桃太郎 ――麒麟が来ない!?――
昔々あるところにお爺さんとお婆さんがおりました。
お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんはスーパーマーケットへ行きました。
「今日の特売は、黄河下流の工場排水たっぷりで育った桃です~♪」
made in chinaのやたらと大きな桃が一つだけ50円。お婆さんは直ぐさまカゴへと放り込み適当に買い物を済ませました。
「ただいまザウルス~♪ おかえリンゴ~♪」
お婆さんが買い物袋をお爺さんに手渡すと、中を覗いたお爺さんは驚愕しました。
「お前、いつの間に赤ちゃんをこさえたのか!?」
なんと、おばあちゃんのエコバッグの中には桃から生まれた小さな赤ちゃんが入っていたのです。
「もしかして……、お前浮気を!?」
「やだよ! 隣の山田さんとはただのフレンズじゃよ!」
……(´・ω・`)
桃太郎と名付けられた男の子はすくすくと育ち、僅か三年足らずで青年までに成長しました。(じゃないとお爺さんお婆さんの寿命が先に来るからね、仕方ないね)
「オラ、鬼退治に行って来るだ」
唐突に思春期特有の家出が始まり、桃太郎はその日のおやつであったきび団子をポシェットへinし、鬼ヶ島へ向かって歩き始めました。
「も~もたろさん!桃太郎さん!御腰につけた~♪」
道中で犬と出会いました。犬種はシベリアンハスキーです。桃太郎はいたく気に入り仲間に加えました。
「も~もたろさん!桃太郎さん!御腰にウッキー♪」
道中で猿と出会いました。手癖の悪い猿は桃太郎の返事を聞く前にきび団子をかすめ取り口へと放り込みます。
「そ……そこのお若い方、ゴボゴボ……(喀血)」
道中でキジと出会いました。桃太郎は歯の無いキジにきび団子をあげても良いのか悩みましたが、小さく千切ってあげることにしました。
そして桃太郎と三匹のお供は鬼ヶ島へと辿り着きました。
「いらっしゃいませ。四名様ですね? お飲み物はグラス交換制、御食事の方はビュッフェ形式となっております。お時間は90分ですのでごゆっくりどうぞ。お席はこちらになります……」
四人は案内された席に一列に着くと、席の向かいに可愛い鬼の女の子達が座りました。
「アタイは義弘! 鬼島津って呼んでね♡」
「私はお福! 春日の局って呼んでね♡」
「ボ……ボクはマリー、パンがないならケーキを食べちゃうね♡」
桃太郎達と鬼達の合コンの始まりです。
「ほ、本日はお日柄も良く……鬼の皆様におかれましても、ま、ま、益々の……」
「やだー、桃ちゃん緊張してて可愛い~❤」
桃太郎の垢抜けていない素人感が逆に好印象を与えます。
「拙者は犬の利家! 槍が得意だワン!」
「それがしは猿の秀吉だぎゃあ~今日はメンコイ娘が……グフフフ、ウッキー!!」
「わたくしめはキジの光秀と申す、ゴホゴホ……失礼、持病のアレルギー喘息が」
一通りの自己紹介が終わると、みんなで食べたり飲んだり、〇ッキーでゲームをしたり、ポッ〇ーでゲームをしたり~ウフフ❤
「ゴメン、私達ちょっとお化粧直してくるね~❤」
鬼達は三人揃ってお手洗いへと向かいました。
「ね~ぇ みんな今日は誰が良いと思う?」
「光秀君がいいよね~モモが脂のってて焼き鳥で美味しそ~❤」
「私も光秀君! ムネがサッパリとしててカラアゲが イ・ケ・ソ❤」
お手洗いから戻ってきた鬼達は三人ともキジを指名し、キジはハーレム状態になりました。
しかしキジは自分が性的な意味で指名されたのではなく、味覚的な意味で指名された事実に気が付きません。
「モテるキジ 殺してしまえ 巣穴ごと! (By桃)」
「光秀は何時も裏切るワン! 天下取ろうとすると皆やられるワン!」
「光秀のクソ野郎は、山崎で逆さ釣りにしてピーしてピーピー! ウッキー!!」
桃太郎達はそんな事を知らずに、キジを裏切り者としてボロクソに言い放ちます。
「帰りにキジの玉子入りラーメンでも食べるか?」
「「さんせ~!!」」
鬼退治(意味深)は失敗しましたが、桃太郎はまた一つ大人になりましたとさ。めでたしめでたし。