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建設中のビルの屋上でクレーンが動いてる音がする。
資材を運ぶ金属音だ。
「夢香さん」
突然、ミントが私に話しかけた。
ミントが立ち止まる。
「え?」
私も立ち止まった。
「どうしたの、ミント?」
私が訊くと同時にミントが、こっちに突進してきた。
「キャッ!!」
私はわけが分からないうちにミントに抱きつかれて、後ろに倒れてしまった。
ミントが私の上に覆い被さってくる。
「やめて! どうしたの、ミント!?」
ミントの人形のような両眼が私の顔を見つめてる。
何なの!?
やっぱり、故障してたの!?
そのとき、いきなりものすごい激突音が響いた。
ミントの身体が揺れる。
続いて私を襲ったのは言葉に出来ない程の激痛。
両脚に。
そして続けて下腹部の辺り。
私はあまりの痛みに目の前が真っ暗になって、気を失った。
目が覚めて最初に見えたのは両親の顔だった。
心配そうに私の顔を覗き込んでる。
「夢香!」
お母さんが私に呼びかける。




