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2話
「まぁ…ね…」
「他にもありそうっすね、その言い方だと」
ラーメンもチャーハンも食べたというのに、祐斗は開けていた菓子に手を伸ばしている。誰よりも若く、食欲旺盛な祐斗に、呆れたのか颯介の目元にわずかながら笑みが浮かんでいた。それとも、自分の様子からしてまだあると察した祐斗の観察力を、感心しての笑みなのかは颯介にしか分からない事だった。
「あぁ…実はさ、その弟から連絡があったんだよ。一昨日…こっちに来てるらしいんだ」
「えっ!?」
「それで…会ったの?」
「いや…会ってないんだ。何かあるみたいなんだけど…ここに顔を出すとは聞いたけど…」
「そうなの?でも、昨日も今日も来ては居ないわね。昨日は結局、誰も来てないし。今日は遊んでたけど、誰も出入りはしてないし」
「そうかい…」
「………」
タバコを吸い始めた山上は、むつがマグカップを持ったまま、飲みもせずに何やら考えているのを見ていた。




