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俺が異世界のプレイヤー  作者: 灰色のネズミ
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主人公

 みんな大好きテレビゲーム。一台何万って四角い箱には夢がたくさん詰まっている。

 そして今まさに、モニターに映るゲーム画面には夢が実現していた。



「ほおおお〜! グラフィックすげぇ、これが【シャンデリアRPG】!」



 オープニング画面が流れていた。広大なフィールドに、ファンタジー感満載の建物や家が順番に写されていき、最後に大きく【シャンデリアRPG】とタイトルロゴ。

 このゲームを一言で表すならありきたりなRPGゲームだ。フィールドや建物のグラフィックはリアルに近く、登場するキャラクターも獣人などはリアリティに欠けるがそれでも本当にそばにいるかのような立体感がある。敵キャラクターも臨場感があって、何もかもが俺の心を鷲掴みにしていった。


 いよいよだ。START(スタート)ボタンを押すとロード画面に移る。


 〜〜〜〜〜ながい!!


 長いなぁ!たしかにグラフィックもすごいし、クオリティが高くて容量などが大きいゲームだとわかるけど、このロード時間の長さはうっとうしい。でもまあこれから始まる楽しいゲームのための耐える時間だと考えるとウキウキしてくる。

 俺はロード時間暇なので、その間飯を食う事にした。カップ麺が出来上がり、食べ終わる頃にはロードも終わっていた。

 さあボタンを押せばゲーム開始だ。


▽▲▽▲▽▲▽▲


「きた! キャラメイキング!」



 俺がこのゲームを買おうとした理由その1、キャラメイクが細かく設定出来ること。

 外見の細やかな部分だけでなく、なんと性格やキャラが目指す目的なんかも設定できてしまう。

 この人間1人をとことん作り上げる仕様が気になったんだ。



「顔、体の作り、背格好……服も決められるのか。それと名前に年齢と、いたせりつくせりだな」



 設定する項目が沢山あって、各項目の中で選べる種類も豊富で目移りして仕方がない。

 ロード時間よりも長いメイキング時間をかけて作り上げたのは、1人の少女だ。


 名前、ライトニング・フィア・シャンデリア。通称フィア。

 【シャンデリア】とはこのゲームの代名詞ともなっていて、ストーリーの中心となる王家の名前である。なんとこのゲーム王族にもなれて、ストーリーに大きく関わるはずの王家シャンデリアの一族となるとどうなっていくのかが気になって、シャンデリアの名をつけた。


 年齢は17。子供と大人の中間、大人びつつもあどけなさのある女の子で、髪は金髪にした。髪色に関してはシャンデリア家が全員金髪なのでそうするしかなかった。金髪の色の濃さと髪型は変えられたが、やはり王家という重要な立ち位置においただけあって制限があった。

 この王家の人間にすると作るのに制限がある辺り、俺的に面白かった。どこまでも自由なのではなく、決められた役職や家族にするとそれに応じた“当然の仕様”があって制限される。とてもリアリティがあって嬉しかった。


 作った子の話に戻そう。体型は細くも、王族らしくどことなくむっちりさせた。ほらなんかいいもん食って育ちよさそうにしたほうが、王族っぽくあるだろ?そんで胸もちょい大きくした。腰付きは細くも、胸や尻、ふとももなんかはむっちりさせて王族の儚げなお姫様って感じ。

 顔つきはまあ、そこも王族だけあって大体の作りは決められていたが、他の家族がみんな優しげな目つきをしていたので、目立たせるために目つきを鋭くさせた。

 そしてここで目つきを鋭くさせるに至って、生い立ちを設定する必要があった。家族みんなが優しげでタレ目がちなのに対して、俺の作ったフィアだけが目つきが鋭いのはおかしい。なので生い立ちを詳しく設定して、目つきが鋭くなった理由を作らなければならなかった。


 というわけで生い立ち。王族に生まれたものの、姉や母から愛されつつも周りが優秀ゆえに劣等感を感じていたーーという風にした。

 そのため能力などには特に触れず、若干他の家族よりも低めに設定した。劣等感を出すためにな。

 服も周りより質素めにしつつ、鋭い目つきに似合った服にしたくて、黒いラインの入った薄い赤色のドレスを着せた。柄はない。


 おっと能力の話になったから、初めに取得できるスキルの話をしようか。

 まずは【扇動(せんどう)】。王族キャラ全員が持つ、大勢の他キャラクターを奮い立たせて戦いに向かわせたり、攻撃や防御力を上げたりできるバフ系の技だ。

 次は【食事(しょくじ)《王》】。これはちょっと厄介なスキルで、《王》の表記は王族の食事を意味し、王族や貴族の食べるような豪勢なものしか食べることができない。しかし食事によって戦うためのスタミナを回復することができるのだが、このスキルを持つキャラクターはパン1つで大きく回復することができる。例えば兵士キャラは【食事(しょくじ)《兵》】を持っていてパン1個で7回復するのに対し、【食事(しょくじ)《王》】持ちはパン1個で20回復する。これは王族っぽさからキャラを少食にするためである。ちなみにこれも【扇動(せんどう)】と同じく王族キャラが最初から持っているスキルだ。


 そしてこの2つとは違い、最初に得られるスキル欄の中から俺が唯一選んだのは【高尚(こうしょう)】。

 同じ読み方の交渉ではなく、知性が高く気品に満ちた“高尚”な風格を持つようになるというスキルだ。王族にふさわしいだろ?

 本当なら実用的な交渉スキルのほうがいいかも知れない。でも王族と言ったらやっぱり気品があって誰もが眩しそうに見る雲の上の存在でなくてはならないのだ。しかもこのスキルは知性が高くなる効果があり、魔法などの威力が増す。

 ただしデメリットもあって、周りに他キャラがいない時このスキルを持つキャラクターは全能力が半減してしまう。いくら高貴な存在でも誰かがいなければ何もできないし、従者などに世話をしてもらっていた手前誰かがそばにいないと不安になってしまい、誰もいないところでは気分が落ち込んで能力が下がってしまう。その上、服も貧相で地味なものを着ると俊敏性などが落ちてしまう。

 うん、かなり厄介だとは思うよ。でもこれを選んだのはとにかく“王族の少女”を作りたかったからだ。それ以上の目的はない。


 さて、主軸となれるキャラはできた。

 さあここからが、俺がこのゲームをやろうと決めた最大の理由だ。


 好きな仲間を作ろう。






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