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「お母さん、ここは?」
私が訊くと、お母さんが抱きついてきて泣きだした。
お父さんも泣いてる。
周りを見回すと部屋の中で、私はベッドに横になってた。
病院みたい。
お父さんが呼んできたお医者さんが、私をいろいろチェックする。
「問題ありません」
お医者さんがそう言って出ていくと、お母さんが状況を説明してくれた。
あの日、私とミントが歩いていた場所の近くのビルの屋上でロボットクレーンが資材を運んでた。
その作業の途中、資材を止めたワイヤーが切れて真下に落ちてしまった。
いくつかの資材が私たちの上に降ってきて…私は重体になって病院に運び込まれた。
ミントが守ってくれたから、私は頭と心臓は怪我をしなかった。
そのおかげで最新のサイボーグ医療の手術を受けた私は、何とか助かった。
人類が火星に来る前のテクノロジーだと、完全に死んでたレベルの状態だったって。
お母さんの話を聞いた私は慌てて自分の身体を確かめた。