2話
コーヒーをいれ直して戻ってきたむつは、マグカップを颯介の前に置いた。どうやら、ブラックには飽きたようで、どれもカフェオレにしてあった。
「…甘くねぇだろうな?」
「お砂糖入れてあるのは祐斗のだけ」
「なら、いい」
ケーキなどの甘い物は好きなくせに、飲み物で甘いのはどうも好まないらしい山上は、本当に甘くないかを少し飲んで確認して、うんと頷いていた。
「…で、むっちゃん。さっきの話の続きだけど…何で来るかもしれないっていうのに帰ったかっていうと、さ。顔を合わせたくないからだよ」
「うん。だと思った…お母さん違うって言ってたし、余計な事を聞いたなって思った。ごめんね」
「そう思った理由は?」
「…颯介さんのお家も特殊でしょ?やっぱり継いでいく物だと思うのね。なのに、長男が出てきてるって事はさ、家督は弟さんなんだろうなって。だから、家族仲が、あれかなって…」
「正解。弟は管狐もだけど、祐斗君みたいに霊能力が強いからね。より良い血を残す為にもって、弟が跡継ぎに決まったんだよ」
「そう…あれ?年末年始って帰省…」
「してないよ。ずっとこっちに居た」
そっか、とむつは頷いただけだった。




