を観察するイルル。気づかないわけではないヴィリオであるがそっとする。


「じゃあヴィリオと呼ばせていただく。お前は肩にギルドマークを付けているな?ハユード殿から聞いたぞ?」


「あぁ…バレちゃいましたか、でもこのマークはとるつもりはありません」


「だが校則に違反している。生徒会の者として黙っているわけにはいかん」


「反省文なら書く用意はしてます。あなた方生徒会が秘密にしてくれれば問題ないですし」


「だから問題を押し付けるな!お前の問題だろう!」


「マークはとりません、絶対」


「はぁ…まぁ私は見逃してやる、代わりに私に剣を教えてくれ」


「学校でなら授業で打ち合えるじゃないですか、そこから「いいやお前の習った修行をわたしも望む!」…本気で言ってるんですか?」


「本気だ!」


「そうですか…わかりました。日時と場所を用意してください。僕にもプライベートがあるので」


「ん?…やけに素直じゃないか?」


「まぁこちらもちょっと都合が良くなって時間が空いてきたので…嫌ならいいんですよ?」


「いや!わかった!ではテストが終わった後の休日の昼1時から私の屋敷に来てくれないか?」


「わかりました。ちょっと厨房を借りるかもしれませんがよろしいですか?」


「?なにか作るのか?それだったらイルルが「ただの料理じゃありませんからそのつもりで」…あぁわかった」


 イルルも会話に参加する。


「そういえばヴィリオさんは無刀取りをできるんでしたよね?お嬢様から聞きました。流派はどこなんですか?」


「…まぁ教えるのであればその流派になってしまうから言いますがパルティーダ流活殺武術です。今使えるのは僕と義母さんぐらいしかいません。どういうものかと言えば技といものはほとんどありませんが力とスピード重視のちょうどいい武術で拳闘術や剣術、槍術もあるし色々あります」


「イルル、心当たりは?」


「いえ、ありません、そのお母さまはどこ出身なのでございますか?ヴィリオさん?」


「義母さんについてはあまりわかりません。育ててはくれましたがあまり自分のことは語らないので」


「ではお母さまは今どこに?」


「えー…今は要人警護ってところですね。基本なんでもこなせるので」


「そうですか」


「イルルさんも習ってみますか?」


「私も武術の心得はあるのですが癖とかでても大丈夫ですか?」


「大丈夫です。そこまで他の武術に影響されるようなものでもないので」


「そうですか、少し安心しました」 


 昼食が終わり鐘が鳴る。みんなクラスにもどろうとするので自分も行こうとしていたオフィーリアも行く。


 イルルはヴィリオにオフィーリアの聞こえない声で囁く。


「テストがんばってくださいね?ハユード様?」


 びくっしてイルルを見る、笑顔で手を振っていた。オフィーリアの後ろに行き帰っていくのであった。


(え…)






(声と顔と髪の長さが一緒だったのですぐわかっちゃいました、なんで他の人は気づかないのでしょう?)


 秘密がどんどんばれていくヴィリオは面倒だなと思っていた。

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