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「ミントは…故障したりしないよね…」
自分でもバカな質問だと思った。
ミントに訊いても答えられるわけないのに。
「夢香さん」
ミントが手を伸ばして、私の機械の右手の上に重ねた。
ミントがそんなことをしたのは初めてだったから、私はドキッとした。
ミントの機械の手と私の機械の手が触れたとき、電気が走ったような気がした。
「ワタシは故障しません」
ミントが言った。
そうだよね。
うん、きっと大丈夫だよ。
「このニュースのロボットのように夢香さんを殺したりしません」
ミントは私の手を握った。
「夢香さんがワタシと、とても近い身体になったのに殺すわけがありません」
え…?
「ワタシは夢香さんとの距離が縮まって嬉しいのです」
ミントは私を見つめ続けてる。
ロボットが、こんなことを言うなんておかしい…。
私は以前、真夜中にミントが私の寝顔を見つめていたのを思い出した。
あのときのミントの様子…。




