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3話
むぅと唸ったむつは、すっくと立ち上がった。しゃがみこんでいては、何かあった時にすぐには動けないからだ。むつが何かしら動きを見せると、物を投げつけてでもくるのか、身体の左右を通り抜けていく物がある。
いくつかは、街路樹にでも当たったのか、かかっと何か刺さるかなような音がした。
何が飛んで来るのかだけは確認しようと、むつは街路樹に手を回して、さわさわと触って見た。すると、固い物に触れた。つるりとしていて、ひんやりとしている。だが、それだけでは何かが分かるはずがない。これだけ気温が低いのだから、何を触っても冷たいだろう。
大した危機感もないのか、再び顔を覗かせたむつは、街路樹に刺さっている物を見た。
「わぁお…」
こんな物が、どこにあったのかと思いつつ、むつはそれをしげしげと見ていた。




