83/1090
2話
「まだ、誰にも話してないからって。こっちで湯野さんと話してから、また連絡をくれって…本人かどうかもまだ決まってませんから」
「事件性を感じて、先に連絡くれたってわけね。有り難いけど…先輩の強運さって何なんだろ…」
「…たぶん、俺らが聞くより先に知ってたんじゃないですか?何か、今日見たってわけでもない感じの喋りでしたから」
「かもね。この天気の中、先輩が出歩くのも変だし、その子も外に出るとは思えないし。でも…何の温存なのかしら…」
「さぁ?忘れてたとかでしょうか」
「仕事出来ない認定されるだけなのに」
「西原さんにも何か考えがあったんですって。意外と…思った事がすぐに言えない人だったりしますよ?」
「…かなぁ?頭の回転が遅い?」
「…時に慎重って言ってあげてください」
祐斗が意外と西原の肩を持つと、むつはふふっと笑っただけだった。時に慎重なのは、祐斗よりむつの方がよく知っている。そんな自信が現れているような笑みで、祐斗は少しだけ恥ずかしくなった。




