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よろず屋 -ゆきのこいじ-  作者: 幹藤 あさ
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2話

助手席に山上、後部座席に颯介を乗せたむつは、ゆっくりと車を走らせていた。チェーンを巻いてあるからか、少し揺れるがそれは仕方ない。いつになく真剣な表情でハンドルを握るむつを、山上は心配なのかちらちらと見ている。


「も、なぁによ…ちら見ばっかりして」


「いや、真剣に運転してるのが珍しくてな」


「当たり前でしょ?颯介さんと社長乗せてるし…それに、事故ってる車が多いもん。慎重にはなる」


「だな。皆、こんな天気の時くらい外に出なきゃいいってのに…何で出るんだろうな?」


「…お盆もお正月も仕事の人が居るから、この便利な世の中が成り立ってるって事よ」


「それは言えてる。でも、便利な生活が出来るようにしてくれてる人たちが、この天気の中で事故って怪我してるようなら…」


「悪天候で休み。お盆だし、お正月だしで休み。っていう世の中にでもなっていいんじゃないかしらね?まぁ…全員が休んだら、事件、事故、病気の時に困るから難しいわよね」


「そうだな…昔は正月になれば、ぴたっと休みになってたんだけどな…だから、大晦日まで精一杯働いて…」


「…100年くらい昔かしら?それって」


「まぁそうだな。いい時代だったな。不便でも、人との繋がりが大事にされてて…」


「…染々言わないの」


ふふっと笑いながらも、むつの目元は真剣そのものだった。山上との冗談混じりの会話にばかり、気をとられているわけにはいかない。そのくらい、事故を起こしている車が多いのだった。

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