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2話
ソファーから起き上がった颯介も、じっと窓の外を眺めている。その視線はやけに険しい。むつはそっと山上の袖を引いて、視線を颯介の方に向けた。山上もむつが何を言いたいのかは、すぐに分かったようだった。颯介を見る山上の目が、ほんの少し険しさを帯びた。
「…今日、まさかのお泊まり?」
「むつは事務所泊慣れてるだろ?」
「慣れてるけど…」
慣れてるからといって、泊まりたいわけではない。だが、皆でのお泊まりともなれば、楽しくなるかもしらないと、少し思ったりもした。
「東北地方でもないのに、この雪ってなると…自然災害って言ってもおかしくねぇかもな」
「うん…」
山上とむつは窓の外で、吹き荒れている雪を見ながら、少しだけ不安を感じていた。




